電子辞書掲示板過去ログセレクション
(Sekkyのつぶやき2・電子辞書ハード関係)

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※レス以外で掲示板に書いた駄文の中から電子辞書ハードウェアに関するものを抜粋しました。電子辞書の付加機能の活用法,マイナーな機種の紹介,CD-ROM辞書の紹介,電子辞書の動向などが含まれています。

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G大搭載機でシェイクスピアや聖書の用例を検索 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月21日(土)21時33分39秒

↑今気づきましたが,セイコーさんのG大搭載機は,G大の用例のうち聖書とシェイクスピアからの引用例に記載されている出典表記まで例文検索のインデックスに入っています。そのため,例文検索で「ham&」(=Hamlet)と入れれば,ハムレットからの引用例が一覧できます。聖書も同じで,「matt&」とやるとマタイによる福音書からの引用例が見られます。Man shall not live by bread alone.のような有名な例も入っています。英和辞典の用例になるような引用文は,シェイクスピアや聖書の中でも知名度の高いところですから,英米文学系を専門にしている学生の方は勉強になるのではないでしょうか。なお,作品名等は略号になっています。G大の凡例の中にある略号の一覧を見れば分かります(オンラインで参照できます)。

これは,セイコーさんの機種はSR-T5000からT7000に至るまで,G大搭載機はすべて対応していますが,なぜかシャープさんのPW-A8700はできません(該当なしになる)。例文検索のインデックスは出版社側が提供するのでなく,各メーカーさんが独自に構築していることがうかがえます。また,セイコーさんの機種でもG3モデル(SR-T6700など)はだめです(G3には出典作品が出ていないので)。リーダーズは,G大のように出典も出ていますが,インデックスには入っていないようで,検索できません。

カシオPB-100 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月12日(木)11時04分15秒

実現可能不可能でふと思い出しましたが,20数年ほど前にカシオさんが出したポケットコンピュータにPB-100という機種があったと思います。当時シャープさんがすでに出していたポケコンですが,定価で10000数千円という破格値を実現し,小学生から社会人までパソコン入門機(当時は今のようなパッケージソフトは少なく,高価でしたので,パソコンを使う=BASIC言語を習う,というイメージがあったと思います)として爆発的に売れた機種だと記憶しています。

うろ覚えですが,このPB-100を開発するとき,ボタン電池で動く高速かつ安価なLSIの開発が当時の技術では不可能で,複数のICチップのメーカーに話を持ち込んでも無理だと言われ,一時は企画が頓挫しかねなかったというような話をポケコン雑誌で昔読んだ記憶があります。しかし,何度となく交渉するうちに,話を持ち込んだ中の1社が,次世代の技術を使えばもしかしてやれるかもしれない,と応じ,そのおかげで製品化されたというようなことが書いてありました。以降,カシオさんはポケコンに力を入れ,シャープさんと並んで2大勢力として成長していったと思いますが,PB100が頓挫していたら,以降のカシオさんの情報機器にも少なからず影響はあったかもしれません。

製品の性質上,もしかしたら当時のポケコンの開発をされていた若手の方が,今でも電子辞書の開発のスタッフに残っていてもおかしくはない気がしますが,スライドキーボードにせよ,薄型筐体にせよ,バックライトにせよ(その評価はともかくとして)ユニークな製品が多いのは,不可能と思われているものを実現する技術者さん魂が,20数年前から少なからず受け継がれているのかもしれません。

Vodafoneでの三省堂辞書検索 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月 5日(木)11時31分45秒

iモード,EZWebに続き,ボーダフォンライブでも三省堂の辞書検索サービスがスタートしました。月額100円の情報料で16コンテンツが検索できるというサービスは,IC電子辞書にとっても少なからず影響を及ぼすのではないでしょうか。30000円近いお金を払って新入生が電子辞書を買っても,せいぜい語学の授業の予習程度にしか使わないのなら,携帯の辞書検索サービスのほうが割安と言えるのかもしれません。ハードウェア的にはカラー液晶はもちろん,VGAの解像度のものを搭載した機種も出てきているそうですので,すでにIC辞書の水準を超えている面もあります。キーボードにしても,最近の学生にとってはあの携帯のキーボードで楽々と漢字かな交じりのメールを打っているのですから,QWERTY配列でなくても,フルキーボードタイプのキートップでなくても,学生層には不満はないのかもしれません。

しばらくはまだまだIC辞書人気は続きそうですが,メーカーさんがそれにあぐらをかいていると,今後携帯電話での辞書サービスに食われてしまう可能性は考えられると思います。学生にとって,携帯は単なる電話ではなく,遊び道具の一つにもなっているのですから,IC辞書にくらべれば受け入れられやすいのは明らかです。IC辞書を使っている学生からも,よく「携帯でこういう辞書が検索できないか」とよくきかれますから(^^;;

幸い(かどうかは分かりませんが)携帯での辞書検索は一種のオンライン辞書ですから,辞書間のジャンプや単語帳,例文検索といった付加機能はIC辞書にはとてもかないません。IC辞書が今後生き残る道としては,こういったIC辞書独自の機能を展開させるとともに,(こちらがもっと大事なのでしょうが)IC辞書ならではの付加機能を,パワーユーザだけでなく高校新入生など,「いまどきの学生」むけに,もっと布教というかPRする(携帯電話辞書に流れていかないように)必要があるのではないでしょうか。

また,学校一括で購入した高校などには,売りっぱなしにするのではなく,メーカーさんの営業の方などが直々に出向いて使い方指導などのトレーニングサービスをするなど,きめ細かなケアが求められると思います(これはすでにやっているメーカーさんも多いでしょうが)。たとえば,進学校の高校1年生ぐらいを対象に,易しめの大学入試の英語問題を電子辞書を使って解くノウハウをメーカーさんが出向いて教えてあげるというのも1つの方法です。例文検索や学習辞書の記述の読み方を教えて,電子辞書片手に問題を取り組んでみれば,彼らには十分解けるはずです。高校へ入ったばかりで大学入試問題が(辞書を使ってですが)解けたというのは,進学校の生徒なら大きな自信になるでしょうし,例文検索など,携帯電話の辞書では真似できない機能の有用性に気づいてもらえれば大成功なのではないでしょうか。こういう学生が多く生まれれば,大学受験の際にも電子辞書は手放せない道具となり,大学へ入った暁には生協モデルの上位機種に買い換える生徒も多く出てくると思います。その際は,使い慣れた操作系の機種を選ぶでしょうから,メーカーさんにとっても高校入学時のトレーニングのおかげで,大学へ入ってからも自社の機種を使ってくれる可能性は高くなります。

http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/ep/20040202.html


電子辞書の型番(>昼行灯さん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月 4日(水)10時41分4秒

以下は私の想像なので外しているかもしれません。型番の数字に関しては,未発表の次期機種とのからみもあるので一般には出しにくいかもしれませんが,TやMなどの由来ぐらいなら,お客様相談室にきいてみれば教えてくださるかもしれません。

>TシリーズのTは何の略(頭文字)? 同様にMシリーズのMは?

Tシリーズは新フルキーボードモデルなので,初代のモデルにくらべて薄型化されているということを考えると,Thinのtでしょうか…? MはカタログなどでもM StyleのようにPRしていますが,小型機ですからMobileのM…?

>消費者にとっては,同一シリーズの商品については, 商品の番号が大きいほど, 高機能
>(高価)を意味するものだと理解していると思いますが, T6700,T6800,T7000を比べ
>ると,単純にハード機能・コンテンツ・価格の高低順に並んでいないのはなぜ?

最近の電子辞書の場合,線状に展開されるのではなく,同一時期にターゲットの異なる複数の機種を併行して開発,発売しているので,それを型番という一次元的なもので表そうとすると矛盾も出てくるのだと思います。少し前なら,一般機と英語重視機という2つに括るだけでよかったのですが,今ではそれに加えて高校生向けモデルも入り,英語重視機の中でも一般機に近いものと上級者向けモデルに分かれてきています。さらには上級者向けの中でも読解重視のT7000と発信面重視のT6700のように細分化されてきていますから,その都度型番のバリエーションを増やしていたら販売店側も混乱すると思います。そのため,セイコーの場合はSR-TとSR-Mという2種類の大区分の中でやりくりせざるをえないのでしょう。最近は,生協モデルは別のアルファベットを使っていますが,昨年のモデルだとSR-9800, SR-9300のように従来機の空き番を使っていました。そのため,Tシリーズの筐体なのにTがついていないとか,コンテンツを削っているのにベースモデルよりも数字が上だったりと,ややこしかったです。

私の予想ですが,T6700はCOBUILDベースの最上級機なので,SR-9200→SR-T6500の後継になる機種だと思います。そのために6000番台なのでは? 一方,同時期に発売のT5120は,T5000をベースにした後継機で,古語辞典を入れるなど,学生層もターゲットに入れているので5000番台になっているのかもしれません。T6800は,出た頃はCODや医学系コンテンツ搭載という点で,T6500の上位になるため,当時の最大型番を使ったのでしょうか。また,T7000はダブル英和・ダブル英英という点では過去にないコンセプトの機種で,G大とリーダーズの両方を入れていることもあり,G大系の5000番台とリーダーズ系の6000番台のどちらを名乗ることもしにくいので,5000番台+6000番台ということで7000番台を新設しているのかもしれません。もしT6700がG3でなくG大搭載なら,SR-T7200のような番号になっていたかもしれませんが…。

セイコーさんの機種の場合,Tシリーズ,Mシリーズに関係なく,最近はおおよそ以下の規則性があるようです。(生協モデルは別ですが)

4000番台→高校生向けモデルや安価なエントリーモデルとしての機種
5000番台→G大搭載機
6000番台→リーダーズ系搭載機
7000番台→G大+リーダーズ系

カシオさんだと

4000番台→高校生向けモデルや安価なエントリーモデルとしての機種(古語辞典搭載機)
6000番台→汎用機(多コンテンツ機)
7000番台→第二外国語モデル
8000番台→英語重視のエントリーモデル(学習英英搭載機)
9000番台→英語重視の上級モデル(学習英英+大規模英和+複数類語系搭載機)

シャープさんは大区分(アルファベット)でハードウェア的に分け,同一区分内では発売順に数字を割り振るような感じです。そのため,用途別には分かれていません。

PW-S→PDA的機能を持たせた機種(メモ機能など)
PW-C→カラー液晶モデル
PW-M→小型機
PW-A→コンテンツカード対応
PW→従来機からの流れ

>B順不同になってしまいましたが, SIIのSRのSとRは何の略(頭文字)?

これはよく分かりません。昔はTR型番で,7000番台が英語(英和,和英,類語)専用機,9000番台が7000番台+広辞苑,6000番台が広辞苑単独モデル(TR-6700は例外で,カレッジライトハウスの専用機)だったと思います。最初は3桁で,後に液晶解像度が上がってからは4桁になっています。SRになったのは,99年12月のSR-8000からだったはずです。ということは,Super(Special)のSなのでしょうか? 当時は機種ごとのパンフレットがありましたが,SR-8000のものは「スーパー英和和英」「スーパースペック」云々と大きく書いてありますので,従来機とは別コンセプトの機種ということで型番も新しくしたのかもしれません。ただ,それ以降は廉価機でもSRを使っていますが…。

「あったらいいな症候群」 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月 2日(月)10時26分26秒

たしかに,電子辞書への要望はいろいろあり,すぐに実現できそうなものもあれば,これは無理だろうというものもあります。ただ,過去の「あったらいいな」という要望を調べてみるとよく分かりますが,これは絶対に無理だろうというような(お書きになっている方自身もそう思っていらっしゃるような)ことが意外と早く実現されていることはけっこうあります。

この掲示板を立ち上げたのは2001年の秋で,ちょうどセイコーさんが初代のフルキーボードモデルを発表した頃だったと思います。当時はリーダーズと広辞苑が同一機種に搭載されるというだけでも驚いていましたが,その頃は英英辞典にこれほどの選択肢が出るとは思ってもいませんでした。OALDはともかく,COBUILDのような,英英のシェアを見てもマイナーな学習英英が電子辞書化されるとは夢にも思っていませんでしたが,実際には搭載されました。他社さんが入れてこないことを考えても,コスト等を考えれば決して容易に実現できるものではなかったと思います。まして,Wordbankなどは英語教員ですら知っている人はそんなにいません。そもそも,コーパスというものすら,一般にはそれほど知られていないのに,CD-ROM版の10倍近い標準価格の電子辞書に載ってしまったということ自体が驚きです。英活にせよ,日本語類語にせよ,第二外国語コンテンツにせよ,要望が出た頃は,要望というよりは願望に近く,まさか数年後の複数の電子辞書に搭載されるとは思ってもいなかったのでしょうか。

一見突飛な要望であっても,そういうユーザの声を実現可能か不可能かは別にしても吸収しようとしているメーカーさんは多いと思います。そういうメーカーさんは,突飛な要望であっても,そこから想像力を働かせ,商業ベースで採算がとれる形に手直ししながら新機種の新機軸,新コンテンツとして(たとえ一部であっても)採用していただけると思います。このように,今までにない発想で考えてみるというフロンティア精神が今の電子辞書業界にはあるからこそ,これだけ進化が著しくなっているのだと思います。もし,こういう発想がなくなってしまえば,コンテンツの数を増やすとか,薄くするとか,表面的な受けを狙った機能やデザインの競争をするとかいった,誰でも思いつくところだけの改善にとらわれてしまうと思います。

何人かの皆さんもおっしゃるように,要望が実現可能か不可能かを判断するのはメーカーさんの企画や開発に携わる方々だと思います。彼らは判断ミスが大きな損失を引き起こすリスクを背負っているわけですから,我々エンドユーザが思いもつかない判断(実現不可能だと思っていることが実現されたり,実現しやすそうだと思っていることがなかなか実現されなかったり)になることもあるでしょう。しかし,そのおかげで,我々は(リスクがないのですから)自由な発想で電子辞書の未来像を語ることができるのではないでしょうか。

私としては,こういうユーザの一般的な発想は,電子辞書に参入するあらゆるメーカーさんが極力平等にシェアできる形(こういう掲示板など)で提示するのが望ましいと思っています。そうすることで,各メーカーさんの企画力,技術力が製品のクオリティーに反映されるからです。メーカーさんはプロですから,エンドユーザとは比較にならないほどの製品や業界研究はされていると思いますが,実際に英語の辞書を使いこなしているようなポストの方はわずかですから,我々エンドユーザの声というのは,実現可能不可能に関係なく,貴重なのではないでしょうか。メーカーさんの立場だと,実現可能不可能ということが先に出てきてしまい,それが自由な発想にブレーキをかけてしまうケースもあるでしょうから。

英語学習支援ツールとしての電子辞書 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月20日(木)13時41分25秒

最近の機種は,単語帳や日本語ジャンプの機能は標準装備のようになっていますが,以下のような機能が加われば,さらに便利かと思います(これは某所での報告のごくさわりです)。

・「以前に引いた単語」かどうかを検知し,ユーザに知らせる機能:キー入力して検索した単語が,履歴の中に存在している場合(=最近引いた単語をもう一度引いた場合)は,何らかの表示(時計のアイコンなど)を画面上部にでもすれば,ユーザは「この単語は前にも引いた」ということが認識できます。できれば,設定画面で「最近何語以内に引いた単語であれば表示を出すか」を選べるようにすればいいと思います(たとえば,10を選択すれば,100語の履歴の中で最近の10語にその語があった場合,表示を出す(=11語以下であれば,履歴にあっても何もしない))。同様に,単語帳にすでに登録されている単語を再度キー入力で検索した場合は鉛筆アイコンを表示させるとか。これにより,履歴や単語帳機能と通常の(キー入力の)検索が融合し,以前に引いた単語を再度検索した場合,ユーザが「以前に引いたのに,覚えていなかった」旨を自覚することができます。設定画面で「過去に検索した語を再検索したとき: 何もしない アイコンを表示 メッセージボックスを表示」「単語帳に登録されている語を再検索したとき: 何もしない アイコンを表示 メッセージボックスを表示」のようにして,この機能のオンオフが切り替えられればベストでしょう。

・ジャンプ時にたどった内容を表示する機能:たとえば,「(広辞苑)じしょ」→「(和英)ことば」→「(英和)language」のようにジャンプした場合,languageの検索結果画面の最上部に,「(英)language←(和)ことば←(広)じしょ」のように表示させるわけです(シャープさんの機種のように,タブをつけるなど,視覚的に工夫すれば見やすいです)。これにより,ユーザのジャンプ操作が視覚的に分かるので,ジャンプを多用する人は便利です。もちろん,戻るキーを押せばそれに応じて表示も変化するようにします(上記の場合,1回戻るキーを押せば「(和)ことば←(広)じしょ」になる)。また,現行機種では一旦戻ったものを取り消す(ブラウザの「進む」ボタンにあたるもの)がありませんので,これを実装すると,ジャンプによる行き来が便利になります。また,最近の機種は10階層近くのジャンプに対応しているので,最初のほうに戻るのは大変です。「戻る」キーの長押しで,ジャンプ階層をメニューのように表示し,選択することで特定の階層にワンタッチで戻れるようにすると便利かもしれません。「進む」キーをつけるのなら,「進む」キーも同様です。上記の例だと「戻る」キーを長押しすると以下のようになります。
--------
A(広辞苑)じしょ
B(和英)ことば
C(英和)language

戻る語を選択してください
----------
のように。

そのほか,ジャンプ先のプレビュー(ジャンプキーを押し,ジャンプする語を選択する(反転カーソルが出る)画面で,下半分にその語をジャンプ先辞書で検索した結果をプレビューさせる)など,便利な機能で,かつ技術的にもそれほど困難であると思えないのにまだ搭載されていないものはけっこうあります。

コンテンツ競争は,そろそろ飽和状態になってきています。32冊収録を50冊収録にするのは,技術的には全く問題ないでしょうが,32冊でさえ,キーボードにアサインされていない辞書にメニューからアクセスするのが大変なのに,それが50冊になれば,使い勝手が大幅に悪くなります。上記のようなちょっとした工夫で,今まで以上に使いやすい電子辞書になることを望みたいです。

スペルチェックに関して 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月13日(木)09時57分52秒

スペルチェックの必要性に関しては様々な見解があると思います。昔の機種では,訳キーを押すまで入力したスペリングの正誤が分かりませんでしたが,インクリメンタルサーチが標準機能のようになった今では,1文字入力する都度,スペリングが正しいかどうかが視覚的に分かるようになりましたので,スペルチェックは必要ない,という方もいらっしゃるでしょう。

Franklinの電子辞書は,現行の最新機種でさえインクリメンタルサーチを搭載していないので,スペルチェックの需要も高く,それがスペルチェックエンジンのレベルの高さにもつながっているのかもしれません。Franklinのスペリングチェッカーは,第一号機が1986年に出ています。当時は,DOSパソコンが普及しかけていた頃なので,英文ワープロソフトやハイエンドの英文タイプライターには,スペルチェックは備わっていたとはいえ,今のWordのようにバックグラウンドでチェックを行うようなものではありませんでしたので,以下のリンクにあるような単体のスペリングチェッカーの需要もあったのだと思います。

たしかにスペルチェックの存在さえ知らないユーザが多いのは事実ですが,学生層を対象に私が調べたところでは,スペルチェックの使い方を明示的に教えることで,以後使用率がかなり上がるというデータもあります。インクリメンタルサーチだと,語末のほうのスペリングを間違えた場合にはいいのですが,語頭のほうのスペリングを間違えると検索できません。スペルチェック機能なら,blekfastと入れてbreakfastが検索できるなど,使い慣れればスペリングの怪しい単語も迅速に検索できますので,インクリメンタルサーチと併用することで有効に使えるのではないかと思います。

