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電子辞書のコンテンツ,どこが違う?

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関山 健治(沖縄大学)
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電子辞書掲示板でご質問が多い,電子辞書のコンテンツに関する比較をまとめてみました。掲示板でご質問される前に,お読みくだされば幸いです。なお,掲示板の過去ログでは,ここに書いていないことも説明してあります。コンテンツ関係のものはここにまとめてあります。

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1. 学習英和辞典と一般英和辞典の比較(例:ジーニアスとリーダーズ)

学習英和辞典というのは,私たちが高校の頃買って,英語の授業の予習や大学受験の勉強などで使っていた辞書と考えてください。辞書によって収録語数に多少の差はありますが,上級学習辞典(と私は読んでいます)であるジーニアスや研究社の新英和中辞典などは,9万語前後を収録しています。基本的に,これらの上級学習英和辞典であれば,受験生はもちろん,一般社会人が英字新聞や英語雑誌(Time, Newsweek等も含め),一般向けのペーパーバックを読むのには(固有名詞や専門用語等は別として)全く不自由しません。学習英和辞典は,単語の意味(語義)だけでなく,例文や文法,語法の解説も豊富に収録されています。そのため,英語を読むとき(受信用途)はもちろん,英語を書くとき(発信用途)にも使えます。「学習英和では難関校の受験には対応できない」「学習英和では大学に入ってから全く役に立たない」「学習英和では受験英語以外の文献は読めない」などということが他掲示板等でもっともらしく言われていることがありますが,これらは「デマ」と言ってもいいでしょう。「学習英和よりも一般英和のほうが役に立つ」と短絡的に考えてはなりません。一般企業では,英語力がある人ほど,英語を書いたり,英語で商談をまとめたり,プレゼンをしたりといった発信面でのスキルが要求される仕事が回ってくるはずです。ですから,英語ができる人ほど学習辞典を頻繁に引きます。これは,翻訳者や英語の研究者などの専門職の人も同じだと思います。

一方,一般英和辞典(大規模英和辞典)は,20万語以上の語数を収録しているもので,上記の学習辞典でカバーできないような固有名詞や専門用語を豊富に収録しています。そのかわり,例文や文法,語法の解説はかなり割愛されていますので,英語を「読む」ことに特化した辞書と言えます。学習辞書でも,TimeやNewsweekはじめ,通常の英文の内容を理解する上では支障がありませんが,一般英和辞典なら,固有名詞や専門用語もかなりの数が載っています。そのため,一語一句ゆるがせにしないで英語を読解する必要がある翻訳者や,多少専門から外れるような論文や雑誌を読む必要のある研究者,海外の幅広い情報を収集する仕事をしている外資系企業の社員など,専門的なレベルで英語を読む人には最適です。もっとも,これらの人は英語を読むだけでなく,書く機会も一般の人よりは多いでしょうから,受信用途に絞った一般英和辞典だけでは不十分です。前述の学習英和と併用し,受信時は一般英和,発信時は学習英和,と使い分ける必要があります。

以下に,代表的な学習英和であるジーニアス英和辞典(第3版:G3)と一般英和のリーダーズ英和辞典(第2版)でenjoyの記述を載せますので,くらべてみてください。


G3(学習英和)

en・joy **
【動】|他|

1[SVO(M)]
a〈人が〉〈遊戯など〉を楽しむ;[SV doing/×to do] …して遊ぶ;[SVO's doing]〈人が〉…するのを楽しむ‖〜 baseball more [×better] than football フットボールより野球を楽しむ《◆like では like baseball more [better] than football》/I very much 〜ed the seaside [〜ed the seaside very much]. 海岸は楽しかった(=I had a very good time at the seaside.)《◆(1)×I 〜ed very much the seaside. は通例不可. (2)I 〜ed myself very much at the seaside. ともいう( →1b)》/I 〜ed being with you. ご一緒できて楽しかったです

[語法]
(1)程度の副詞 quite, all は通例 enjoy の前に置く. ただし未来時制に用いるのは((非標準)).
(2)I 〜ed swimming yesterday. は「泳ぎを楽しんだ」ことを強調する場合以外は唐突すぎるので, I went swimming yesterday, and I 〜ed it very much. などの方が適切な場合が多い.
(3)通例受身は不可だが, [S(動名詞) is 〜ed by many people] は可能: Skiing is 〜ed by many people. スキーは多くの人に楽しまれている.