もっとも,いろいろなところで書いていますが,現行機種のスペルチェックはメーカーによって操作性が大きく違うのは問題だと思います。以下にその例をあげます。ベストな操作系としては,ユーザサイドがスペリングの正誤を意識しなくてもよいAタイプでしょう。スペリングが正しくても,自信がなくても,誤っていることが分かっていても,とにかくENTERを押すだけで,あとは電子辞書側が判断してくれます。ただし,操作系の都合上,インクリメンタルサーチとの共存はできません。Bタイプは,インクリメンタルサーチとスペルチェックを共存させるには最適な操作系だと思います。インクリメンタルサーチで絞り込んでいって,求める単語が出てこない→スペル間違いの可能性あり! とユーザが判断した時点でスペルキーを押せば,修正候補を出してくれます。B'タイプは,絞り込んで候補がなくなった時点ではじめて「該当語なし→スペルチェックへ」が出るので,短い単語のスペルミスだとうまくいきません。Cタイプは,スペリングの正誤を,入力する前にユーザが認識している必要があり,ちょっと使いにくい操作系だと思います。

Aタイプ(Franklin):「スペルチェックモード」自体が存在しない。単語を入れ,ENTERキーを押すだけ。入力語が正しければ語義を表示し,誤っていれば自動的にスペルチェックがかかり,修正候補を表示。

Bタイプ(セイコー,キヤノン,ソニー):「スペルチェックモード」自体が存在しない。入力語が誤っていてもその旨表示されないが,「スペル」キーを押すことでスペルチェックを実行

B'タイプ(シャープ):Bタイプに似ているが,スペルチェックモードは存在。入力語が誤っている場合,「該当語なし→スペルチェックへ」を選ぶとスペルチェックモードに切り替わるので,さらに検索キーを押すことでスペルチェックを実行。最初からスペルチェックモードで検索することもできる。

Cタイプ(カシオ):通常モードとスペルチェックモードが厳密に区別される。通常モードでスペリングが誤っていた場合,一旦クリアしてスペルチェックモードの入力ボックスに入れ直す必要あり。

http://www.pnylab.com/pny/products/spellers/main.html


新和英中辞典の例文検索 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月21日(火)12時15分33秒

M6000のレビューで重要なことを忘れていましたが,M6000で新搭載された新和英中辞典の第5版は,旧版と同じく,文形式の用例は例文検索の対象になりますが,句例は対象になりません。たとえば,「たたきつける」の場合,「たたきつけるような風」(句例)はヒットしませんが,「雨がたたきつけるように降っていた」(文例)は例文検索にかかります。この仕様はSR-8000/8100に搭載の第4版でも同じでした。

ただ,第5版になってから,文例を減らしたかわりに句例が非常に多くなったため,句例が例文検索対象にならないのはもったいないことだと思います。公称では新和英中辞典は9万ちょっとの句例,文例を収録(むしろ文例より句例が多いような感じがします)していますので,句例も例文検索対象になれば,COBUILDやG3とあわせ,かなり大規模なコーパスがわりになるのですが…。

このことは,取説の例文検索の箇所にも記載されていませんし,ふつうのユーザは句例と文例の違いなど意識しないで,両方とも「例文」ととらえるでしょうから,新和英中辞典には検索されない例文が多い,と言われるかもしれません。時期的に,SR-T7000に搭載の新和英中辞典も同仕様になりそうな気がしますが,他社製品含め,今後の機種では,複合語インデックスの問題と合わせ,改善が望まれます。

「とっさ」の検索仕様差(>風待月さん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月21日(火)21時04分34秒

>「〜一言」を例文にして、新和英中辞典と組み合わせて使えば、そこそこ使えるんじゃ
>ないかとは思うのですが、なんだか「〜一言」側が物足りないですね。もっと例文が欲
>しいところです。

例文は公称で8000あるので,会話集にしてはかなり多いですが,たしかに例文検索ではヒットしにくいですね。「とっさ」のように日本語訳をキーにして例文を検索するのは,英単語をキーにするのと違い,インデックスを作る際に単語を切り出す必要があるので,一筋縄ではいかないと思います。そのため,実際には収録されていても,キーワードの入れ方によってはうまく検索できないこともあります。

たとえば,「そっとやってね。テレビを落とさないで」という例文は,「やって(ね)」や「落とさない(で)」をキーにしても検索できません。いわゆるプレインフォームの「やる」「おとす」を入れないとだめです。

もっとも,このへんは同じコンテンツでもメーカー間のユレがかなりあります。シャープさんの「とっさ」は「おとす」をキーにしても,上記の例文はヒットしません(「おとさない(で)」もだめです)。カシオさんのXD-V6300などはどうなのでしょうか(現物がないので確認できませんが)。

>#例えば、”不安”を表現するverbが「〜一言」に載ってない、とか。

日本語間で言いかえてみればうまくいきます。「不安」はなくても「しんぱい」ならたくさん出てきます。

ただ,これもメーカー間の差は大きいです。セイコーさんの機種は「しんぱい」をキーにすると14例出てきます。これはM6000などの最新機種はもちろん,「とっさ」初搭載のSR-9700でも同じです。しかし,PW-A8000では1例しか出てきません。変化形のものはインデックスに入っていないからなのかと思ったら,そうでもないようで,「心配しても解決しないよ」は載っているのに「何を心配しているの」は出ていません。

シャープさんに限りませんが,こういうカタログスペックに出ないところの仕様差は本当に困ります。たしかに,キーワード検索で引っかかる件数が多かろうが少なかろうが,「とっさのひとこと」の8000例文を含むフルテキスト収録,と標榜できますが,せっかくキーワード検索を搭載しているのに片方の機種では14例も出てきて,もう片方では1例しか出てこないというのはひどいです。ほかにも,ワイルドカードで語頭に不明文字が使えないとか,G3の複合語が一発検索できないとか,各社によって盲点はいろいろありますが,これらのほとんどはふつうのユーザは気に留めないのでまだいい(良くはないですが(^^;;)と思います。しかし,会話集の例文検索というのは高校生でも和英辞典のかわりに使ったりするでしょうから,ちょっと気になります。

英語系コンテンツの複合語ジャンプ 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月 3日(金)20時48分50秒

メーカー,機種を問わず,とくに大規模英和を搭載したコンテンツの盲点に,複合語(cream cheeseのような2語以上の見出し語)への直接ジャンプができないということがあります。リーダーズ,リープラ搭載機をお持ちの方は,リープラにあるRitzを検索してみてください。その中の第2語義(クラッカーのリッツ)に「旧Nabisco Brands製の…」とあり,Nabisco Brandsの後に左下向きの矢印があります。この矢印は「リープラの中にNabisco Brandsが見出し語である」という意味なので,Nabiscoにカーソルを合わせてジャンプすると,Nabisco Brandsという複合語に飛ばずに,リーダーズ英和にあるNabiscoにジャンプしてしまいます。このように,英和系辞書は複合語にジャンプしたくても,ジャンプ対象が1語しか選べないので,たまたまその1語が見出し語で存在すると,その語にジャンプしてしまいます。

Nabisco Brandsはアルファベット順からするとNabiscoのすぐ近くにあるだろうから,Nabiscoにジャンプしても,次見出しキーを何回か押せば出てくるだろうとか,リストキー(シャープ)で一覧を出して,そこから選び直したりすればいいだろうと思うかもしれません。しかし,厄介なのは,セイコー,シャープの機種は,リーダーズとリープラの収録語全部を1つのアルファベット順リストで表示される*のではなく*,リーダーズとリープラのリストはそれぞれが独立しているということです。ですから,Nabisco(リーダーズ)のエントリーから次見出しキーを何回か押しても,Nabisco Brandsはリープラにしか載っていない単語なので,出てこないのです。これは,リストキー1つで検索した単語の近所の語がリストされるシャープさんの機種でも同じです。カシオさんの機種は,リスト表示がリーダーズ,リープラを混ぜたアルファベット順で出るので,このようなことはありません。Nabiscoから次見出しキーを押すだけでNabisco Brandsが出ます。

些末なことのようですが,こういうカラクリを知らないユーザは,Nabisco BrandsにジャンプしてNabiscoしか出ない,次見出しキーでも出てこない,となると,Nabisco Brandsは載っていないと解釈する危険があります。今述べた点をまとめると,以下の2つになりますが,次期機種での改善を望みたいです。

・リーダーズ,リープラ搭載機の場合,辞書モードキーは1つ(リーダーズ,リープラの2つではない)なのに,リスト表示の方式は2冊の辞書のように(リーダーズ,リープラそれぞれでアルファベット順になっている)なっているので,上記のことが起こります。XDシリーズのように,リスト表示のインデックスもリーダーズとリープラをあわせた1つのアルファベット順にすれば解消されます。

・英語系辞書は,広辞苑と違い,複合語へのジャンプができません。広辞苑は,「国際会議」のように見出し語「国際」の複合語であっても,ちゃんと「国際会議」にダイレクトにジャンプできます(「国際」にジャンプするのでなく)。同様に,英語系辞書でも,反転カーソルのある単語だけでなく,その語に後続する単語があれば,その語も含めて最長一致でジャンプ先をリストする(処理時間がかかるでしょうが)ことが望まれると思います。

上記は,主にメーカーさん向けの内容ですが,一般のユーザの方も,ジャンプした際,とくに複合語で望むものが出てこない場合は,載っていないと早合点しないで,その単語を(ジャンプ操作でなく)もう一度キー入力してみることをおすすめします。手入力の際のリスト(インクリメンタルサーチの候補語リスト)は,リーダーズとリープラを混合したアルファベット順なので,Nabisco...と入れればNabisco Brandsも直下に出てきます。

残念ながら,このあたりのところは最新のPW-A8700でもそのままになっています。SR-T7000はどうかわかりませんが,もしT6500のリーダーズ,リープラのデータをそのまま使っていれば,同じようになる可能性があります。

ジーニアス系辞書の例文検索 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月30日(火)10時19分08秒

(メーカーさんや例文検索を重視するパワーユーザの方向けです)

2002/11/24 22:36:48にXD-R9000のレビューで指摘したのですが,ジーニアス系英和(=G3,G大)搭載機の例文検索は,入力した単語が含まれる例文がヒットしないことがあるので注意が必要です。この現象はカシオさんの機種だけかと思っていましたが,シャープさんの機種でも,XD-R9000以前に発売されたPW-M670に始まり,最新のPW-A8700のG大に至るまで,そのままになっています。個別機種の特殊な不具合(いわゆるバグ)ならここで晒すのもどうかと思いますが,これは複数メーカーの,複数機種に共通する点なので,あえて問題提起します。とくに,PW-A8700は例文検索を酷使するようなパワーユーザの人も興味を持つ機種でしょうから,注意が必要です。

※この現象は,ジーニアス系英和(G3,G大)のみです。リーダーズやOALD,ジーニアス和英等では起こりません。

※なお,ジーニアス系搭載機でもセイコーの機種は大丈夫です。SR-9700などの旧機種も,SR-T5000, T4020などの現行機も問題ありません。発売予定のT7000は当然分かりませんが,わざわざ現行機のインデックスを根本的に変えることもないでしょうから,現行機通り問題ないのでは,と思います(これは予想ですので,気になる方は実機が発売されてから確認してください)。

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G3やG大のafterの項(第3語義)には

(1)after hours

という例文(例句)が出ていますが,例文検索でafterとhoursをキーワードにしても,G大(G3)に載っている例文はヒットしません(リーダーズやG和英に載っているものはOK)。

しかし,原形にしてafterとhourをキーにすれば検索できます。

これだけなら,「ジーニアス系の辞書は,変化形を調べたいときも原形で入れればいい」と言えるのですが,実際はこんな単純にはいきません。

たとえば,inの中にある

(2)I'll phone you in two hours, after the meeting.

という例文は,(1)と同じくafterとhoursが含まれていますが,(1)のように原形でafterとhourを入れるとヒットしません。afterとhoursならOKです。

なぜこのようなことが起こるかというと,(テクニカルな話ですが)ジーニアス系の辞書の例文は,例文中にある,その例文の載っている見出し語と同じ単語は「〜」で略されています。電子辞書の例文検索では,これだと分からないので「〜」の単語の原形を例文の頭にスペルアウトしています。その場合,スペルアウトした(原形の)単語がインデックスに入っているようです。

(1)の例文は見出し語hourの中の例文で,〜sのように略されています。そのため,スペルアウトの際は原形になり,hourがインデックスに入っているので,hoursではヒットしないのでしょう。

一方,(2)の例文は見出し語inの中の例文です。そのため,hoursは「〜s」のように略されて*いない*ので,スペルアウトの必要はなく,インデックスにはそのままhoursで入っているから,例文検索でもhoursでヒットするのでしょう。
このように,同じ辞書内でも挙動が違うのはちょっと疑問です。たしかに,ジーニアス系の辞書は用例の見出し語部分が「〜」になっているので,例文検索のインデックスを作る際に工夫がいるのは分かりますが,それでも上記のように,after hoursが使われている例文が,場合によってヒットしたりしなかったりというのは困ります。

今までは,出版社をまたいだ同一種の辞書を1つのモデルにカップリングした機種はほとんどなかったので,こういう現象は顕在化しなかったのでしょうが,最近のハイエンド機のように,出版社の異なる英和が一緒に入っていると,同じ英和であるのに,ジーニアスとリーダーズでは挙動が異なることになり,ユーザは戸惑います。

以前,電子辞書パワーユーザの人に「この電子辞書には本当にジーニアスの例文すべて入っているんですか? 省略されている例文があるのでは?」と言われたことがあります。電子化の際に偶発的に漏れてしまったということなら,万一あるかもしれないが,意図的にカットしていることはありえないです,というお話をしたら,例文検索で,あきらかにジーニアスには載っている平易な例文がヒットしないことがある,と言われたので,これだ,と思ったのですが…。

例文検索は,とにかく入力したキーワードが含まれる例文を全部検索できて当たり前の機能です。インデックスの都合というようなことは,厳しい言い方をすればユーザ側の知ったことではありません。もちろん,メーカーさんも開発時に例文検索のテストはしているでしょうから,OALD等,多のコンテンツでは全く問題ないので,ジーニアス系も同じだと思い,見過ごされてしまったと思いたいですが,次期機種での改善を強く望みたいです。マニュアルにも,こういう制約は一切書いていないのですから,まさか,こういうことを承知の上でそのままにしているとは思えないですが(^^;;

いずれにしても,こういうコンテンツによって揺れが生じるような仕様にせざるをえないのなら,その機能を搭載しないほうがはるかにましですし,例文検索という機能を搭載する以上は,「入力したキーワードが含まれる例文を根こそぎピックアップする」というあたりまえのことがあたりまえにできるようなものにしてほしいのがユーザの言い分だと思います。


今後の電子辞書(>萌々さん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月29日(月)17時03分37秒

>今後の電子辞書っていうのは、どういった機種が出てくるのでしょう?
>ある程度、飽和状態になったと思っています。
>私にとって、リーダーズとリーダーズプラス、ジーニアス英和大辞典が
>一機種になった時点で奇跡です!

1年前に,COBUILDやG大という上級コンテンツを搭載した機種が発表されたときもそうでしたが,今までは思いもしなかったようなコンセプトの製品がどんどん出てきています。ネイティブ向け英英と学習英英の同時搭載や日本語類語,大規模英和の複数搭載に関しては前からここでも話題になっていましたが,本当に実現されてしまいました。そう考えると,今ここで話題になっていることでまだ実現されていないことの中で,一般性のあるものは1年後,2年後の電子辞書で実現されてもおかしくはないと思います。可能性が高そうな順(あくまでも私個人の考えで,何の裏もありませんが(^^;;)にあげてみます。

・日本語類語の搭載:すでに一部機種で搭載されているのですから,1年後にはまず間違いなく業界標準コンテンツになるでしょう。

・ジーニアス系以外の学習英和の搭載:レクシス,ウィズダム,アドバンスドフェイバリット,ルミナスなど,ジーニアスと同クラスの辞書が増えてきました。SR-T4030のように,特定出版社とのコラボレーションモデルも登場していますから,冊子体が一段落つけば,これらの辞書の電子辞書への搭載も考えられます。電子辞書がこれだけ売れ筋商品になっているのですから,今までのようにメーカーさんからアプローチをかけるだけでなく,出版社さん側が自社の辞書をメーカーさんに売り込むということも出てくるのではないでしょうか。

・液晶解像度の増大:SR-Mシリーズのように,小型機であるのに現行の大型機と同等の解像度の液晶を搭載した機種が出てきましたから,今後の大型機は液晶解像度の増加は必至でしょう。

・電子辞書専用コンテンツの搭載:LDOCE4版なんかがそうですが,CD-ROM版は冊子版以上の用例や語義が収録されています。IC辞書に載せる学習英英辞書も,冊子版をベースにするのでなく,CD-ROM版をベースにしたコンテンツになる可能性もあるでしょう(データはCD-ROM版のをそのまま使えるのですから)。英辞郎も,何だかんだいっても使っている人が多いので,コンテンツ入れ替え型の機種に入る可能性はあります。アルクさんとのつながりが深いということで,XD-CPシリーズの追加コンテンツとか…?

・付加機能,高度な検索機能:SR-8000/8100の先進的な機能(2画面表示やブックマークなど)は,最近の多コンテンツ機でこそ生きてきますから,復活してもいいような気はします。来年はSR-8000の発表5周年ですし(笑) そのほかでは,英英辞書系の語義からの検索(ある単語が定義の説明に含まれる見出し語をリストする)や,リーダーズなどでの訳語から検索することで和英辞典として使えるような機能でしょうか。リーダーズの語義検索はCD-ROM版では搭載されていますが,これにより冊子体にはない,オリジナルの大規模和英として使うこともできます。

このあたりでしょうか?