ジーニアス英和辞典(第3版)より一部引用。


リーダーズ(一般英和)

en・joy
vt.
1a 享楽する, 楽しむ, 喜ぶ.
・〜 life 人生を楽しむ.
・〜 skiing スキーを楽しむ.
・How did you 〜 your excursion? ご旅行はいかがでしたか.
・We 〜ed talking about old times. 昔話に興じた.

リーダーズ英和辞典(第2版)より一部引用。


この例からも分かるように,学習英和は単に訳を羅列するだけでなく,例文や文型,語法上の解説など,様々な情報が載っています。一方,一般英和は,訳と例文が中心ですが,「享楽する」「喜ぶ」のように,ジーニアスにない訳語が出ています。そのため,翻訳者等,より適切な日本語を求めて辞書を引く場合には役立ちます。

※ジーニアス英和大辞典はちょっと変わり種で,学習英和のジーニアス英和辞典をベースに,専門語や固有名詞,専門語の語義や例文をかなり追加した辞書です。そのため,例文や文法,語法記述は学習英和辞典よりも詳しいのに,収録語数は一般英和辞典に匹敵する,学習英和と一般英和の両方の特徴を兼ね備えています。



2.学習英英辞典とネイティブ向け英英辞典(例:LAAD/OALD/COBUILDとCOD)

ネイティブ向け英英辞典は,私たちがふだん使っている国語辞典のようなもので,主に英語を母語にしている人が引くことを想定しています。電子辞書では,SR-9200に搭載されているConcise Oxford Dictionary (COD)がネイティブ向け英英です。このタイプの英英は語数が多いかわりに,定義で使われている単語が外国人には難しい場合が多く,かなり英語力のある人でも,使いこなすのは骨が折れます。最低でも英検で準1級程度はないと定義を読みこなせないでしょう。

一方,学習英英辞典は,英語圏の辞書会社が,英語を母語としない人たちのために,特別に作ったものです(日本の国語辞典では,外国人を対象にしたものはほとんど出ていません)。最近の電子辞書に搭載されている英英辞典は(SR-9200以外は)すべて学習英英です。学習英英には,英語を学んでいる人向けに様々な配慮がされています。たとえば,定義で使われる語彙を,約2000語〜3000語に制限している(統制語彙)こともその一つです。英英辞典は難しい,といわれる最大の原因は,説明に使われている単語が難しいということでしょう。ある単語を引いて,語義で使われている単語が理解できないと,今度はその単語を引き直し,そこにも理解できない単語があると,またその単語を引き直す…ということ(孫引き)をくり返すため,英英辞書を引くのが嫌になってしまった人はたくさんいます。しかし,外国人向けの英英辞典では,どんなに難しい単語でも,統制語彙(そのほとんどは,高校までに学習した単語です)のみを使って説明していますので,英検2級ぐらいの英語力があれば,楽に理解することができます。

ネイティブ向け辞書と外国人学習者向け辞書の難しさの違いを,dogという語の定義を比較してみてみましょう。


Concise Oxford Dictionary (COD) (ネイティブ向け英英辞典)

dog
・n


1. a domesticated carnivorous mammal probably descended from the wolf, with a barking or howling voice, an acute sense of smell, and non-retractile claws. [Canis familiaris.] →a wild animal resembling this, in particular any member of the dog family (Canidae), which includes the wolf, fox, coyote, jackal, and other species. →the male of such an animal.