(追加)OALDの場合 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月29日(月)11時40分11秒

SR-T5000 成句:1,複合語:1
PW-A8700 成句:2*,複合語:1
*成句を登録することはできない
IDF-4500 成句:2* 複合語:1
*成句検索で検索した場合は(1)

ややこしいです(^^;;

↓追加 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月29日(月)11時25分52秒

カッコ内はテストした機種です。これ以外の機種でも,この機種と同時期以前に出た機種は,おそらく同じだと思います。

成句・複合語の単語帳への登録 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月29日(月)11時24分04秒

他掲示板で話題になっていたマニアックなことですが,成句(いわゆるイディオム)と複合語(cream cheeseのように2語以上の見出し語)を電子辞書の単語帳機能に登録する場合,メーカーや搭載辞書により,「(1)その成句(複合語)だけが登録されるもの」と「(2)その成句(複合語)を含め,主見出しにある成句(複合語)がすべて登録されるもの」がありますので単語帳機能を重視する人は注意が必要です。

例をあげると,(1)の仕様だと,cream cheeseを登録すると,cream cheeseのみが登録されますが,(2)ではcreamの複合語全体が登録されます。ですから,cream bun, cream cake...なども一緒に登録されてしまうので,自分はこの中のどの語を登録したのか,後で分からなくなります。成句も同じで,(1)のタイプだと,get offを登録すればget offだけが登録されますが,(2)だとgetの中に入っている成句が全部登録されてしまいます。

以下に,各機種がどちらのタイプか明記しておきます。これを見ると,リーダーズとジーニアス系では複合語のインデックス構造が違うようで,それが影響を及ぼしているようです。ジーニアス系は,複合語は主見出しの中に追い込まれています(cream cheeseはcreamの語義の中にある)が,リーダーズでは複合語は別見出しになっている(cream cheeseとcreamは別の見出し語)ので,単語帳登録したときに挙動の違いが出るのでしょう。

(セイコー)

(T6500)リーダーズ 成句:1,複合語:1
(T4030/T5000)G3,G大 成句:1,複合語:2

(シャープ)

(A8700)リーダーズ 成句:2,複合語:1
(A8000/A8700)G3,G大 成句:2,複合語:2

(キヤノン)

(IDF-4500) G3 成句:2* 複合語:2
*成句検索で検索した場合は(1)

テキストビューア,エディタを備えた次世代電子辞書は…? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月27日(土)10時44分20秒

ひまわり3さんもご指摘のように,SR-Mシリーズは2WAYの操作キーにより,データブラウジングの快適さにも考慮が払われていると思いますが,今後の発展形としては,ストレージカードのスロットを搭載して,電子辞書にテキストビューア(できればエディタも)を備えると便利になるかもしれません。最近は電子テキストも普及してきましたので,趣味で英語を学ぶ人は,洋書の小説のテキストファイルをPC経由で電子辞書に取り込めば,電子辞書1台持っていくだけでペーパーバック+複数の辞書の役割が果たせます。テキスト中の単語を搭載の辞書にジャンプしたりすれば,キー入力の手間なく本が読めますね。

仕事で電子辞書を使う人にとっては,海外出張の際に出張先での会議資料をテキストファイルにして電子辞書本体に転送しておけば,資料を汚したり紛失する心配なしで,移動中の機内で読めます。膨大な資料と電子辞書を狭いテーブルに並べる必要がないので,その気になれば機内食を置いたまま資料を読むことができるでしょう。逆に,プレゼンをする際など,機内で思いついたことは,電子辞書にテキストエディタがついていれば,その場で補足資料として作成し,出張先のPCとプリンターを借りて会議前に印刷,配布することができますね。PDAならできるではないかと言われそうですが,最近のザウルスのように,欧米直行便のフライトタイムさえバッテリが持たない機種では,電池切れの心配を常にする必要があるのでストレスがたまりますし,辞書内蔵の機種があるとはいっても,そのコンテンツや操作性は専用機(IC辞書)の足元にも及ばないのですから,結局は電子辞書とPDAを並べて書類を作るしかないでしょう。

シャープさんのPW-CシリーズはSDカードスロット搭載で,画像ビューア,テキストビューアを備えていて,このコンセプトに近いですが,カラー液晶なのでバッテリが持たないという点が最大の致命要因になります。画像ビューアが必要な職種の人(営業の方などで,自社製品を取引先に紹介するなど)も多いでしょうが,そういう方はわざわざ電子辞書の小さな画面を使わず,ノートパソコンの画面を相手に見せるでしょうから,電子辞書のビューアとしてはテキストに特化したほうがいいのかもしれません。テキストビューアなら現行機のハードウェア(白黒液晶&長い電池寿命)で全く問題はありませんね。

#最近はネットワークの世界はもちろん,PDAでも画像だ動画だと進化していますが,ビジネスにせよ,語学学習にせよ,一番の基本は文字情報だと思います。テキストファイルであれば(文字コードの相違を除けば)全世界のあらゆるパソコンや情報処理端末でやりとりができますから。しかし,画像や音声メディアを処理するためにどんどんOSが重くなっていき,逆に基本となるテキストを快適に処理できるPDAなり,PCなりが非常に少なくなっているのは困ります。ザウルスにせよ,WinCEベースのPDAにせよ,最新機種でも一瞬で起動というわけにはいきません。一方,DOSベースのモバイルギアや,ここでもたまに話題に出るHP200LXなどは,画像処理は苦手(というより不可能に近い)ですが,電源オンで瞬時に立ち上がります。LXなどは,ATOKで漢字変換をしている途中に電源を切っても,次に電源を入れれば未変換の文字列を含め,そっくりそのまま元の状態に戻ります。文字列置換など,時間のかかる処理をしている途中で電源を切っても,次に入れれば途中から作業を継続するほどです(普通は,作業中に電源を落とせば,作業中のファイルが破壊されるか,最悪の場合システムがおかしくなりますが)。

現行のIC辞書の場合,文字情報を検索,表示する端末としては,昔のDOSベースの端末に共通する面があると思います。いつでも好きなときに電源を落とせるし,電源ONで一瞬のうちにレジュームされること,無茶な扱いをしてもシステムが立ち上がらなくなったりすることは皆無であることなどですが,この基本を生かし,情報処理のもっとも基本的なフォーマットであるテキストファイルの閲覧,編集が快適にできる機能が備われば,と思います。

航空機の場合 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月27日(土)09時46分18秒

航空機内ですが,各航空会社とも,携帯電話,PHS,FMラジオ,ワイヤレスCDプレーヤなどの「電波を発する機器」は常に(飛行機に乗ってから,降りるまで)使用禁止です。最近の携帯の場合,メール作成や音楽の再生など,スタンドアロンで(電波を発しないで)使うこともできますが,まぎらわしいので一律使用禁止とのことです。

また,デジタルカメラ,ビデオカメラ,電子手帳,電子ゲーム,カセットやMD等のプレーヤー(ウォークマンなど)などは,離着陸時(搭乗時から,離陸後ベルトサインが消えるまでと,着陸前のアナウンスから降機するまで)は使用禁止です。電子辞書はこの対象となる品目に入っていませんが,電子手帳と同等に考えればいいでしょう。

機内での携帯使用禁止は,単なるマナーの問題と思っている(だから,通話をしないでメール送信ならいいだろうと)人もいるようですが,過去に機内で携帯を使用した客がいて,その際に航法計器がブラックアウトしたケースが国内で実際にあったそうです。最近の飛行機は機械的な計器がほとんどなくなり,ほぼすべてが画面上に表示されるので,トラブルが起これば大変なことになります。一律禁止は当然だと思います(といっても,実際には隠れて使っている客も多いので,本来ならナイフなどと同じ持ち込み制限品にしてセキュリティーで預かるというぐらいでいいのかもしれませんが)。

電子辞書含め「それ自体が電波を(意図的には)発しない機器」なら問題はないでしょうが,電子機器といっても様々で,機器によっては計器に影響を及ぼす危険がゼロではないでしょうから,離着陸時のように高度が低く,航空機の性能や乗務員のパフォーマンスもマージンが少ない状況では安全上の理由から使用禁止にしているのでしょう。

#10月から「のぞみ」が増発,値下げになり,航空機に対抗するために今までにないPRが沿線ではされているようですが,車内(通話はデッキでしょうが)で自由に携帯やパソコンが使える,それどころか,車両によっては大きめのテーブルや電源コンセントまで用意されているという点をなぜアピールしないのか不思議です(^^;; 羽田−伊丹などは電子機器の使える時間が10数分ということも珍しくないでしょうから,実質的には機内では何もできないでしょうから。

電子辞書の医療機器その他の影響について 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月27日(土)09時27分26秒

私は医療現場のものではないので正確なことは何とも言えませんが,JUN-2さんもおっしゃるように,外来患者さんの待合室や一般病棟なら電子辞書は全く問題ないと思います。PCにくらべれば機器が発するノイズも少ないですから,電子辞書が不可なら,業務用として院内で普通に使われているパソコンや,入院患者さんが病室に持ち込むPCもだめになるでしょうし,テレビや各種のリモコンなど,類似の機器は病院内でもたくさん普通に使われています。

電子辞書やパソコンは,それ自体が携帯電話のような「電波を発する機器」ではありませんので,特殊な医療機器にくっつけて使うなどしない限りは全く問題ないと思います。もちろん,多少のノイズは発しますが(ラジオのそばで電子辞書やパソコンを使うと雑音が入ることからもわかります),それは医療機器の誤作動を生じさせるほどのものではないと思います。もちろん,パソコンでも無線LANカードのついたものなどは,携帯電話使用禁止の場所ではLANカードのスイッチを切っておいたほうがいいと思います。また,入院中にインターネットアクセスをする場合は,携帯につなぐのではなく,院内の公衆電話にケーブルをつなぎ,アナログモデムやISDNカードで通信するほうがいいかもしれません(このへんは各病院によってポリシーが異なるでしょうが)。

心臓ペースメーカーの誤作動などの不安もあるようですが,通常の電子辞書なら全く問題はないと思います。ただ,スピーカーのついた機種(発音機能のある機種)の場合,スピーカーの磁気が影響を及ぼす可能性は排除できませんので,ペースメーカーをお使いの方はこういう機種は身につけない(ポケットに入れたりしない)ほうがいいでしょうね。

受信時に例文検索を使う(>さんぷうさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 8日(月)11時22分46秒

>英英だけでもペーパーバックを読み進めることはできますが、意味が理解できても、
>日本語でどのような訳語が当てはまるのか気になるので、結局英和で引きなおした
>りします。英和を引きたいという誘惑を断ち切る方が良いのかもしれないのですが、
>単語を本当に理解しているか不安になったりします。日本語で何ていうのか思い浮
>かばないときもあるからです。

電子辞書の機能をフルに生かした学習法としては,英英では理解できるが,日本語の訳語が思い浮かばない語はとりあえずどんどん単語帳登録しておいて(履歴だと流れてしまいますが,単語帳ならOKです),そのままペーパーバックを最後まで読みます(いちいち途中で立ち止まっているとストーリーが中断し,逆に面白くないでしょうから)。読了した段階で,英英で登録した単語をそのまま英和で引き直してもいいでしょうが,それでは物足りないというのでしたら,例文検索モードで英英優先にして,登録した単語それぞれの例文検索をします。そこに出てきた例文をそれぞれ日本語に直してみます。そうすれば,ペーパーバックを呼んでいた段階では日本語の意味がピンとこなくても,その単語が使われている多くの例文を目にすれば,だいたい分かるかもしれません。たぶんこの意味だと思った段階で,最終的に英和を調べて確認すればいいのではないでしょうか。このような学習法はよほど時間と根気のある人でないとできないでしょうが,一方で未知の単語が確実に定着する(多くの例文を元に意味を考えるというプロセスがあるので,忘れない)というメリットはあります。

メーカーさんは,例文検索を英作文等の支援機能(つまり,発信時に役立つ機能)として宣伝していますが,英語を読む際や単語学習の際にも意外と役立つのではないでしょうか。#上記のような使い方をしようと思うと,辞書ごとに分けて例文検索できる機種か,全辞書の例文がいっぺんに出る機種なら,英英優先の設定のできる機種である必要があります。最近の機種ならまず大丈夫ですが,PW-M670などは,例文検索をすると必ず英和,和英の例文が先に出てくるので,例文だけでなく訳も一緒に出てきますから,こういう用途には使えません。

↓追加 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 8月17日(日)11時50分45秒

生産完了になったLXですが,新宿東口の紀伊国屋アドホック店では,まだ新品の在庫がかなりあるそうです。国内の販売店で新品を扱っているのはここぐらいだと思いますが,アドホックも間もなく文具の扱いを止める? らしいので,購入される方は早めのほうがいいと思います。

#繰り返しますが,LXはDOSパソコンです。スペック的には15年前(1980年代後半)のエントリーモデルのパソコンとほぼ同程度です。DOSのコマンドラインでパソコンを使っていた人なら,NECの98を使っていた人でも違和感なく使えると思いますが,最近のWindowsしか知らない人は敷居が高いと思いますので気をつけてください。昔DOSを使っていた人で,最近のPDAに満足できない人向けの機種かもしれません。

日本では,DOS時代のパソコンはNECのPC-98(とその互換機)が主流で,IBM-PC互換機(いわゆるDOS/V機)はDOS末期に一般に知られるようになったと思いますが,200LXは,XT互換機であり,いわゆるDOS/V機ではありません。ですから,一太郎や桐のDOS/V版などは動きません(ATOK8は大丈夫です)。当然ですが,DOSソフトでもPC-98用のものは動きません。言いかえれば,日本国内で市販されている(いた)ソフトでLXで動くものはまずないと言っていいと思います。もちろん,内蔵ソフトとして電話帳やデータベース,スケジューラ,Lotus1-2-3,エディタなどが入っていますので,PDAとして使うにはこのままでいいですが,ソフトを追加しようと思うと,ニフティのフォーラムなどでLXに対応したフリーウェア,シェアウェアをダウンロードしたり,海外のフリー,シェアウェアサイト(simtel.netなど)を物色する必要があります。

使いこなすにはかなり時間がかかると言っても過言ではないですが,その一方で最近のPDAには真似できない柔軟さがあります。たとえば,自分の出張予定を文書にして提出するような場合,PDAのスケジューラに登録してあっても,それを全部テキストファイルに落とすのは難しい(できない)ものも多いと思いますが,LXの内蔵スケジューラなら簡単です。その気になれば,CSV形式にしてエクセルの出張申請書フォームに流し込むこともできます。プログラマの人なら,CやBasicのコンパイラとエディタを使えば,ちょっとしたコードならLXで書いて動作確認もできます。電子辞書以外の用途でも使えますので,腕に覚えのあるPCユーザの方にはおすすめします。

究極の辞書端末? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 8月17日(日)11時25分31秒

IC辞書の話ではありませんが,PC, PDAベースの辞書端末としては,(DOS時代からパソコンを使っている人なら)IBM/XT互換のHP200LXが使いやすいと思います。これはPDAというよりも15年ほど前のデスクトップPCと同スペックのパソコンを手のひらサイズにしたものですから,DOSが分かる人にはこれ以上のものはないと思います。マニアックなユーザが多い機種ですが,今では生産完了になってしまいました。最近のPDAは,メールやウェブブラウジング程度はあたりまえなので,通信や画像処理の弱い200LXは注目されませんが,辞書検索や,それに付随する文書作成などのテキストベースの処理は非常に得意です。

何といってもDOSパソコンそのものですから,バッチファイルが作れる人なら複数辞書の串刺しをさせたり,複数辞書をインストールしてメニュー形式で検索辞書を選べるようにするなど,自分好みのカスタマイズが簡単にできます。CPUスペックは最近のPDAよりはるかに劣りますが,DOSというOS自体が軽いので,辞書の検索程度なら十分快適です。

辞書ソフトは,EPWINGのものDOS用のビューア(Vector等をあさればフリーで入手できます)で検索することができますし,その気になれば欧米の通販サイトなどで,ネイティブ向け英英のフルコンテンツ辞書ソフトを探すこともできます(ランダムハウスの英英辞典(小学館ランダムのもとになったもの)など)。

辞書以外でも,Grammatikというフルスペックの英文法チェッカーや,英文のリーダビリティーを測定するソフト,DOS末期にLotus 1-2-3キラーのソフトとしてWindows版と併売されていたQuattro Pro,テキストデータベースで有名な知子の情報など,豊富なDOSソフトがそのまま使えるのは魅力です。Quattro ProのDOS最終版などは,複数シートに対応していたり,3Dグラフが描けたりと,基礎的なところでは最近のWindows版表計算ソフトとそれほど変わりません。最新ExcelにQuattro Proのコンバータを組み込めば,データ互換も簡単です。

最近のPDAと違い,買ってすぐに何から何までできるというわけではなく,まず日本語化という作業からしないといけませんので,万人向きではないと思いますが,時間をかけて少しずつ自分好みに育てるということを厭わない人なら手放せないマシンになると思います。年を経るごとにDOS用ソフトは入手が難しくなっていますが,学校など,比較的長期にわたってパソコンを使うところで,しかも留学生の多いところだと,Windows以前にIBM互換機を使っている場合があり,リプレイスに伴って不要になったソフトが倉庫に眠っている場合があります。また,英語版の昔のアプリなら,以下のようなところで新品が購入できます。

パソコンの進化は日進月歩ですが,インターネットや画像処理をするのでなければ何も最新のOSやアプリは必要でなく,DOSパソコンでも何ら不自由しません(私も,原稿を書くときは,推敲までLXでやって,印刷や出版社等への送付だけWindowsのパソコンですることがほとんどです)。テキストファイルやCSVでやりとりすれば,現行のPCとのデータ互換も大丈夫です。WindowsがDOS用フォーマットのメディアを認識しなくなったり,テキストファイルが読めなくならない限りは,まだまだDOSパソコンも使えます(^^)

http://www.emsps.com/oldtools/


薄型機をお使いの方… 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 6月 1日(日)12時37分28秒

最近増えてきた薄型モデルですが,厚さを極限まで抑えるために,かなり無理しているようです。XD-R9000とV9000を横から見ると分かりますが,R9000はフタを閉めた際,キートップと液晶側の筐体の間に隙間がありますが,薄型機のV9000はキーと筐体が密着しています。そのため,キートップや液晶パネル上にちょっとした異物(お菓子の破片など)がついていると,フタを閉めて持ち歩く際にその破片が中でこすれ,液晶パネルを傷つけることがあるようです。私のV9000も,落とすどころか,液晶画面を直に触ってもいないのに,なぜかひっかき傷のようなものが液晶パネルに自然についていることに気づきました。はるかに前に購入したXD-R9000は全くの無傷です(パネルの堅さが変わったとかで傷が目立つようになっただけなのかもしれませんが)。わずかコンマ何ミリの差だと思いますが,そこにコンマ何ミリのホコリや異物がついてしまうと,結果は大きく違ってきます。XD-Vシリーズをお使いの方は,フタの間にティッシュや薄い布などをはさんでおくようにするといいかもしれません。

また,Vシリーズではフタのロックが省略されたためか,ある程度のところまで手で閉めると,スプリングか何かの影響で自動的にパタン,と閉じるようになっています。ワンボックス車のスライディングドアのような発想ですが,かなり勢いよく閉じるので,その際に異物がキーボードについていたら,液晶パネルを傷つけるような気がしてなりません。Rシリーズだと,手で押さえないと閉まらないので(乱暴に扱わない限り)勢いよく閉じることはありません。Vシリーズをお使いの方は,フタを閉めるときも完全に閉じるまで手を離さないように(手を添えて閉める)したほうがいいかも。

#Vシリーズはたしかに劇的に薄くなりましたが,それは最薄部分に限った話で,ヒンジや電池ケース回りはXD-Rシリーズと変わりません。筐体以外のスペックやコンテンツ,機能面や操作性も全く同じです。マイパネルによる着せ替えにこだわらないのなら,あえてXD-Rシリーズを購入するのも手だと思います。旧機種とはいえ,実売価格は数千円しか違わないですが…。ただ,XD-R9000はわずか数ヶ月でXD-Vシリーズにリプレイスされたので,台数がそれほど出ていないでしょうから,早晩Vシリーズに完全に置き換わるはずです。すでにフロリスモデルは入手しにくくなっているようですので,早めのほうがいいと思います。

XD-VシリーズとRシリーズ 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月23日(金)10時01分09秒

↑XD-V9000とR9000など,同一型番どうしでは,基本的には筐体寸法の違いだけで,機能面では全く同じですが,心もち,Rシリーズの液晶画面のほうがくっきりしているような気がします。個体差なのか,ロットによる差なのか,よく分かりませんが,少なくとも私のものはそうです。Vシリーズのほうはちょっと暗めです。液晶の後ろの反射パネル?が違うのかもしれません。

ついでですが,XD-R820とXD-R(V)9000など,コンテンツがほとんど同じ(リーダーズの有無のみ)で,筐体サイズが違う機種の場合も,機能面や操作系は同じです。ただ,XD-R820は例文検索のキーワードに入る文字数が,R/V9000よりも少ないことに気づきました。たとえば,R/V9000ではenvironmental & issuesで例文検索できます(&を含め,最大20文字までOK)が,R820では文字数が多すぎてできません(&を含め,最大18文字)。カシオさんの機種は,テキストボックスの幅をこえるキーワードは入らないので,液晶画面の大きな機種と小さな機種とでは,最大入力文字数が違ってきます。ちょっと長い単語だとキーワードを2つ入れられないというのは非常に困ります。R/V9000でも,environmental & issuesはぎりぎりOKですが,environmental & problemsはオーバーするため検索できません。

これは何とかならないものでしょうか。通常の検索なら,20文字がリミットでも(英単語1つで20文字を超える語などほとんどないですし,途中までしか入らなくてもインクリメンタルサーチがききますから)全く問題ありませんが,これと同じ制約を例文検索の入力ボックスにも課してしまうと,使い物にならなくなります。スペルチェックの操作系や,複合語や追い込み派生語が一発検索できないことにしてもそうですが,XDシリーズの場合,ただ機能をつけました,というだけでなく,こういう細かな作り込みの向上を望みたいです。

複数機種収納用ケース 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月20日(火)15時33分26秒

電子辞書メーカー純正の電子辞書ケースや,サプライメーカーのケースのほとんどは1台収納用ですので,複数機種を持ち歩く人は,1つのケースで複数台の電子辞書が入れば,と思うのではないでしょうか。デジカメ用のケースなら厚みがあるので,3台ぐらいならいっぺんに入りますが,電子辞書の長さ,奥行に合っていないので,中でガタガタしてしまいます。

寸法が電子辞書にぴったりで,かつ3台ぐらいまでなら入るケースとして,以下のものを見つけました。アーベルというメーカーのものです。1000円ちょっとぐらいでしょうか。このケースは,中の両側に2つのポケットがあり,そこに電子辞書を入れるとぴったりおさまります。間に分厚い間仕切りがあり,ポケットがあるので,交換用電池やメモ用紙等を入れておけます。SR-Tシリーズのような厚めの機種でも2台がゆうゆうで入ります。このままでは,薄型機種でないと3台目はちょっと無理ですが,間仕切りが意外と分厚いので,これを根元からハサミで切ってしまえば,3台目も(XD-VシリーズやPW-S7000のような薄型機なら)入ります。たとえば,SR-T5000, T6500とXD-V9000が1つのケースに収まるわけです。このように,電子辞書どうしを重ねて入れると,こすれたりして筐体に傷が付くことはよくありますが,このケースは電子辞書の寸法にぴったりなので,ファスナーを閉じればガタガタ動かないため,こすれることもありません。

お世辞にも高級感のあるケースとは言えませんが,防水加工がされているようですし,カラーバリエーションも多いので,女性の人にも違和感なく持ち歩けるのではないでしょうか。

http://www.arvel.co.jp/bag/oabag/oa/hmpi07gb.html


単語帳機能の仕様(>ぐささん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 3月24日(月)15時21分21秒

>購入にあたっては、学習英和が搭載されていること、および単語帳機能があってランダム
>出題が可能なこと、以上が必須条件です。その上で携帯性にすぐれ、単語帳の容量が大き
>いのを希望しています。欲をいえば大規模英和が搭載されていればいいのですが。

残念ながら,ランダム出題ができる機種はありません。

私としては,電子辞書の単語帳機能を単語学習ツールとして使うなら,ランダム出題よりは,覚えた単語か覚えていない単語かを区別して記憶させ,覚えていない単語を毎日重点的にチェックし,たまに(週末とか)覚えた単語もレビューして,メンテナンスする(記憶が抜けていないかを確認する)使い方がいいと思います。つまり,ランダム出題できるかどうかよりも,覚えた単語と覚えていない単語を区別できる機種という点がポイントになるかもしれません。

このような点を考えると,最も最適なのはIDF-4600でしょうか。おっしゃるように,1000語まで,しかも辞書種ごとの制限なし(辞書全体で1000)で記憶できるのはIDFシリーズ以外にはありません。また,覚えた単語にはチェックマークを付けて,フィルタリングする(チェックマークの付いている単語は表示させないようにできる)ことができるので,つねに最優先で覚える必要のある単語だけを重点的に学ぶことができます。もちろん,チェックマークを付けても,削除操作をしない限りはメモリに残っているので,設定を変えればチェックつきの語も表示できます。もちろん,一度つけたチェックを外すこともワンタッチです。

ハード側ではお膳立てされていませんが,SR-Tシリーズの単語帳は,工夫次第で「覚えていない単語を優先的に記憶する」使い方ができます。これは以前にも書いたのですが,SR-Tシリーズは,登録キーを押すと,(すでに登録されている語でも)その単語が列の先頭に来るという仕様になっていますので,単語帳に記憶させた単語で,覚えて*いない*単語があったら,その都度登録キーを押します。そうすると,その単語は列の先頭に並びますので,繰り返せば覚えた単語(登録キーを押さなかった単語)はリストの後ろのほうになります。つまり,単語帳の登録リストの上にある単語ほど,最優先で覚える必要がある語だということです。これはマニュアル等では紹介されていないですが,SR-Tシリーズの「登録した語でも,ワンタッチでリストの先頭に移動できる」という仕様を使ったちょっとしたアイデアです。

学校向け機種(SR-T4030など) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 3月21日(金)11時58分54秒

↑一般にはあまり知られていませんので,ご紹介します(中高の英語の先生はすでにご存じでしょうが)。これは,学校(主に高校)現場での限定販売モデルで,SR-T4020とほぼ同じスペックですが,和英を(ジーニアス和英でなく)三省堂のグランドセンチュリー和英にしたものです。ジーニアス和英の問題点は今までにもここでよくお話ししましたが,そうはいっても,電子辞書の和英コンテンツの大半がジーニアス和英だという現状がありました。グランドセンチュリー和英は,ジーニアス和英と同じ先生が主幹をされている和英ですが,ジーニアス英和をひっくり返して作ったジーニアス和英とは違い,一から作った和英辞典です。ジーニアス英和の例文を流用しているジーニアス和英よりも例文量が非常に多いのが特徴です。例文検索をすれば,ヒット数の違いが目で見て分かるほどです。

高校生用モデルという位置づけですが,ジーニアス英和以外は他機種での搭載実績があまり(あるいは,全く)ないコンテンツばかりなので,英語専門機などをお使いの方で,基本語に詳しいコンテンツ(新明解にせよ,Essential Activatorにせよ,グランドセンチュリー和英にせよ)が必要な方のセカンドマシンとしていいかもしれません。

ただ,この機種は三省堂さんが販売しているようなので,量販店等では売っていません。カタログにも載っていませんので,店員さんでも知らない人が多いと思います。高校生向けなので,大学生協でも扱っていません。高校生の方で,学校が電子辞書を斡旋しているのなら,校内で買えると思います。それ以外でも,教育関係者(現場の英語,国語教員)なら,三省堂さんにコンタクトすれば購入できると思います(私も購入しました)。

ただ,一般の人が購入できるかどうかはよく分かりません。ここで細かく説明するのもどうかと思いますので,どうしても欲しい方は,連絡先等を調べ,三省堂さんに確認してみてください。また,学校で販売する場合(高校生が買う場合)は特別価格(伏せておきます)で購入できますが,仮に一般の人が購入可能だとしても,その値段は適用されないと思います。

T4030に限らず,生協や学校内販売向けモデルの値段は,通常モデルの量販店価格を知っている人からすればびっくりするような額ですが,これは対象を教育関係者(学生,教員に)限定しているための特別な設定です(PCソフトのアカデミック版と同じように考えればいいと思います)。あたりまえですが,一般モデルとは別格ですので,注意が必要です。SR-T4030は一般向け機種にないコンテンツを搭載しているのでユニークですが,それ以外でも一般向け機種の一部コンテンツをカットしたり,型番を変えたりして安く売っている場合があります。カシオさんやセイコーさんの機種が中心だと思いますが…。

前にも書きましたが,とくに高校新入生の人は,学校で販売がないか確認したほうがいいと思います。在学期間中の保証やネームタグ,ケースのバンドルなど,特典もありますから。

例文検索の課題(>dictianさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 3月12日(水)10時53分57秒

>各社が例文検索機能を重視して、これらの細かい機能の競争になる日が遠からず
>来ることを期待したいと思います。

例文検索の当面の課題は,以下の機能でしょう。

・フレーズ検索モードの搭載:Altavistaなどのサーチエンジンでは," "でキーワードを括ると,この中のキーワードの完全一致で検索されます。たとえば,stop toの後にどういう動詞がくるかを調べたくて例文検索をする場合,stop & toのように検索すると「stop, toの両方が含まれている例文」が全部出てきます。ですから,...signaled the party to stopや,I won't stop you, if you really want to.のように,関係ない文章まで出てきてしまいます。ですから,&以外に適当な演算子を用意し(+のように),「stop + to」で検索すると「stop toそのものが含まれる例文」を検索できるようにすることが望まれます。技術的には難しいことではないはずですが…。

・例文訳からの検索:現行の例文検索は,とくに英語を書く際に和英辞典のかわりに使うと自然な英語が書けるため,非常に有効だと思いますが,初学者は英語を書くときに日本語しか思い浮かばないので,例文検索が使えません。そこで,例文の英単語だけを検索するのでなく,日本語(例文の訳)部分にもインデックスをつけて検索できるようにすると便利でしょう。もっとも,日本語は英単語と違い語境界(word boundary)が明確でないので,インデックスを作るときにどうやって単語を切り出すかが大変(形態素解析のプログラムを作らないといけない?)ですが…。もっとも,シャープさんの翻訳ソフト(翻訳これ一本)のおたすけ英作機能では,すでに何年も前から実現されていることです。自社の技術なのに,なぜこれをシャープさんの電子辞書に採用しないのか分かりませんが,電子辞書はザウルス等と同じ部署なので,パッケージソフトの開発部門とは組織が違うからなのでしょうか?

># 5100は出るのでしょうか?

IC500Sをベースに,小さなコンテンツはカットしてリープラとCOT2版(できればCODも)を追加した機種があれば,SR-T6500やXD-R9000キラーの製品になってもおかしくないと思います。

Quicktionary Reading Pen II 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月18日(火)10時44分59秒

以前から,DD-IC550が重宝するという方が多くいらっしゃいます。これに英英が入っていたら…という声もあったように思いますが,上記の機種は,ペンスキャナタイプでネイティブ向け英英のフルコンテンツを搭載した機種なので,そういう用途には便利だと思います。

キーボードはなく,活字体の英単語をなぞることで語義を表示します。ですから,電車の中(とくに通勤電車で立っているときなど)でペーパーバックを読むときは,普通のIC辞書よりも便利です。認識率もなかなかのもので,ターゲットの単語に平行になぞれば,誤認識はほとんどありません。認識速度も旧機種に比べて向上し,キーボード入力と同等かちょっと速いぐらいです。旧機種ではうまくいかなかった,イタリックなども認識できますが,書き込みのある英文(下線を引いてあるとか)やかすれのある英文(図書館でコピーした雑誌論文など)はうまくいきません。また,Timeのアーティクル内にあるコラムなど,バックが白,黒以外の場合(赤い背景に白い文字など)はだめです。ケースの裏側にOpticardというものがあり,なぞって読めない単語はJIS配列になっているOpticardのバーコードを1文字ずつタッチすることで,キーボードのように入力できますが,面倒です。

また,この機種には全文発音機能があり,音声合成で読んでくれます。SCD-770よりも合成音声のクオリティーは高いと思います。スピーカーもありますが,小さいので耳をくっつけないと聞こえません。詳細は以下のリンクをごらんください。※英和版は非常に語数が少なく,フルコンテンツではありませんので注意が必要です。

http://www.wizcomjapan.com


↓追加 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月17日(月)10時45分51秒

PW-9700を忘れていました(^^;; PW-9700はコンテンツバランスからするとSR-T6500に近い感じがあります。ですから,基本的にはSR-T6500に準じますが,英英はOALDなので,T6500はちょっと手強いけど,thesaurusと語数の多い英和はどうしても手放せないというレベルの人がターゲットになると思います。学位留学をする人や,ビジネスで英語を使う人で,ライティングや出張の機会が多い人は,会話集やビジネスレター辞典という付加コンテンツのある9700が候補になると思います。

#PW-9700のCOTは,Tableも収録されていますでしょうか? たとえば,presidentをCOTで引くと,歴代のアメリカ大統領のリストが出てきますか? 宮川さんはじめ,どなたか実機をお持ちの方がいらっしゃいましたらご教示くだされば幸いです。

大規模英和搭載機 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月17日(月)10時37分21秒

ご質問が多い,XD-R9000(V9000), SR-T6500, SR-T5000の間での機種選定に関してまとめておきます。

・SR-T6500(生協向けのSR-9800も含め)はこの3機種の中では最も「ユーザを選ぶ」機種だと思います。言いかえれば,万人向けではないということです。以下のどちらかの人でないと使いこなせないかもしれません。

−英語を読むための辞書が必要な人(学習辞書的記述は不要で,豊富な語数と訳語さえあればいいという人)。この場合,必ずしも英語力は関係ありません。英語が苦手でも,仕事で高度な英文を読む人ならOKでしょう。

−英語学習用途で買うのなら,それなりの英語力がある人:一言で言えば,LDCEやOALDクラスの学習英英が英和のような感覚で使える人です。英英を日常的に引くことに全く抵抗ない人である必要があります。必ずしもTOEICや英検のスコアで判断はできませんが,英語学習に興味がある人で,英検なら準1級クラス,TOEICで言うならBランク以上ぐらいの力がある人なら,英英を触ったこともない人はあまりいないでしょうから,候補になると思います。T6500には学習英英はありますが,学習英和はありません。ですから,英語学習が目的の人なら,COBUILDという,学習英英の中では最も敷居の高い英英が使いこなせなければ,T6500も使いこなせないと思います。一方で,英英がそこそこ使える人なら,R9000のように学習英和という駆け込み寺のないT6500を使うことで,嫌でも英英ベースの英語学習をせざるをえないという効果はあるかもしれません。

・XD-R9000は,コンテンツ面では万人におすすめできます。学習英和,大規模英和,学習英英というカップリングは,高校上級生から専門家までの幅広いユーザ層をカバーします。一方で,意外な盲点になるのはthesaurusです。R9000には3冊の類語辞典が入っていますが,Activatorと大修館類語は,中級レベルまではカバーしますが,いわゆるアカデミックライティング(ESLでなく,学位留学でレギュラーコースを受ける場合など)には力不足です。一方,Longman-Roget'sはネイティブの人でも常用するには使いにくいレベルのものなので,日本人が英語を書くときには向きません。つまり,R9000に搭載のthesaurusはレベル差が大きすぎ,ActivatorとLongman-Roget'sの間を埋めるものが入っていないのです。都合の悪いことに,日本人でthesaurusを最も必要とする層である上級学習者は,その「間を埋める」thesaurusを最も必要としているのです。T6500/T5000に搭載のCCT, COTなどはその典型でしょう。ですから,留学等,高度なレベルでの発信面の機会が多い人は,R9000を選ぶ前にコンテンツを検討したほうがいいと思います。

・SR-T5000は,G大という,学習英和と大規模英和の両方の特色を備えたコンテンツが入っているので,G3クラスの英和は物足りないが,かといってT6500は使いこなせない,という人におすすめです。COTが入っているので,高度なレベルの発信面にも対応できます。一方で,英文読解が主体の人は,大辞典とは言っても,語数の面でリーダーズ+リープラ搭載のSR-T6500/XD-R9000のほうがいいと思います。

★コンテンツ以外に関しては,単語帳機能やプレビュー等のある(一方で,筐体は大きく,レスポンスもR9000に劣る)SR-Tシリーズを選ぶか,逆に薄型でキビキビ動くXD-R9000を選ぶかということになります。

SR-8100の終焉? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 1月 7日(火)14時12分47秒

↑ここ最近になって,SR-9700やXD-R9000のような英英搭載機が急に安くなったこともあり,SR-8100の影が薄くなっています。このままいくと,早晩市場から姿を消しそうな気もします。SR-8100の前身のSR-8000は,例文検索や二画面並列の参照機能,プレビューに辞書間ジャンプ,オンラインヘルプなど,現行の他社製品にも大きな影響を与えたベストセラー機種ですが,SR-8100はこのスペックはそのままに,筐体をフルキーボードにした,いわばリニューアル機のような感じです。もっとも,SR-8100が出たときはすでに広辞苑+学習英英搭載機が普及していたので,国語系コンテンツがないことや,ジーニアス搭載機でないことが足を引っ張ってしまい,SR-8000にくらべて短命になったのかもしれません。

DD-IC1000やDD-CH10のときもそうでしたが,市場に出回っている台数が少ない機種は,生産完了になると同時に店頭から姿を消してしまいます。出荷台数自体少ないのですから,一旦市場からなくなると中古市場でも入手は非常に難しくなります。まだ今なら探せば新品が手に入りますので,購入予定の方は急いだほうがいいかもしれません。

2003年の電子辞書は? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月28日(土)13時39分47秒

大きなタイトルですが,エンドユーザの視点から大胆に予測してみます。大胆といっても,公開されている特許情報なども参考にしながら,ある程度実現の可能性がある内容にしています。もっとも,私は業界人ではありませんので,裏は全くありませんけど(^^;;

・ラインナップ

英語重視機,上級機ラッシュも一段落つきましたので,来年は別のランクの機種が拡充されるかもしれません。可能性が最も高いのは高校生向け機種でしょう。大学生や一般社会人が中心だったフルコンテンツ機市場が,急速に中高の現場に入り込んできています。現場の英語教員自らが電子辞書を使うようになり,電子辞書に対するマイナスイメージが払拭されてきているからなのかもしれません。中高生市場は,営業力のあるカシオさんが強く,業界トップであるのも中高生向けモデルが好調であることが大きく影響していると思います。一般市場にある程度普及した今だからこそ,フルコンテンツ機としてはまだまだ未開拓の学校現場へ,他社もきりこんでいくことは十分考えられます。

・コンテンツ

今年後半に上級英和の新刊が相次いだことは,電子辞書にも遅かれ早かれ影響を及ぼすはずです。従来のG3独占状態が解消されるのもそれほど先の話ではないかもしれません。アドバンスドフェイバリット,ウィズダム,レクシス,ルミナス,(来年刊行予定の)新英和中辞典7版といった上級学習英和の中で,「ポストジーニアス」として電子辞書に搭載されるのがどれになるかは難しいですが,私としては,電子出版には歴史と実績のある三省堂さん(つまりウィズダム)が第一候補になるのでは,と思っています。語法重視であることなどにG3と共通点があるので,現場の教員などにもジーニアスから移行するには違和感がないですし。もしかしたら,IC辞書より先にウィズダムのCD-ROM版が出るかもしれません。三省堂さんも,ウィズダムの直接のライバルがG3であることは認識しているでしょうから,その牙城を崩すには早くデジタル化して,専門家に使ってもらうことが効果的でしょうし。

英英辞典としては,LDCEが来年前半に改訂される(ロングマンのHPではまだアナウンスされていませんが,いろいろな筋からきかれますので,確度は高いと思われます)らしいので,OALDへ傾きがちだった英語重視機への搭載コンテンツに影響を及ぼすかもしれません。国内シェアではロングマンのほうが上ですから,ネームバリューはあると思います。ActivatorがR9000の影響で一般にもっと知られるのなら,Activator2版+LDCE4版の組み合わせの機種も考えられます。もっとも,時期的には早くても来年の冬モデルになるでしょうが。ダークホースとしては,Cambridgeが出している学習英英(CIDE)の改訂も見過ごせません。こちらは来年早々とアナウンスされています。