COD第10版より一部引用


Longman Advanced American Dictionary (LAAD) (外国人向け英英辞典) 

dog
S1, W1
n. [C]

1 【ANIMAL】 a very common animal with four legs that is often kept as a pet or used for guarding buildings
: the family dog

LAADより一部引用


ネイティブ向け英英は,誰でも知っているdogという語の定義でさえ,こんなに難しい単語が使われているわけです。ある程度英語力のある人にとっては,それほど難しい単語というわけでもありませんが,普通の高校生や大学生ではきついでしょう。もっとも,ネイティブ向け英英であっても,電子辞書ならジャンプ機能を使えば英和でワンタッチで確認できますので,上級学習者の人ならそれほど難しくはないと思います。犬の鳴き声はbarkしか知らない人にとってはhowlという(遠吠えの)語は新鮮でしょうし,acuteには「とがった」という意味だけでなく,keenのような意味もあるんだということも分かります。動物の爪はnailではなくclawなんだとか,いろいろな発見があるはずです。

一方,LAADのdogの語義は非常に短く,平易な単語ばかりが使われていますので,誰でも分かりますが,誰でも知っている語義を引いて誰でも分かるようなことしか書いていないということに不満を感じている学習者の人がいらっしゃるかもしれません。そういう方はCODを使ってみると今までにないチャレンジがあると思います。



3.外国人向け英英辞典の比較(LAAD/OALD/COBUILD)

外国人向け英英辞典は,いずれも英語を学んでいる人を対象に作られていますが,辞書によってその難易度はかなり違います。私の主観では,以下のような感じでしょうか。

語義の難易度 

←難 COBUILD      OALD LAAD 易→
用例の難易度 ←難 COBUILD LAAD      OALD 易→
文法記述の難易度  ←難 COBUILD      OALD LAAD 易→

語義に関してですが,COBUILDは下の例を見ても分かるように,フルセンテンスで定義しています。これがCOBUILD独自の定義スタイルですが,必然的に語義が長くなるので,英語に慣れていない人は理解するのが難しいかもしれません。一方,慣れてくれば定義を読むだけでその語の使われ方が分かる(たとえば,enjoyはIf you enjoy something...とあるので,人間が主語にきて,目的語には事物をとるなど)ので,上級学習者には定評があります。

用例に関しては,下の例ではLAADとOALDでそれほど差がないように見えます。しかし,もとになったコーパスデータに手を加えないで,GregやThenaといった固有名詞を使っているLAADにくらべ,OALDではWeやIに置きかえてあるなど,なるべく基本的な例文を提示しようとしていることがうかがえます。また,この例ではよく分かりませんが,LAADの例文は長めのものが多いです。COBUILDはこれらの2冊とは明らかに違います。元のデータをそのまま使っているせいか,cricketのような日本人にはなじみのないスポーツが出ていたり,enjoyed life to the full, company of...というような,学習者にはちょっと難しいイディオム的表現があったりと,動詞enjoyの用法とは関係ないところで難解な語句が多用されています。

文法記述に関しては,LAADが[enjoy doing sth]のように,実際の形に近いラベルで示しているのに対し,OALDは[VN][V-ing]のように,品詞をベースにした形になっています。また,LAADは英和辞典のように,[T]というラベルで,他動詞だということを明確にしていますが,OALDやCOBUILDではこのラベルがありません。そのため,自動詞,他動詞の区別は[VN]のような文型表記を見て(目的語があるから他動詞である,のように)ユーザが自分で判断する必要があります。なお,COBUILDの文型表記は,ここの例ではOALDと大差ありませんが,実際には日本の英語教育でなじみのない概念(能格動詞など)が使われていたりするので,全体としてはかなり難しいと思います。


Longman Advanced American Dictionary (LAAD)

enjoy
S1, W1
v. [T]

1 to get pleasure from something
・Greg says he enjoys his new job.
[enjoy doing sth]
Thena enjoys working with children.

LAADより一部引用


Oxford Advanced Learner's Dictionary (OALD)

enjoy
verb
1 to get pleasure from sth:
[VN]
We thoroughly enjoyed our time in New York
Thanks for a great evening. I really enjoyed it.

[V-ing]
I enjoy playing tennis and squash.

OALD6版より一部引用


Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners (COBUILD)

enjoy ◆◆◆◆◇
1 VERB
If you enjoy something, you find pleasure and satisfaction in doing it or experiencing it.
[V n/ing]
Ross had always enjoyed the company of women.
[V n/ing]
He was a guy who enjoyed life to the full.
[V n/ing]
I enjoyed playing cricket.

COBUILD3版より一部引用


4. 類語辞典の比較(COT/CCT/Longman-Roget's/Activator) ※準備中

5. 大規模英和辞典の比較(リーダーズ英和辞典/グランドコンサイス英和辞典) ※準備中