英語系以外では,日本語類語辞典が電子辞書への搭載コンテンツとしてブレイクするかもしれません。講談社類語が好調のようですし,最近の日本語ブームの追い風もありますから。ハイエンド機には講談社類語,エントリーモデルには研究社の日本語類語ぐらいでしょうか。これなどは,英語のthesaurusのてこ入れと同じで,一旦どこかが載せれば,急速に業界標準コンテンツになるかもしれません。これに伴い,広辞苑一辺倒だった国語辞典にも影響を及ぼすかもしれません(こちらは長期的なスパンになるでしょうが)。講談社類語とからめて講談社の日本語大辞典,ウィズダムとからめるなら大辞林,高校生向けのエントリーモデルでG3とカップリングするなら明鏡国語のようなものです。
・機能面

新機軸はほぼ出つくしたようにも見えますが,公開特許を調べてみると,まだ実用化されていないものがかなりあります。興味のある方はhttp://www2.ipdl.jpo.go.jp/BE0/index.htmlにアクセスして,「電子辞書」をキーワードに調べてみてください。詳細画面にするとよく分かります。ただ,公文書独特の表現になっているので,私を含め,素人には文面だけではよく分からない面が多々あります。添付図版だけを一覧表示すると,スクリーンショットや筐体の図などがあるので,意味が分かりやすいです。

以下のようなものは早晩実現するかもしれません。

・カラー液晶:複数のメーカーさんからカラーがらみの特許は出ています。申請が新しく,まだ公開されていないものも含めるとかなりの量に上るのではないでしょうか。PW-C5000のように,単に図版をきれいに表示させるためのカラー液晶ではなく,電子辞書自身の付加機能としてカラー液晶の特性を生かしたものが搭載されるかも。あるメーカーさんの特許としては,ユーザが単語を引いた回数を記憶し,回数に応じて見出し語の色が変わるというようなのもあります。色のついた単語(頻繁に引く単語)だけを一覧表示することもできるようなので,ユーザが単語登録しなくても,機械が勝手に重要だと判断した単語を記憶してくれるような「インテリジェント単語帳」に応用できるかも。また,設定次第で,辞書の星印や品詞毎に色分けしたり,特定レベルの単語だけを絞り込んで表示したりできるので,リーダーズのような大規模英和搭載機でも,初学者には重要語のみしか表示されないようにすることで,使いやすくなるかもしれません。

・辞書内容の追加,改変:ユーザのニーズが大きい,辞書内容に自分の記述を追加したりする技術も,かなりのレベルまで進んでいるようです。もちろん,ROMに入っている辞書データ自体を書き換えることは無理でしょうが,画面表示する際にROMのデータの内容を一部非表示にし,そこにユーザが追加したデータを表示させるようにすると,見かけ上は辞書データを書き換えたように見えます。辞書の誤植をユーザが直したり,古くなった情報(物故者の没年を百科事典の記述に追加したり)を修正することなどへの応用が考えられます。また,ROMのデータの中にユーザが入力した情報を割り込ませて表示させることで,新語義の追加や語法記述などをユーザが付け加えることができます。設定次第で,追加日を併記させたりもできます。電子辞書の問題点の一つである「書き込みができない」というのが解消されるわけです。これらはすでに公開特許として出ていることですので,近い将来電子辞書に搭載されてもおかしくはありません。実際,前述のPW-S7000の添付メモは,最もプリミティブなインターフェイス(ROM内容にとけ込ませるのではなく,別画面でユーザの追加データを表示する)で上記の内容を実現しています。

・小規模な例文コーパス:ウィズダムなどのおかげで,コーパスというものが一般に知られてきたので,COBUILDのCD-ROMに載っているようなWord Bankなどのミニコーパスも例文検索の一部として搭載されればいいのですが…。#例文検索は,単純に考えると何十万という例文を全文検索するわけなので,何で電子辞書のものはこんなに速いんだろうと思っていましたが,そのロジックを特許情報で見て納得しました。

・日本語部分からの検索:リーダーズのような大規模英和は,訳語部分から検索できると大規模和英辞典のかわりにもなります。EPWING版リーダーズでおなじみの機能ですが,上級者にとっては下手な単体の和英よりもはるかに信頼性が高いので,IC辞書への搭載も望みたいです。インデックスが膨大になりますが…。

・大画面液晶の普及:これは前述のカラー液晶かと組み合わせて実現されるかもしれません。ハーフVGA,フルVGA程度の液晶を搭載し,キーボードもサブノートパソコンレベルのストロークとピッチを実現したハイエンドの機種を望みたいです。


SR-T5000とSR-9700 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月27日(金)13時08分25秒

SR-T5000が発売されたことで,SR-9700が大幅に安くなっています。20000円を切る通販も出ているようですし。T5000は,コンテンツではG3がG大になったこととCOTの版が変わったことぐらいしか違いはありません。G大はG3の上位互換と考えていいですから,そうなると,大辞典クラスの語数がいらない人なら,9700のほうが買い得感があると考えられます。しかし,使ってみると分かりますが,カタログには現れない細かな点がかなりチューニングされています。今年9月にここに載せたインプレの中で言及した細かな問題点も,びっくりするほど改善されています。

結論から言えば,T5000はG3とG大というコンテンツの違い以上の差がありますので,操作性にこだわる人は9700とのかなりの差額を投資する価値はあると思います。以下に,9月1日のインプレにのせた9700の問題点のうち,改善点(と改善されていない点)をまとめます。詳細は過去ログのインプレ(SR-9700の問題点)とあわせてごらんください。「◎」は指摘したことがそのまま改善されている場合,「△」は部分的に改善されている場合,「×」はそのままになっている場合です。拙掲示板の指摘だけでなく,他の多くのユーザからも同様の指摘があったのでしょうが,それでもわずか数ヶ月後の新機種でここまで微調整されているのは驚きました。一方,キーボードまわりに関しては賛否両論分かれていますので,T5000が必ずしもいいとは言えないかもしれません。実機をぜひ比較して選んでください。

★スーパージャンプで,「ダウンサイジング」を広辞苑で引き,そこからカタカナ語辞典の同じ見出し語にジャンプしたい場合の挙動:「◎」→区切り符号をはさんでも正しく切り出せるようになりました。

★履歴がワンキーでできなくなった:「◎」→履歴専用キーが新設されました。

★ジーニアスの成句検索をした後で和英や広辞苑等の他辞書に切り替え,再度英和キーを押すと,(直前に使っていた)成句検索モードになる:「△」→他の辞書モードに切り替えると検索種類などがリセットされるようになりました。しかし,この副作用で,類語モードから英和等へ切り替え,英英・類語キーで元に戻ったときにもリセットされてしまい,英英モードになります。言いかえれば,英和と類語等の間でハイパーリンクができなくなったということです。

★英和辞典では,検索した見出し語に成句(や句動詞)が含まれている場合は成句シンボルが表示され,成句キーを押すことで見ることができるが,OALDでは成句や句動詞は語義と一緒に表示される:「◎」→英英も,英和と同じく,成句や句動詞は別画面になり,成句キーを押すことで見られます。英和と英英との操作系が統一されたわけです。

★広辞苑で「みのしろ」を引くと,1番の語義で「財産,身代(しんだい)」というのがあり,この中の「しんだい」にジャンプ(「し」にカーソルを合わせてジャンプ)すると,漢字源熟語の「身代」にジャンプできるが,上記の語義の「身代」にジャンプ(「身」にカーソルを合わせる)と,漢字源熟語にはジャンプできない:「◎」→漢字源熟語へのジャンプが正式機能(マニュアルに記載)になり,上記の例では表記でも,読みでも,どちらでもジャンプできるようになりました。

★ジャンプ先選択のダイアログや履歴リストなどでショートカットキーが使えない:「△」→履歴リストにはショートカットがつきましたが,ジャンプ先選択ダイアログにはありません。

★例文検索での優先辞書選択のポップアップウィンドウが背景のOALDのクレジットの表示を隠してしまう:「◎」→ポップアップウィンドウ自体がなくなりました。

★例文検索モードを英和,和英,英英の検索画面の中に置いて,成句検索等のような特殊検索として位置づける:「×」→9700と同じく,例文検索はメニューの中に入っています。

★成句検索が英英ではできない:「◎」→英和,英英とも成句検索できます。

★COTに全文検索を備えてほしい:「×」→ここでも要望は多いようですが(^^;;

★ジャンプ先選択ダイアログが大きすぎる:「×」→ダイアログボックスの大きさは変わっていません。

★英会話とっさのひとことの操作系が他コンテンツと違う:「◎」→インプレで提言した画面イメージに比較的近い感じになりました。

★例文検索のプレビューが大きすぎる:「△」→プレビューウィンドウの大きさは変わっていませんが,タイトルバーがなくなったので一覧性は若干よくなっています。

★メニュー画面の反転カーソルが小さい:「×」→好みの問題なのでしょう。

★メニュー画面のショートカットの順番:「×」→これも同じく好みの問題でしょうね。

★例文検索で「とっさ」の例文にも対応してほしい:「◎」→例文検索で「とっさ」の例文も検索されます。

T5000の複合語と単語帳 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月26日(木)08時56分25秒

セイコーさんのジーニアス(G3,G大)搭載機では,複合語(2語以上の見出し語)は主見出し語の追い込み扱いになっています。たとえば,sea anemoneという複合語は,主見出し語(先頭の単語)の記述の最後に一緒に出ています。ですから,seaで検索しても,sea anemoneまで入れても,どちらでも検索できます。これがリーダーズと違うところです。リーダーズでは,複合語も,普通の語も,独立したエントリーになっています。ですから,seaで検索してもseaのエントリーの中にsea anemoneは出てきません。

何が言いたいかというと,この元データの構成の違いが,単語帳機能に影響を及ぼしているということです。今お話ししたように,T5000では,複合語が主見出しの中に入っているので,複合語を単語帳に記憶させようとしても主見出ししか記憶されないのです。T5000でsea anemoneをひき,登録キーを押しても,seaは登録されますがsea anemoneが登録されるわけではありません。ですから,しばらくたって単語帳に記憶した語を見直したとき,どの複合語を記憶するつもりだったのか分からなくなると思います。これはPW-9500も同じですが,ジーニアス系の英和と単語帳を組み合わせたときに生じる問題点ですね。リーダーズ搭載のSR-T6500では,複合語が独立したエントリーになっているので,複合語を単語登録しても,ちゃんと複合語として登録されます。

たしかに,複合語が追い込まれて出るのは,ジャンプ機能で複合語へ飛ぶときは非常に便利(ジャンプでは複合語をまとめて選択できないので)ですが,単語帳と組み合わせるとこういう副作用があるので,ちょっと検討の余地があるかもしれません。これは元データの構成上の問題なのでメーカーさんだけでは対処できないかもしれませんが(^^;;
マニアックな話になりますが,以下の件の解決策としては,sea anemoneを引いて単語登録すると,物理的にはseaを登録(複合語が主見出しに追い込まれている以上,主見出しであるseaを登録しないでsea anemoneだけ登録することはできないでしょうから)しておいて,呼び出した段階で,sea anemoneの位置にあるインデックスに飛び,sea anemoneを先頭に表示させることで解決できるかもしれません。ことばでは説明しにくいのですが,要は単語帳を呼び出したときにseaanemoneと入れて検索した画面の状態が復元できればいいわけです。シャープさんの単語帳機能付き旧機種(PW-9100/6800)がこの方式です。PW-9500以降は仕様が変わって,改悪のような形になってしまいましたが(^^;;

SR-Tシリーズの履歴機能 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月25日(水)15時43分07秒

↑使っていて気づいたのですが,SR-T6500, 5000の履歴は,任意の語を履歴から消すことができるんですね。履歴キーで一覧リストを出し,消したい語にカーソルを合わせて削除キーを押せばOK(「1件」を選ぶ)です。マニュアルには,冒頭のキーの説明(削除キー)のところにさらっと書いてありますが,履歴機能の操作説明の箇所には,履歴が1件ずつ消せることは書いていないようなので,気づきませんでした(^^;; 他人に見られて困る語を引いてしまったときにおためしください(笑)

絶滅のおそれのある電子辞書(^^) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月 8日(日)19時53分33秒

電子ブックプレーヤーですが,もう2年近く新製品が出ていませんし,一番新しく出た3機種のうち2機種は生産完了になっています。また,新しく発表される電子ブックも少なく,今後の動向が気になります。徐々に終焉が近づいていると考えられなくもありませんので,必要な電子ブックタイトルは早めに購入したほうがいいです。とくに電子ブック版の英活やリーダーズ+リープラ,ニューアンカー英和,和英,COD&OTE(COTの親版)など,EPWING版が出ていない(出ていても極端に価格差がある)ものはおすすめです。

IC辞書では,SR-T6500の発表以降,SR-8100の影が薄くなっています。今ならどこでもまだ手に入ると思いますが,在庫切れの店も増えているようですので,SR-T5000が出たら一気にリプレイスが進むことも考えられ,予断を許しません。特許の数を見ても明らかなように,SR-8000→8100には,二画面表示など,最新機種でも及ばない新機軸が満載されていますので,とくにジーニアス&OALD系の機種をお使いの人のサブ機(場合によってはメイン機になるかも)としておすすめします。

DD-IC1000がそうでしたが,ありきたりな機種であっても,生産完了になると急速に市場から消えますので,購入予定の人は要チェックです。SR-8000はかなりの数が市場に出ているはずですが,フルキーボード搭載の8100は,発売時期を考えても8000ほどは捌けていないはずなので,店頭から姿を消した後は,オークション等の中古市場でも8000以上に入手しにくくなるはずです。

一方,シャープさんやキヤノンさんの機種は,旧機種でも比較的手に入りやすいようです。シャープさんはPW-8000/8100→9100→6800/M670→9500→9600/S7000のような流れがありますが,PW-8000/8100でも楽に手に入ります。とくに,英英とジーニアスの版数,液晶解像度以外は現行機とそれほど差はない(日本語ジャンプや単語帳もある)9100は安いのでおすすめです。キヤノンさんなら今まで何回も出ているIDF-3000ですね。10000円を切る店も増えていますが,生産完了にはなっていません。

SR-Tシリーズの単語帳活用法 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月16日(土)19時26分34秒

IDF-4500の単語帳は,暗記した単語にチェックマークを付けることで一覧表示画面から隠すことができます。これはとても便利ですが,SR-T6500の単語帳でも同じようなことができます。T6500(おそらく今度出るT5000もでしょうが)の単語帳は,インプレッションでも書いたように,すでに登録した語を登録操作すると,リストの最前列に移動します。これを応用すれば,すでに覚えた単語とまだの単語を区別できます。

たとえば,ペーパーバックなどを読んでいて出てきた未知語をどんどん登録していき,ある程度たまったら隙間時間などを利用して,単語帳のリスト画面(見出し語のみがリストされます)を見ながら訳を考えます。そして,誤った単語(覚えていない単語)は登録キーを押します。覚えていた単語は何もしません。これを繰り返せば,登録キーを押した単語(=覚えていない単語)がリストの先頭に並ぶわけですので,単語帳を使って学習するときに常に上から下へ見るようにすると,覚えていない単語を重点的に学ぶことができます。覚えている単語は必然的にリストの下の方にきますので,覚える必要のある語が一目で分かります。覚えていた単語でも,何日かたって忘れていれば,登録キーを押すことで先頭に移動しますので,これを繰り返せば自分だけの優先度順単語リストができますね。まさかメーカーさんもこういう用途まで想定はしていなかったかもしれませんが,登録した語でもキー一つで先頭に移動するというSR-Tシリーズの仕様はこういうときに便利です。

電子辞書に関する特許 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月15日(金)10時31分02秒

他掲示板の情報で教わったのですが,特許庁のページで出願後一定期間を経て公開された特許情報が検索できます。以下のリンクの検索エンジンが使いやすいです。キーワードに「電子辞書」と入れるとかなり出てきます。メーカー名も入れて絞り込んだ方が見やすいかもしれません。

内部の技術的なものは,素人の私が読んでもよく分からないものが多いですが,機能面に関してのものは理解できます。この中には,実際に現行機種で実現されているものもあれば,まだされていないものもありますので,近い将来の電子辞書の姿を予測する上で参考になるかもしれません。カラー表示がらみのものがいくつかありますので,もしかしたら電子辞書にもカラー液晶の波が近い将来訪れるかも…? 電子辞書の技術に興味がある人はけっこう楽しめると思います。

これを見ると,SR-8000は新機軸のかたまりだったということがよく分かります。例文検索,辞書間ジャンプ,二画面表示,プレビュー等,SR-8000の新機能のほとんどは特許登録されています。今では業界標準になったインクリメンタルサーチはソニーさんの特許のようですし,シャープさんの機種の早見機能は,第一号機のPW-5000の時点ですでに特許登録されているみたいです。何気なく使っている機能でも技術的には革新的なことなんだということがよく分かります(^^) 詳しいことは私もよく分かりませんが,特許は出願してから1年半ぐらい経過すると一般に公開され,データベースで検索できるようなので,現行機種で新たに搭載されたような新機軸はまだ載っていません。

これを見ていると,素人目に見てもおもしろい技術がいろいろあります。パソコン上で(英文HP上の単語とか)ハイライトした単語をIrDAポート経由でIC電子辞書に転送し,訳語を表示する(手入力しなくても,パソコン上で調べたい単語を手元の電子辞書で引ける)というのなどには感心しました。たしかに,ノートパソコン等でオンライン辞書やCD-ROM辞書が常用できない環境の人には便利だと思います。そのほかにも,ユーザの正答率をモニターして単語出題のレベルが変化するとか,クロスワードを解く際に文字数とその単語の分野を入れれば,搭載辞書の中から絞り込んで表示するとか,これが商品化されたらいいのに,というものもけっこうあります。現行の電子辞書メーカー以外でもけっこう出ています。

http://www2.ipdl.jpo.go.jp/BE0/index.html


しおり型電子辞書 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月11日(月)12時36分25秒

以前にどなたかが本のしおりになるような電子辞書があったら,とおっしゃっていたと思いますが,Franklinから出ました。フルコンテンツではありませんし,語数もそれほどないのですが…。

http://www.franklin.com/estore/details.asp?ID=MWD-520


Bookshelf 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月14日(月)10時14分46秒

Dictianさんが言及されていたBookshelfですが,日本語版だけでなく英語版もあります(ありましたと言ったほうがいいのでしょうが)。私はBookshelf 98の英語版を使っていますが,英英系の辞書スイートとしては最高傑作と言えるのではないでしょうか。American Heritageの英英(現行の一つ前の第3版),Original Roget'sのthesaurus(SR-8000/8100に搭載のものの新版),ColumbiaのQuotation Dictionary(引用句,名句辞典),World Almanac(アメリカ人なら誰でも知っている統計年鑑),EncartaのDesk Encyclopedia, The People's Chronology(様々な分野を網羅した歴史年表),独自編集のコンピュータ用語辞典,インターネットディレクトリーを収録しています。それぞれのコンテンツは非常に重厚なもので,これらすべてが串刺し検索できます。また,クリック一つで全文検索も可能です。最近のマルチメディア系の百科事典のようなHTMLベースのものではないので非常に軽いのが特徴です。7,8年前に買った無印Pentium 100MHzのパソコンでWin95の環境でも何のストレスもありません。American Heritageの冊子体に載っている程度の人物写真や国旗,国歌等の図版や音声は入っていますが,最近のレファレンスCD-ROMにくらべれば少ないです。

残念ながら,Bookshelfはこの後コンテンツをマイナーチェンジ(Almanacを新しくしたりとか)したBookshelf2000でストップし,以降はEncartaのラインナップに組み込まれてEncarta Reference Libraryとして出ています。こちらもコンテンツの内容は同じようなものですが,冊子体の有名タイトルの電子版ではなく,独自編集のものになっているようです。

#Bookshelfのようなレファレンス系のCD-ROMは,重厚なタイトルが,いつでも気軽に素早く引けるというのが至上命令だと思います。これをクリアしてはじめて,動画や様々な付加機能といったエンターテインメント的な要素が加えられると思うのですが,最近は競合が激しいためか,どのレファレンスCD-ROMも動画の数やぱっと見を重視するあまり,ストイックに情報を知りたいという人にはとても使いにくいものになってしまっています。BritannicaなんかのCD-ROMは昔はとても軽かったのですが,最近のバージョンは立ち上がるのにかなり待たされますし,検索も時間がかかります。

Encartaにせよ,Britannicaにせよ,毎年改訂版が出るのはいいのですが,その都度図版の数が増えたり機能が増えたりしていきます(一方で,複雑な条件検索など,一般の人があまり使わない(が,専門家にとっては必要な)機能はどんどん切られていきます)。レファレンスソフトを毎年更新することはできても,パソコンを毎年買い換えるわけにはいかないのですから,重いと感じてしまうのでしょう。

Franklinの百科事典 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月10日(木)17時33分46秒

電子辞書に百科事典の搭載を望む人は多いと思いますが,FranklinのBookmanシリーズではConcise Columbia Encyclopediaという小型の百科事典が検索できます。私はSCD-770(メリアムウェブスターのカレッジ版英英搭載機)にこの百科事典のカートリッジを増設して使っていますが,これは(本文が日本語でないという点を除けば)最高の検索環境です。見出し語の数は1万数千なので,1巻本の百科事典の中でも小さな方ですが,それでもちょっとした調べものなら十分です。

この百科事典のウリは,電子辞書の増設カートリッジとは思えないほどの豊富な検索オプションです。冊子体の百科事典のように見出し語を引くだけでなく,種別(人名,地名,その他)や場所,分野などのカテゴリーからそれにあてはまるエントリーを抽出することができます。ですから,場所をイタリアにして分野を音楽にするとVivaldiやRossiniなどが検索されます。

また,見出し語を検索する場合は,ユーザのニーズに応じてサーチ対象を拡大できます。たとえば,ノーベル物理学賞をとった小柴さんのニュースを見ていて出てきた「ニュートリノ」を調べたい場合,neutrinoで検索すると,まずneutrinoの見出し語が表示されます。次にmoreキーを押すとサーチ対象が拡大し,百科事典全体からneutrinoが含まれるエントリーが表示されます(いわゆる全文検索です)。これにより,Pauli, Wolfgangやbeta particleといったニュートリノに関係ある人名等が検索できます。もう1回押すとその語の類語や反意語が含まれているエントリーを探してくれます。もちろん,見出し語に載っていない語を入れた場合は自動的に全文検索に切り替わります。この全文検索はとても便利です。

こういう操作系は非常に自然なので,是非日本製の電子辞書にも見習ってほしいと思いますが,もしかしてFranklinの特許か何かなのでしょうか。たとえば,例文検索を備えた機種は多いのですが,どの機種もまず例文検索モードに切り替えてからでないと検索できません。これなどは,単語を入れたら(現行機種のように)まず語義画面を表示し,そこでもう一度検索キーを押すと例文検索モードに切り替わり,例文リストを表示するという操作系にすれば使いやすくなるのではないでしょうか。現行機種だと,単語を引いた後で例文検索をしようと思うと,モードを切り替えてもう一度単語をタイプしないといけないのですから。

最近の日本の電子辞書はたしかに使いやすくなってきて,Franklinをしのぐ機能(履歴など)もありますが,細かな点ではまだまだ課題が多いです。一方,Franklinの上記の百科事典の仕様は,1992年に出たLM-7000(百科事典専用機)ですでに実現されています。

SCD-770のようなカレッジ版英英搭載機に百科事典カードを増設するのがベストですが,SCD-770はもう手に入りにくいようなので,興味のある方は,franklinのアウトレットストアで格安販売しているENC-640(百科事典専用機)を買い,あわせてカレッジ版英英のカードを別売で買うのがいいと思います。

http://www.franklin.com/estore/outlet/ebooks.asp


プログレッシブ搭載機のラストチャンス? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月15日(日)10時21分34秒

前もお話ししましたが,まだ今ならネット通販等でプログレッシブ搭載機のDD-IC1000が手に入ります。もっとも,ヨドバシ等の大手量販店でさえもう店頭に出ていないのですから,これも時間の問題だと思います。IC1000は16ビットCPU搭載によりIC100/200にくらべて見違えるほど速くなっていますので,プログレッシブというコンテンツのために今でも旧機種をしょっちゅう使っている人は,同一コンテンツであっても買い増しをおすすめします。実際のところはどうか分かりませんが,ソニーさんも最近の機種の英語系コンテンツは研究社系になっていますし,Bookshelfでさえ研究社になったのですから,もしかしたら今後プログレッシブ搭載機は出てこない可能性もあります。

(以下県内在住の方向けにローカルな話で失礼します(^^;;)
私も,先日IC1000を探しに沖縄中を回ったのですが,ベスト電器やデオデオ(沖縄の大手家電量販店は事実上この2社しかありません)はどこももう置いてありませんでした。おそらく沖縄県内では最大のベスト電器那覇本店(県庁前)はもちろん,天久新都心や国場,つかざんシティーといった那覇市郊外の新しい大型店でも在庫なしでした(普通,本店になくてもこれらの店には残っていたりするのですが)。そこで,だめもとでちょっと足を伸ばして,沖縄市にあるコリンザの中のベスト電器へ行ったらようやく在庫があり,税込み10000円の処分価格で購入しました。冊子体コンテンツの合計額よりも安いぐらいかもしれません。コリンザは売り場面積はかなり広いのに,中心から外れたちょっと不便な場所にあるので,運良く売れ残っていたのでしょう。

プログレッシブ和英は,電子辞書に搭載の和英の中では最大規模だと思います。ジーニアスや研究社の和英中辞典に物足らない人はおすすめです。

あと,ルミナスが人気があるようですが,その前身のカレッジライトハウスも電子辞書版(TR-6700)があります。これはかなり前に生産完了になっていますが,まだ大手量販店でも流通在庫があります。といっても,これも風前の灯火だと思います。

例文検索の効用(>Tomoさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月11日(水)09時53分25秒

>例文検索に関してなのですが、今の私の辞書にはついてないので、その便利さがあまりわ
>からないのですが…

英語を書く際,和英辞典を使う人は多いと思いますが,和英辞典の例文を見てもどうも自分の言いたいことにぴったりの表現が載っていないということはよくあると思います。例文検索なら,自分の言いたいことに相当する英単語を入れれば,その語が使われている例文を複数辞書(英英,英和,和英。機種によっては英英のみ)から検索してくれるので,適切な例文が見つかるかもしれません。紙の辞書なら,ある単語が使われている例文を知りたいときは,その単語のエントリーの中にある例文しか探せませんが,例文検索なら辞書全体から探してくれます。

そのほか,ある単語の使い方をより深く知りたい場合にも役立ちます。stream(小川)という語を例文検索すると,This streams meet the river in three miles.やshallow streamなど,たくさんの例文がヒットします。これらの情報から,streamにはmeetという動詞が後続することや,shallowという形容詞が伴うといったことが分かります。上級学習者の人なら,ちょっとしたコロケーション辞典として使えるわけです。

ジーニアス英大on CD-ROM 投稿者:Sekky@東京  投稿日: 9月 8日(日)20時59分50秒

↑やっと発売されました。冊子体のものとバランスをとるためでしょうが、CD1枚で定価16000円というのは高いです(^^;; 装丁等にかかるコストを考えればCDのほうが原価ははるかに安いはずなのですが…。

検索方法はシンプルで、前方一致と後方一致、成句検索のみです。図版データが収録されています。個人的には、図版はいいから、例文検索に対応してほしかったです(^^;; EPWINGなのでDDWIN等で検索できますし、Win/Mac対応の検索ソフトもついてきます。PsionやWinCEマシンにインストールすれば、史上初? のポケットに入る大辞典になります。

IC辞書では、来年の春モデルあたりに「IC辞書で業界初の大辞典を搭載」とかいって搭載機が出てくるかな…? 現行機種のコンテンツでは、学習英和と一般英和のギャップが大きいので、SR-9700のような学習者向け機種と、9200のようなハイエンドのプロ向けモデルの2つに分けざるをえませんでした。DD-IC500SやPW-6800はこの2つのランクを融合させた機種ですが、学習英英が使いこなせない人には使いにくい面がありました。しかし、ジーニアス英大は、ジーニアス英和+大辞典クラスの専門語彙という感じの辞書で、英語辞書にしては珍しい「大は小を兼ねる」辞書です。基本語は、無印ジーニアスなみ、あるいはそれ以上に詳しいぐらいですので、汎用機にはぴったりのコンテンツなのではないでしょうか。

Eiken Times 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 3日(火)10時48分21秒

↑最新号にIC電子辞書の使い方に関する記事が出ています。私の元原稿をエディターさんが肉付けしてくださったのですが,英検を中心とした資格試験受験対策用という観点からIC電子辞書の使い方を,とくに付加機能の活用を中心に解説しています。「四つ巴?」になった広辞苑+学習英和・和英・学習英英モデルの紹介もあります。ご興味のある方はぜひごらんください。

#Eiken Timesというのはウェブ上の雑誌なのでしょうか? 1ヶ月で完全更新され,バックナンバー等が残らないようなのでお早めにごらんください(^^)

http://www.eiken.or.jp/eikentimes/tokusyu/index.html


SR-9700の例文検索方法(エンドユーザーさん向け) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 3日(火)10時36分17秒

下の内容は分かりにくいので,9700をお使いの一般の方向けに分かりやすく書き直します。

9700で例文検索をするときは,以下のようにするといいと思います。

★「ある単語が使われている例文を見たいとき」

「man&」のように,キーワードの末尾に「&」をつけます。そうすると,左の例ならmanや,その派生語であるmenが含まれている例文のみが出ます。「man」のように「&」をつけないと,manner, manyのように,manで始まる単語も一緒に出ますので,不要な例文が多くなります。

複数のキーワードを入れる場合でも,「woman&man&」のように,最後に&をつけるとmanyやmannerなどが使われている不要な例文は出ません。

★「ある単語の派生形が使われている例文を見たいとき」

上述の方法でも派生形が使われている例文を見ることができますが,原形や余分な派生形(比較級を見たい場合に最上級まで出てくる)まで出てきます。そのため,ある単語の特定の派生形が使われている例文を見たい場合は,(原形でなく)その派生形をじかに入れるといいです。

たとえば,「more&」といれると,moreが使われている例文のみが出ます。※「many&」と入れると,moreだけでなく,manyやmostが含まれる例文も出ます。※ある単語の原形のみが使われている例文を見ることはできません。

各メーカーさんのカタログより 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 2日(月)11時38分46秒

他掲示板でもだいぶ前に話題になっていましたが,電子辞書カタログの表紙にはそれぞれ独自のキャッチコピーがあります。ここには各メーカーさんの電子辞書へのスタンスがさりげなく出ていて興味深いです(^^) 以下,最新カタログより。

「電子辞書はカシオ」(カシオ・2002年秋版):シェアトップのメーカーだからできる技でしょうが,シェアNo.1というPRをさりげなくした上で,ブランド名を前面に出しています。意地悪なみかたをすれば,機能面やコンテンツ数などで他社と差別化できる要素がないからなのかもしれませんが(^^;;

「英語辞典を極める,キヤノン」(キヤノン・2002年6月版):日本語系コンテンツも充実している機種がほとんどなのに,あえて英語に特化したキャッチコピーを使っています。電子辞書本体の写真を表紙に載せているメーカーさんが多い中で,戸田奈津子さんをアップで載せているのもその影響? カシオやシャープといった汎用機主体の高シェアメーカーと直接勝負はしないで,昔から英語用途に力を入れているセイコーに対抗するスタンスなのか,とも深読みできます(^^)

「いつでも役立つ,知恵のコンビニ」(シャープ・2002年夏版):キャッチコピーの秀逸さは業界一? カラー液晶だとか,操作性の良さだとか,具体的な面でPRできる要素は多いのに,ありきたりな文句でなく,顧客の印象に残るような(抽象的な)表現をしています。以前に辞書数のカウントに関してもふれたのですが,様々な意味で,営業面での力の入れ方が大きいのがうかがえます。

「さらに使いやすく」(セイコー・2002年6月版):使い勝手の良さを前面に出したPRで,これ以上述べる必要はないでしょう(^^)

「コンパクトなボディに,21冊の辞書を収録」(ソニー・2002年8月版):これも明快で,コンテンツの冊数をアピールしています。コンパクトなボディというのはIC辞書1号機のDD-IC100のカタログでも使われています。ウォークマンをはじめとした小型化技術では最高水準のメーカーだからなのかもしれません。ちなみに,最新のソニーのカタログでは,電子ブックプレーヤーは後のほうに押し込められ,表紙裏側のラインナップにさえ出ていません。しかも,リーダーズ搭載のDD-S25やジーニアス搭載のS15はすでにカタログからは姿を消しています。このことからも,電子ブックプレーヤーが風前の灯火であることがうかがえます。知恵蔵のような消耗品コンテンツでさえIC辞書に入ってしまうようになったのですから(^^;;

プログレッシブ搭載機の終焉? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 2日(月)10時13分04秒

ソニーさんの最新カタログによると,プログレッシブ英和・和英搭載のDD-IC1000/550がいずれも生産完了になったようです。ソニーさんの後継機は,いずれも研究社系のコンテンツを入れてきていますので,今後はIC辞書でのプログレッシブ搭載機は出してこない可能性もあります。IC辞書どころか,CD-ROM辞書のMS-Bookshelfでも新版は研究社中辞典になってしまいましたし…。

プログレッシブは,学習辞書の詳しさ(基本語は他の学習辞書よりも詳しい場合が多いです)と大規模辞書の豊富な語数を両立させた辞書で,ファンも多いです。ジーニアスに載っていない語でも,わざわざリーダーズにあたらなくてもプログレッシブには出ている場合が多いですし,ジーニアスほど微に入り細にわたった語法記述もありませんので,実務で使う人には使いやすい辞書だと思います。とくに和英は,通常の国語辞典程度の語数がありますので,他の学習和英で出ていないような堅い表現でも載っています。

今思うと,ソニーさんがDD-IC100で初めてIC辞書に参入してきたときは,プログレッシブというユニークなコンテンツを入れてきたこともあり,細かな操作性などは霞んでしまったぐらいですが,こういうコンテンツ面での個性が(これは他社にも言えますが)どんどん失われてきて,ジーニアスと研究社中辞典の独占状態になっているのは憂うべきことだと思います。ソニーさんも,ライセンスコストのからみもあるのでしょうが,研究社コンテンツに流れないで小学館で統一していれば(大辞泉や類語例解辞典など,日本語コンテンツも),もっと魅力的な電子辞書が生まれていたと思います。

いずれにしても,プログレッシブファンの人は,今ならDD-IC1000が10000円弱(冊子体コンテンツの合計よりも安い!)で手に入るのですから,おすすめです。

Sentence 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 8月12日(月)14時41分19秒

↑以前ご紹介した例文データベース「Sentence」ですが,東京へ行ったときに入手しました。税込みで6000円です。CD-ROMですが,書店流通のようなので,パソコンショップ等ではなく,大きな本屋さんで買えます。こういうとき,沖縄には「大きな本屋さん」がないので困ります。

これは便利です。朝日出版社が今までに出した6種類の口語辞典やスラング辞典,ビジネス例文辞典などの例文が,英単語,日本語をキーワードにしていっぺんに検索できます。電子辞書の例文検索では望めない,日本語をキーにした検索も可能です。また,音声や画像データがないぶん,他のCD-ROM辞典にくらべてとても軽いのもメリットです。Win95でも動くソフトなんて最近は少ないです。

ただ,最初のバージョンということもあって,細かな点の使いにくさも目立ちます。例文一覧画面と詳細表示画面を上下のウィンドウで分割するのはいいのですが,詳細表示ウィンドウしかコピー&ペーストできない(あるキーワードでヒットした例文をいっぺんにコピペできない)のは,私たち研究者にとっては大きなマイナス面です。著作権の問題なのかもしれませんが…。

そのほか,詳細画面でもCTRL+A(全選択)のようなウィンドウズ標準のキー操作が使えないとか,検索結果の印刷はできるのに保存ができない,せっかくの日本語検索も,漢字表記と仮名表記をいっぺんに検索できない(「たばこ」で検索すると「煙草」が含まれる例文はヒットしないし,逆に「煙草」をキーにすると「たばこ」という表記は出てこない)など,細かな点はまだまだ改良の余地があると思います。とくに,表記の違いの問題は,マニュアルでは「仮名で入れれば漢字も検索できる」と書いてあるのに実際はできないので困ります。

いずれにしても,今後のバージョンアップで操作性はよくなっていくでしょう。また,正規ユーザには(登録制)追加の例文データも今後随時提供されるようです。例文検索を多用し,英語を書く機会の多い人には是非おすすめします。

#これの中身がまるごとIC辞書化されて,従来のコンテンツの例文と一緒に例文検索ができれば,どちらかというと書き言葉が多い冊子体辞書の例文と,口語例文の多いSentenceの例文をいっぺんに引けるわけで,最強の例文検索機能になると思います。

http://www.asahipress.com/sentence/


英英搭載機種の選び方 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月23日(火)10時08分43秒

↑お問い合わせが多いのですが,「電子辞書へのアプローチ」などでは最新機種が反映されていませんので,ここにまとめておきます。学習英英辞典を搭載した機種を購入予定の方のご参考になれば幸いです。

・広辞苑搭載機種を選ぶべきか?

初めて電子辞書を購入される方で,国語辞典が必要かどうか迷っている方は,国語辞典の入っている機種をおすすめします。ふだん国語辞典をあまり使わない人でも,電子辞書を購入すれば思ったより引く頻度は高くなると思います。日本語の場合,私たちにとっては母語ですから,テレビや新聞などででてきた語できいたことのない単語があっても,国語辞典をとってきて引くのはおっくうだからといって,類推ですませることが多いものですが,電子辞書なら簡単に引けます。とくに,留学(学位留学や,長期の語学留学)で使うために購入する場合は,国語辞典は必携です。渡米前は,英語漬けの生活になるのだから国語辞典などいらないと思うかもしれませんが,行ってみるとその必要性を痛感します。現地ではまともな国語辞典は手に入りません。ロスやニューヨーク,シアトルといったクラスの大都市なら日系の書店で手に入りますが,日本で買うよりはかなり高いです。

一方,以前に汎用機(英英なしでコンテンツの多い機種)を購入した人で,英語学習等の必要性から,セカンドマシンとして購入を考えている人は,(おそらく1台目の機種に国語系コンテンツは入っているでしょうから)広辞苑搭載,非搭載(=英語専用機)の両方から,英語系コンテンツの中身に重点をおいて選択すべきでしょう。

・英英辞典はオックスフォード(OALD)がいいのか,ロングマン(LDCE/LAAD)がいいのか?

同じ学習辞典といっても両者はレベル的にかなり違います。詳細は「Sekkyのつぶやき」の過去ログをごらんください。かなり荒っぽく言うと,

(語義の難しさ):LDCE/LAAD<OALD,(例文の難しさ):LDCE/LAAD>OALD と考えていいと思います。

必要な機能は?

最近の電子辞書には様々な付加機能がついていますが,自分にとってどの機能が必要かを把握することは大切です。以下に代表的な機能とその用途をお話しします。

・例文検索:ある単語(複数可)が含まれる例文を,英英(+英和,和英)の全例文の中から検索し,一覧する機能です。たとえば,冊子体辞書では,in front ofという句が使われている例文を見たい場合は,in front ofの項目の中にある例文にしかアクセスできませんが,例文検索なら,他の見出し語の中の例文でもin front ofの使われている文章を出してくれます。この機能は,とくに中級以上の学習者にとっては英語を書く際に和英辞典のかわりとして重宝します。留学予定者や大学の英語学科の学生等,英語を書く機会の多い人には必須の機能でしょう。

・日本語ジャンプ:機種によってはスーパージャンプなど,呼び方は違いますが,従来のジャンプ機能を改良し,英単語だけでなく日本語の単語にもジャンプできるようにした機能です。これにより,広辞苑で引いた単語の語義の中で分からない単語を再度広辞苑で引き直すということが簡単にできるようになりました。また,英和で引いた単語の訳を和英で引き直すこともできるので,類語等にも目を配った深みのある英語学習ができます。

意外と知られていませんが,日本語ジャンプは日本語を学ぶ留学生にも便利な機能です。広辞苑で引いた語義は難しい場合が多いので,和英で引き直すことで理解しやすくなります。私たちが英英の語義を英和で引き直すのと同じことですね(^^)
・単語帳:辞書で引いた単語の中から任意の単語を半永久的に記憶し,必要に応じて呼び出せる機能です。履歴(しおり,ヒストリー)機能と違い,ユーザが選んだ単語だけが記憶されますし,古いものから消えていくことはありません。大学受験生や高校生は定期テストの範囲の単語や豆単から抜粋した語を記憶して学習用に使えます。また,学位留学をする人のようなハイレベルの英語学習者でも,リーディングアサイメントの中で,授業のディスカッションでキーワードになりそうな語を選んで登録しておき,空き時間にざっと目を通しておけばスムーズに授業に参加できます。英和の訳語はともかく,英英の語義を紙の単語カードやノートに書くのは大変ですが,単語帳機能ならワンタッチです。英英の語義なら,そのまま授業で話すときにも使えますね。

・画面分割表示:ジャンプ機能で英英から英和にジャンプするときなど,ジャンプ前(英英)とジャンプ後(英和)の画面を並べて見られると便利です。ジャンプ機能(少なくとも英単語へのジャンプは)はどの機種にも付いていますが,画面分割のできる機種は限られます。

・類語辞典:シソーラス(thesaurus)とよばれるもので,ある英単語と似たような意味を持つ語が一覧できる辞書です。もちろん,thesaurusに載っていても厳密にある単語とある単語が同じ意味ということはありませんので,正しく使うためにはニュアンスの違いなどを英和や英英で確認する必要があります(電子辞書ならジャンプ機能で簡単にできます)。シソーラスは諸刃の刃であり,うまく使えば自然な英語を書く上で有益なツールになりますが,一方でthesaurusに頼りすぎてよく知らない語をthesaurusに載っているからといって「知ったかぶり」して使うと大恥をかくことがあります(経験者は語る(^^;;)。学位留学をした人は,thesaurusを使いすぎたために逆に英語を直されたりしたことが1回はあるのではないでしょうか。ESL(語学留学)レベルの英語学習なら必ずしも必要ではないかもしれませんが,英語でペーパーを書いたりする機会の多い人は必須です。

英英辞書搭載機種の具体的特徴(順不同)

(国語辞典搭載機)=英語重視モデル

・XD-R8100(カシオ):例文検索と類語辞典,広辞苑をすべて搭載した唯一の機種。そのため,国語辞典搭載機の中では,英語に最も力を入れた機種と言えます。後述の英語専用機がほしいけど,国語辞典がないのはちょっと…という人におすすめです。日本語へのジャンプや単語帳,画面分割など細かな付加機能はありませんので,コンテンツ内容を重視する人向け。大学の英語学科の学生や英会話学校へ行っている人などがメインターゲット?

・PW-9500(シャープ):大画面と小さなフォントの搭載により,画面の一覧性は業界一です。類語辞典や例文検索といった英語系の機能はカットされていますが,ことわざ辞典,カタカナ語辞典など,国語系コンテンツが重視されています。また,画面分割,単語帳,日本語ジャンプなどの付加機能も搭載され,その使い勝手もとてもよくなっています。筐体サイズが大きいので,どちらかというと据え置き用途がメインの人向けです。学生というよりは,主婦やサラリーマンなどで「やり直し英語」に興味を持っている人にぴったりかもしれません。留学用途など,英語を重視する人は他機種のほうがいいでしょう。

・IDF-4500(キヤノン):画面解像度は他機種にくらべて低いのですが,一方でコンテンツバランスと高機能を両立させた機種です。4500の一大特徴は,単語帳機能の性能です。辞書別の制限が一切なく,合計で最大1000語を4つのチャンネル(記憶領域)に分けて登録できます。たとえば,定期テスト用,受験用,英会話学校用,洋画に出てきた単語用,のように区別して記憶できるわけです。留学生なら,科目別,教科書別にすると便利でしょう。テストモードがあることや,並び順をアルファベット順・登録順の選択ができること,チェックマークをつけた単語(=覚えた語)を隠して(フィルタリングして)表示するなど,様々な機能があります。一方で,ジーニアスが旧版だったり,例文検索がないなど,中途半端な面もありますが,辞書としてだけでなく,英語学習ツールとしての機能を重視する人にはおすすめです。

・DD-IC5000(ソニー):語数の多いリーダーズ英和と学習英英の組み合わせに加え,国語辞典(広辞苑ほどの語数はありませんが)を搭載しています。例文検索や単語帳などは備わっていますが,英語を重視する人にとっては類語辞典がないのが難点です。また,過去ログでもふれていますが,画面解像度をはじめ,細かな操作性に難があります。
(国語辞典非搭載機)=英語専用機

・SR-8100(セイコー):付加機能の豊富さは他機種を寄せつけません。例文検索はもちろん,常時2画面分割で表示する(見かけ上,2台の電子辞書を1つの画面で使うことができます)機能などは使い込むほどその便利さを実感します。フルキーボード搭載というのも大きなメリットです。単語帳はありませんが,例文を登録する(例文コレクション)はあります。また,10画面のみですが,任意の画面を記憶する(ブックマーク)機能があります。容量が少ないですが,単語帳としての使い方も可能です。類語辞典は他機種のものと違い,語数が多く,平均的な英語学習者には使いにくいかもしれません。英語上級者のセカンドマシンに最適な機種です。

・PW-6800(シャープ):英和辞典で最大の語数を誇るグランドコンサイス英和を搭載しています。語数の多い英和と学習英英の組み合わせは,上級学習者のニーズにぴったりでしょう。専門的な英語を読む機会が多いだけでなく,英語を書くことも多い人向け。類語辞典が貧弱なのが心許ないですが,外資系企業のビジネスパースン,海外の院レベルでの留学生などをターゲットにしていると思います。英和は語数が多いかわりに例文や文法記述が少ないので,これらの情報はOALDに頼る必要があります。そのため,学習英英辞典が使いこなせない人には不向きです。

・PW-M670(シャープ):小型軽量タイプの学習英和,英英搭載機。英語学習のために電子辞書を購入する人で,どこへでも持ち歩きたい人向け。英会話集もついているので,英語学科の学生から主婦層で英会話に興味がある人まで様々なニーズに応えます。

Sentence 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月21日(日)13時55分38秒

大学の語学テキストを中心に出している朝日出版社という出版社が,自社の口語英語辞典5種類をCD-ROM化(Sentenceという製品)して発売しました。1枚に全5種類の辞書を収録し,見出し語検索と,収録されている50000ちょっとの例文検索ができます。日本で手に入る口語英語の例文コーパスとしては大きいものの一つだと思います。CNNと提携し,CNNマガジンなども出している出版社なので,CNNで使われた例文なども購入者はネット上でダウンロードできるようです。

詳細は以下のリンクをごらんください。

http://www.asahipress.com/sentence/


クロスワードに最適な機種(>すまいる。さん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月17日(水)09時15分06秒

>クロスワード検索はseikoだけみたいですね。ちょっとがっかり(笑)

日本語のクロスワードを解くためにワイルドカード検索を使う場合,(1)語頭に「?」が使えること,(2)派生語や慣用句などもワイルドカード検索でヒットすること,(3)広辞苑でワイルドカード検索ができること,の3点をクリアする必要があります。カシオの機種は英和,英英でしかワイルドカード検索が使えないのがネックになります(詳細は「電子辞書へのアプローチ」の4.1.をごらんください)。

ただ,クロスワードの中には「八郎潟で有名な××半島」というようなカギがよくあります。このように,後部要素が確定しているカギなら,ワイルドカード検索を使わなくても逆引き広辞苑で用が足せます。カシオの機種にも逆引き広辞苑が入っていますので,「はんとう」と入れてやれば検索できます。「逆引き広辞苑なんて必要なの?」という声をききますが,こういう用途がありますね。

クロスワードを解くという観点ではセイコーのフルキーボードモデル(SR-9500/9600/9200)
に勝る機種はありません。これらの機種にはプレビュー機能がついています。そのため,ワイルドカード検索でヒットした候補語リスト上でカーソルを上下に動かすだけで,画面下半分にその語の語義が表示されます。他機種のように,いちいち訳キーで語義を出し,パズルのカギとは違うからリストに戻って,次の単語をまた訳キーで…という面倒な操作がいりません。クロスワードを解く際,ワイルドカード検索でパターンを入れただけでは膨大な候補語リストになりますので,カーソルの上下だけでその語の語義がチェックできるというのはとてもありがたいのです。

しかも,他機種だと,クロスワードを解いた後は,クロスワードで引いた単語が履歴にたくさん残ってしまいますが,プレビューで表示させた場合は(訳キーを押して表示したものと違い)履歴に一切残らないというのもメリットでしょう。このようなメリットはクロスワードフリークの人にとっては大きいでしょうから,パズル雑誌にSRシリーズの広告を出すとか,懸賞の賞品にするとかしてもいいと思いますが。とくに,リーダーズ搭載のSR-9200は日本語はもちろん,かなり難解な(英字紙に載っているような)英語のクロスワードでもサクサクと解けます。日本語も,英語もクロスワードを楽しみたいという人は,それだけでもSR-9200を買う価値はあります。難解なクロスワードを解いて賞品をもらえば電子辞書を買ったもとは十分とれますね(^^)

Reading Penはいかが? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月 6日(土)12時01分42秒

発音機能に興味がある人は多いようですが,単語単位でなく文章を発音できる機種はないか,というおたずねがたまにあります。

定番ではセイコーのSD-7200でしょう。合成音声ですが,新英和,和英中辞典内のほぼすべての単語はもちろん,例文も発音してくれます。ネイティブの肉声とは明らかに違う「機械の音声」だということは普通の人がきいてもわかりますが,それでも,ネイティブがこれを聴けば十分意味は通じるレベルです。SD-7200には自由文発音といって,中辞典の例文以外でも自分でキー入力した英文を読んでくれる機能があります。辞書に入っていない固有名詞(日本人の名前とか)でもローマ字読みで読んでくれるので,十分実用になります。ただ,7200の難点は,自由文発音機能があるとはいえ,発音させたい文章をキー入力しないといけないということです。ですから,学生が教科書の英文を勉強する際のお手本にしようとしたら,キー入力が面倒です。

そんな人におすすめなのがWizcomというイスラエルのメーカーが出している「なぞって訳す」電子辞書です。これは,OCRを内蔵した電子辞書で,英文(活字しかだめで,手書きは付加)をスキャンするとその文章を発音してくれます。もちろん,本来は電子辞書(英英)ですから,意味を知りたい単語にカーソルを合わせれば定義がでます。American Heritage College Dictionaryというアメリカのカレッジ版英英のフルコンテンツ(語源以外)を収録しています。レベル的にはCODと同じ感じです。英文をなぞるだけで発音してくれるというのはとても便利です。二行以上にわたる文でも(200文字以内なら)2回に分けてなぞればくっつけて読んでくれます。

もともとは,目の不自由な人やdyslexiaの人向けに開発されたものらしいですが,英語学習にも役立ちます。今は日本代理店でも購入できるようですので,詳細は以下のリンクをごらんください。

http://www.wizcomtech.com


電子辞書のマニュアルについて(>はるさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月 5日(金)19時56分29秒

>レビューにもありましたように、説明書はとてもお粗末なものでしたが、私は日頃から説
>明書を読むのはあまり好きではなく、使用しながら身に付けていくタイプなので、順序な
>どは気になりませんでした。ただ、その場合、どうしてもわからない場合のみ説明書に頼
>るのですが、困った時に説明書はあまり役に立ちませんでした。英英辞典を使うのは初め
>てで例文に出てくる「sth」の意味がわからなくてジャンプして英和に飛んだら「南」
>と出て来た時は苦笑いしました。

前にも書いたのですが,はっきり言って2000Eのマニュアルはひどいものです。IDF-3000, 4000のときはとても丁寧なマニュアルだったのに,2000Eになってから急にひどくなりました。同じメーカーの製品とは思えないぐらいです。4500は少しましになりましたが,それでも3000, 4000とは明らかに出来が違います。キヤノンの電子辞書は,本体の出来がとてもよいのに,マニュアルがこれでは初めて電子辞書を買った人は戸惑うでしょう。

電子辞書のマニュアルは,「電子」の部分(操作の説明)と「辞書」の部分(辞書の見方や凡例)の2つから構成されます。これらはどちらも大事なものですから,両方を対等に扱う必要があります。IDF-2000Eのマニュアルには「電子」の部分しかありません。後になって,別冊で辞書の見方や記号説明を書いた凡例集というのが作られました。これは量販店の店員さんに言えば購入者は無料でもらえるのですが,はるさんはもらいましたか? もっとも,この凡例集にしても必要最低限という感じで,詳しいとはお世辞にも言えないのですが…。

マニュアルの「電子」の部分に関してのわかりやすさは,カシオの機種が抜きんでています。これに関しては「Sekkyのつぶやき」の4月 3日(水)10時45分49秒をごらんください。電源キーひとつの説明にもかなりの字数を使っています。

辞書の使い方説明は,シャープのマニュアルが分かりやすいです。OALDにしても,シャープ(PW-6800)は16ページ半も使って詳しく説明しています。たとえば,[U]という記号の説明は「不可算名詞」と書くだけでなく,不可算名詞とはどういう名詞で,どういう例があるのかまで書いてあります。冊子体OALDのStudy Guideの部分を翻訳したような内容ですが,翻訳臭さが全くなく,冊子体OALDを知らない人が見れば一から書き下ろしたものだと思うぐらいの見事な日本語です。これだけの訳文は,英文法自体を熟知している人でないと書けないはずです。これだけ見ても,シャープの機種はマニュアルにかなりコストをかけていることが分かります。同じOALDでも,キヤノンのIDF-2000E(凡例集)は6800のマニュアルの3分の1ぐらいの大きさしかないスペースにわずか9ページです。コンテンツが全く同じなのに,なぜここまでの分量の差が出るのか,ということをメーカーさんは考える必要があるでしょう。カシオの最新機種では辞書の使い方説明はオンラインヘルプ(ガイド機能)に譲り,マニュアルには一切載っていませんが,これも一つの方法でしょう。また,セイコーの機種は,冊子体の説明書き部分をそのまま縮小して載せています。もともとが冊子体辞書のものなので字が小さく,見にくいという難点はありますが,はしょったりしないで冊子体辞書と同等の情報を提供しているので親切です。シャープの機種のように冊子体辞書の説明書きを翻訳なり再整理なりするのが大変なら,せめてセイコーの機種のように冊子体の説明書きをすべて電子辞書のマニュアルにも載せてほしいです。

ED-7780詳細 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月23日(木)19時19分31秒

海外製品のためカタログが日本では手に入らないでしょうから、もう少し詳細をお話しします。

キーボードはプラスチックです。ストロークは浅いですが、まずまずです。もっとも、ボキャビルモードではキーボードは使わず、液晶画面左右の6つのキーのみ使います(「電子辞書へのアプローチ」の筐体写真を参照)。選択肢のすぐ横のキーを押して答えるわけです。縦に3つキーがあることからも分かるように,7780は縦3行の解像度です。1つ1つのドットが肉眼で区別できるぐらい粗いです(^^)

本体は教育向けモデルらしく,武骨です。日本製の電子辞書も学校向けモデルを出すとしたらこんな感じになるのでしょうか。液晶も二重構造になっているので割れにくいと思います。ハードカバーがついていて,カバーを裏返して差し込むと使用時のスタンドになり,傾斜がつきます。

ThesaurusはRoget's II(SR-9600に搭載)とWord Finderという独自のもの(Oxfordの同名書籍とは関係ありません)の2種類がついています。Word Finderのほうがかなり幅広く類義語をとらえています。ボキャビルモードも,Roget's IIをもとにしたSynonym QuizとWord Finderを元にしたAssociative Quizの2種類があります。それぞれで独立して成績,レベル管理をします。

ボキャビルモードは,先にお話ししたように,ユーザの出来具合をモニターして出来具合に応じてレベルやペースが変動するオートモードで使うのが基本ですが,変数をマニュアル(手動)でコントロールすることもできます。たとえば,pace(同じレベルの問題を繰り返し出題する度合い)は最初は10(繰り返しをしないで,同じレベルに属する単語をまんべんなく出題)で,出来がよければ20まで徐々に上がります(10以上になると,同じレベル内の単語でもスキップされる率が高くなります)。逆に,出来が悪いと1まで徐々に下がります(10以下になると,同じレベルの中の同じ単語が繰り返し出される確率が増えます)。これはオートにしておけば出来具合に応じてペースが上下しますが,あるペースに固定させることもできます。たとえば,20に固定しておくと,出来がよかろうが悪かろうが,かなりはしょってどんどんレベルが上がっていきます。

ほかにも,Difficultyという変数があります。これは,ノーマルとチャレンジの2つのモードがあります。ノーマルの場合,選択肢は出題語よりも易しい(レベルの低い)語が選ばれます。ですから,レベルが上がっていっても,出題語は難しくなりますが選択肢が易しいので勘で答えることもできます。一方,チャレンジの場合,選択肢のほうが出題語より難しくなります。そのため,問題の難易度も上がります。たとえば,出題語のstartの場合,ノーマルだと正解選択肢がbeginになるのに,チャレンジだとinitiateが正解選択肢に入るというような感じです。オートにしておけば,ふだんはノーマルモードになっていますが,満点が続いてどんどんレベルアップしていっているときなど,コンピュータが「易しすぎる」と判断したら自動的にチャレンジモードに変わります。そうすると途端に難しくなります(^^) ネイティブ向けだけあって,けっこう難しいです。小テストの結果でコンピュータが自動で選んでくれるレベルはかなり実際よりも低いようで,私もこれなら楽勝と思っていたら,レベルが上がるにつれて骨のある語が増え,手こずりました。一応英語で生計をたてている私でも,上の方のレベルは歯が立ちません。いい線行っているな,と思っても,1回出来が悪いとペースが急に下がり,なかなか先へ進めなくなります。

辞書の中身はフルコンテンツでありませんので期待しないほうがいいです(^^)
あと1つ,学校等での使用を想定しているためか,ログインモードがMain UserとGuestの2種類あります。ふだんはメインユーザのほうで使いますが,友人等に貸すときはGuestモードで使ってもらうということのようです。毎回のQuizの出来具合がモニターされるので,他人に貸すとレベル等が狂ってしまうからなのでしょう。

ED-7780 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月23日(木)16時39分38秒

>#あと、セイコーUKのED-7780に興味がありますが、ボキャビルのモードに関してその有効
>性や使用するときの注意点があれば教えていただきたいと思います。

ボキャビルモードは,SATやGREなどでよくある「ある単語に近い意味を持つ語を以下のA-Dから選びなさい」という形式の問題を出してくれます。というと,IDF-2000EやPW-M310にあるような受験用単語集のテストモードのようですが,ED-7780のすごいところは,コンピュータがユーザの出来具合(正答率)をモニターしていて,それに応じて出題される単語のレベルが自動的に上下したり,repetitionの度合い(同じ単語を繰り返しテストするかどうか)が変わってくることです。大げさですが,家庭教師とマンツーマンで受験指導を受けているようなものです。

レベルは200近くに細分化されていて,日本の中学1年生レベルからネイティブの大学生レベルまであります。どこから始めるかは自己申告(開始レベルを入力)でもいいですし,小テストに答えることでコンピュータが適当なレベルを決めてくれるようにもできます。あるいは,7780に搭載されている単語帳機能(覚えておきたい単語を登録できる)に登録した語をコンピュータが調べ,その語と同じぐらいのレベルから始めることもできます。正答率が高ければ1つずつレベルアップしていきます。200もレベルがあるとなかなか進みませんが,ほとんど満点が続くと,飛び級式に飛ばして進むこともあります。この場合でも,正答率が下がるとペースも下がり,同じレベルの問題が何回も繰り返して(選択肢の順序は変わります)出ます,

このボキャビル機能は,問題が多数登録されているのではなく,内蔵のthesaurusのデータを元にその都度コンピュータが問題を作ります(10万通りぐらいの問題が作れるらしい)。選択肢も,IDF-2000Eの単語集のように内蔵語からアットランダムに出る(2000Eの場合,newspaperの選択肢にAmericanが出たりします)のではなく,コンピュータが類義語,反意語,似たような発音の語,同じ意味だけど品詞が違う語,といった情報をもとに「ひっかかりやすい」選択肢を作ってきます。たとえば,paste [N}(pasteの名詞の意味に近い語を選ぶ)の選択肢は,seal, cement, apt, pastと出ます。pastやaptはpasteと発音や綴りが似ている語だからひっかけ選択肢だろう,ぐらいは分かっても,sealもcementも意味は似通っているので迷ってしまいます。この場合,pasteの「名詞」というのがミソで,「接着剤」という意味(動詞の「貼り付ける」でなく)と近い語を選ぶ必要がありますので,cementになります(動詞であればsealでいいわけです)。

完璧にレジューム機能が働くので,途中で電源を切っても次に再開するときは中断したところからできます。ですから,空き時間や通勤通学時などに簡単に勉強ができます。テストは5問から30問まで(設定で選ぶ)の好きな問題数でやれます。もし5問を選ぶと,5問ごとに正答率を勘案してレベルアップするか,そのままか,レベルダウン(繰り返しが増える)かが判定されます。テストの区切りで辞書モードやthesaurusモードに切り替えても,どこまで進んだかは覚えているので,ボキャビルモードにすれば中断したところから再開します。ちなみに,最高レベルではteenybopper, telecopy, theorization, tongue lash...などが出題されます。ネイティブには難語なのでしょうが,日本人の上級学習者なら,theorizationなどはtheorizeの派生語で,theorizeはtheoryの動詞形,と考えるでしょうからそれほど難しくはないかもしれません。ただ,これは出題語の話であり,選択肢になる単語も同様に難しい語が多いので高正答率を保つのは難しいです。

ED-7780で使われているレベルのアップダウンに関するロジックはかなり複雑な仕掛けのようで,満点が何回も続いてもレベルがなかなかあがらないときもあれば,2回ぐらいですぐ上に行くときもあります。アメリカの学校の先生とセイコーさんが共同開発? したというようなことをききました。これぐらいのロジックを日本製の電子辞書の受験単語集にもつけてほしいものです。

ボキャビルモードがすごいので霞んでしまいますが,英英(アメリカンヘリテイジの簡約版)と2種類のthesaurusも搭載しています。
>また、入手できるお店や価格に関しても情報もあるとうれしいです。

SIIの製品ですが,アメリカ支社のほうなので,日本では入手できないと思います。お客様センター等に問い合わせても,国内で扱っている小売店がない以上,どうしようもないみたいです(メーカーさんが直接販売することはできないでしょうから)。アメリカのAmazon.comでは$53.88で手に入りますが,海外への発送はしてくれません。現地へ旅行へ行ったときにでも買うか(ただ,在庫があるかどうかは保証できませんが),アメリカ在住の知人に購入してもらい,それを知人経由で日本に送ってもらうしか方法はないでしょう。私も,留学中の知人にお願いしてアマゾンで購入してもらいました。

ED-7780はテスト好きな? 日本人には大受けすると思うんですけど,輸入販売は無理なんでしょうか…>メーカーさん この掲示板でも,個人メールでも,海外向け製品の中で最もお問い合わせが多いのがED-7780なのですから,ER-6000のように販売店限定でいいので扱う店があればいいと思います。

ちなみに,ER-2000と6000はそれぞれ,COT(SR-9200搭載のthesaurus)とCOT&CODを搭載した,セイコーさんの海外向け機種です。とくにER-6000は今思うとSR-9200への布石だったのかも。

ER-6000はSR-9200の英英部分と同じように思えますが,thesaurusはコンテンツこそ同じでも,9200よりも優れています。たとえば,antenna((動物の)触角)の類語を知りたい場合,9200では出てきません。COTにはantennaが見出し語にないからです。しかし,ER-2000/6000ではantennaと入れるだけでthesaurusの類語部分の中でantennaがある語を拾ってくれます(要するにthesaurusの全文検索ができるということです)。feelerという見出し語の類語の中にantennaがありますので,antennaを入れるとfeelerが検索できます。そこには,antenna以外でもwhisker, tentacleなどの類語が出ています。

ER-6000は大きい(SR-9200よりも!)ので持ち運びに不便ですが,ER-2000はPW-M670とほぼ同サイズですのでどこへでも持っていけます。Thesaurusの単体マシンとして,留学などには便利です。残念ながら,ER-6000はヨドバシの新宿西口店など,一部で手に入りますが,ER-2000はED-7780と同じく国内では入手できません。ほんの1年半ほど前は秋葉原LaOXのDuty Free館で山積み(それも2000円で!)されていたのですが。秋葉LaOXはたまに海外メーカーのモデルで珍しいものが置いてあったりします。

ジーニアス英和大辞典on CD-ROM 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月22日(水)15時18分47秒

↑前にどなたかがお知らせ下さったと思いますが,詳細が分かりました。発売は6月上旬,定価14000円(税抜)だそうです。EPWING形式なので,マックでも検索ソフトがあれば使えますし,WinCEやPsion等のPDAでも使えるはずです。

ジーニアスの大辞典は,辞書の中では珍しく「大は小を兼ねる」もので,ジーニアス英和の学習辞典的な要素はそのままに,語数を大幅に増やしたものです。ジーニアス英和の増補版と言えるかもしれません。日本の英和にしては珍しく,自前のコーパスを用いて編集しているので,例文も新鮮です。とくに,アメリカの日常生活英語(空港のアナウンスやテレビコマーシャルなど)が例文になっているものが多いです。CD1枚で14000円は高いですが,冊子体とのバランスをとっているのでしょう。

DI-2000 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月18日(土)10時10分50秒

非フルコンテンツモデルで思い出しましたが,名機? としてDI-2000(カシオ)というのがあります。これは,電子辞書ブームが起こる前(94年ぐらい?)に出たのであまり注目されませんでしたが,現行の非フルコンテンツモデルとほぼ同等のスペックなのにカード電卓のサイズの機種です。厚さも2ミリあるかないかなので,J20よりも小さいと思います。英和と和英(国語はなし)ですが,非フルコンテンツとはいえ,英和はニューセンチュリー,和英は新クラウンという三省堂の学習辞書をベースにしている(冊子体の第1語義のみを抜粋して,例文や文法解説,補足説明などをカットしている)ので語数はかなりあります。150件入力できる漢字電話帳もついています。

発売当時は私は大学院へ入ったばかりでしたが,英語教育関係の学会の展示ブースでカシオさんが実演していたのを覚えています。定価は10000円以上したはずですが,当時はフルコンテンツモデルがようやく出始めた頃なので,かなり反響はあったと思います。晩年? は2000円ぐらいで在庫処分していて,私もその時に買ったのですが,以来この薄さ,小ささの機種は出ていません。

フルコンテンツvs非フルコンテンツ(>Yoshiさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月18日(土)09時57分12秒

>もどこでも辞書が引けます。だから、歩いていてふと、「あの単語の意
>味は?」と思ったときにでも引くことができます。面倒がって引かないよ
>りは、内容が少なくたって引くほうが学習効果だって高いですよね?

たしかにこのページではカード型辞書をはじめ,非フルコンテンツのモデルはほとんど取り上げられませんね(^^) 私はちょっとYoshiさんとは立場が違い,学生に電子辞書を紹介するときは「最近の機種はどこのメーカーのものを買っても機能にそんなに差はないけど,買うときは必ずフルコンテンツの機種を買ってください。いくら安いからといっても,フルコンテンツでない機種を買うぐらいなら,冊子体の辞書を買った方がはるかに有効です」と言っています。これはもちろん,大学生の場合,英語専攻非専攻を問わず,語学の授業で英語を履修する以上は「学習者」であるからなのですが。賛否両論あるとは思いますが,非フルコンテンツ辞書は冊子体で言うなら単語集のようなものですから,分からない単語をサッとひいて,そこに載っている訳語に置きかえて「分かったつもりになる」という弊害が出てくるからです。これは,とくに和英辞典に関して顕著です。非フルコンテンツの和英は訳語を並べてあるだけで,ニュアンスの違いまでは分かりません。また,和英から英和へのジャンプもできませんので,英作文で頼りすぎると変な英文ができあがります。

Yoshiさんがおっしゃるように,非フルコンテンツ辞書の最大の魅力はその携帯性だと思います。大画面液晶のフルコンテンツモデルはポケットには入りませんので,電車の中やカフェで新聞を読んでいてふっと調べたいと思ったときに,カバンから出して引くのは面倒です。この単語の意味を知らないと命に関わるような場面ならともかく,ふつうは面倒だな,と思えば「家に帰ってから引こう」となり,結局は引くことを忘れてしまいます。一方,ポケットに入る辞書ならその場ですぐに引けます。たとえ例文や細かな解説に乏しくても,意味だけでもすぐ分かるのは大きなメリットだと思います。非フルコンテンツのこういう小回りのきくフットワークはハイエンドの機種には真似できないと言うのはたしかに事実です。液晶画面が小さいので液晶割れの心配も少ないというのも大きいでしょう。

しかし,最近になって,フルコンテンツ=大きくて持ち運びに不便,というイメージをうち破るような小型機がどんどん出てきました。PW-M670などは,フルコンテンツなのに胸ポケットにゆうゆう入るサイズで,しかも数年前の大型液晶のハイエンドモデルと遜色ない機能を備えています。PA-J20は非フルコンテンツの中でも最も小さい部類なので,これにはサイズ的に及びませんが,数千円の非フルコンテンツモデルとM670をくらべるとサイズの点ではほとんど変わりません。しかも,9ドットフォントの採用で,非フルコンテンツタイプよりもはるかに大きな液晶画面を備えています。こうなってくると,非フルコンテンツの特色であった「サイズ」に関しては今ではそれほどメリットとは言えなくなってきています。J20はとてもスリムですが,今ではカタログにも載っていないみたいです。

もっとも,「価格」に関してはまだまだ非フルコンテンツに軍配が上がります。フルコンテンツモデルは最も安いものでも,新製品なら20000円ちょっとはしますが,非フルコンテンツなら10000円出せば発音機能のついたハイエンドの機種が買えます。ただ,これもフルコンテンツの新製品ラッシュによる型落ち機種が増えたことで,今後はその価格差も縮まっていくことでしょう。キヤノンのIDF-3000が完全なフルコンテンツモデルなのに10000円弱で売っているところがあるというのもその例です。

>ボキャブラリーの方は実用辞書だけに名詞に力を入れているらしく、
>鰹=bonito なんて単語がしっかり載っているのですが、反面、「cemetary」
>を和英で探すのに、 「墓地」なら出るが「墓場」では出てこない等、意外
>に基本的な単語が載ってなかったりするところが、ちょっと辛い所です。

非フルコンテンツ=安い=電子辞書入門機 というイメージがある(だから,学生相手の各種景品などに使われる)ようですが,この例からも分かるように,実は非フルコンテンツのほうが使いこなすには骨が折れるのかもしれません。「墓場」で引いて出てこないので,あ,この辞書には載っていない,と思ってしまう人ではうまく使いこなせないでしょう。Yoshiさんのように「墓場」→「墓」「墓地」のように日本語を言いかえて引くことができるレベルの人で初めて役立つと言えます。

ワイルドカード検索について(>kyouさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 5月16日(木)13時41分55秒

>「複数文字ワイルド」が◎で「1文字ワイルド」が−の機種などは
>「?」「*」を入れる不明な文字が複数でなくてはいけないということなのでしょうか?

複数文字ワイルドというのは「*」(メーカーによっては「〜」)を使うものですが,1文字以上に対応するワイルドカードです。

たとえば,c?tでワイルドカード検索をすると,「?」は1文字ですから,cat, cot, cutなどが出てきます。しかしc*tだと1文字以上なら何文字でもいいわけですから,catやcutはもちろん,cabinet, cabriolet, cadet…のように,言いかえればcで始まりtで終わる単語が全部出てきます。

このことから明らかなように,複数文字ワイルドは1文字ワイルドを内包しています(だからc*tでcat, cutも出る)が,1文字だけでなく,何文字はいってもいいわけですから候補語が膨大になります。

また,重要なことは,1文字ワイルドは1単語の中に複数を置けます(lib?a?yなども可)が,複数文字ワイルドは(国内メーカーの機種では)1単語につき1つしか置けません(lib*a*yはだめ)。

カタログ等ではワイルドカード検索の用途まで紹介されていないのであまり知られていませんが,以下のように1文字ワイルドと複数文字ワイルドを使い分けるといいと思います。

・1文字ワイルドを使うとき:クロスワードを解くとき,スペリングの一部分があやふやなとき(libra?yのようにすると,lかrかあやふやでも引けます),ファックスやコピーを重ねた論文などで,判読できない語を解読するとき(つぶれたりかすれている文字を?でおきかえる)など。

・複数文字ワイルドを使うとき:スペリングの確認。specia*yのようにするとspeciallyかspecialyか迷ったときに簡単に分かります。複合語を後部要素から引く(「〜の仲間」を調べるとき)。たとえば,〜snakeで蛇の種類が出るなど。脚韻を踏む単語を調べるとき(文学の研究や英詩を作るとき)。

電子辞書の動向(>dictianさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月28日(日)17時58分03秒

>タッチスクリーンだと表示部分が積層構造になり、重さの点でも不利になります。
>ですから、辞書のジャンプのためだけにこれが採用されることはあり得ないので、
>そのためにはPDA的機能を取り込むことが必須ではないかという発想になったのです。
>タッチ入力が主流になるとはとても思えませんが、他との差異化をはかるために
>どこかのメーカーが採用することは「あり得ないとは言い切れない」程度に期待
>しています。^^;

シャープのフルコンテンツ第1号機(PW-5000)がよくできていたと思います。ザウルスポケットのような筐体で,すべてペンオペレーションでしたが,ジャンプしたい単語を2回タップするだけでジャンプできました。もちろん,日本語ジャンプはない(というより,国語系コンテンツ自体がありませんので)ですが,現行機種でもPW-5000のようなタッチスクリーンでペンによるドラッグでの範囲指定ができればいいのに,と思います。

#PW-5000はジーニアス和英がない頃に出たので,英和はジーニアス,和英はプログレッシブという,最高のカップリングでした。ジーニアスのIC辞書初搭載もこの機種です。5年前の機種なのに,液晶解像度は現行のソニーDD-IC5000/7000と同じで,当時としては最高水準だったはずです。どこのメーカーさんもそうですが,第1号機は時間をかけて開発するだけあって,他社が腰を抜かすような夢のようなスペックなんですよね。その後しばらく「つなぎ」のような平凡なスペックの製品を入れて時間を稼いでおいて,ある日突然フルモデルチェンジするというパターンです。以下にかなり荒っぽいのですが,「つなぎ」のモデル(->)とフルモデルチェンジ(⇒)をまとめてみます(途中はかなりはしょっています)。

これを見ても分かるのですが,私の勝手な推測では,ソニー,カシオが近い将来台風の目になりそうな予感です。1号機以来,目立ったモデルチェンジをしていないのですから,いつスーパースペックの電子辞書が出てもおかしくありません。とくに,Crieや電子ブックプレーヤー等で携帯情報機器の実力が業界でもトップクラスなのは明らかなのに,IC300やIC5000/7000のような期待はずれのモデルしか出してこないソニーは要注意かも。メモリースティックという秘蔵っ子もありますし(^^)

シャープ:PW-5000 -> 6000 -> 7000 ⇒ 8000/8100 -> 9000 -> 6800 ⇒???
セイコー:TR-700 -> TR-7700 ⇒ SR-8000 -> 900 -> 9100 ⇒ SR-9200/9500/9600
カシオ:XD-1000 -> S6000 -> R6100 ⇒ ???
ソニー:DD-IC100 -> IC1000 -> IC5000 ⇒ ???
キヤノン:IDF-3000 -> 4000 -> 4500 ⇒ ???

日本語ジャンプの仕様差(>dictianさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月28日(日)11時23分25秒

>今の電子辞書はキーだけなので、(特に日本語の)範囲選択をする際の操作が煩雑で、
>機種ごとに操作手順も違い、とても使いやすいものとは思えません。

同感です。ハードよりもソフトのほうが進化しているという今のIC辞書の現状からすればしかたないのでしょうが,操作手順もそうですし,日本語ジャンプの細かな仕様も違うので複数機種を併用していると困ります。具体的には,以下のような違いです(データベース用語を多用してすみません)

たとえば,SR-950は範囲選択という概念がなく,とにかくジャンプしたい単語の頭にカーソルを合わせるだけで,そこから始まる単語を最長一致(文字数の多い単語から降順でリストする)で候補語リストとして出してくれます。日本人(日本語母語話者)なら,ジャンプする単語はたいてい文字数の多い単語なので,この仕様で十分です。一方,外国人は単漢字にジャンプすることも多いので,この仕様だと面倒です(文字数の降順でリストするので)。

PW-9100は範囲指定をして,指定した単語が辞書にない場合,前方一致で候補リストを出します,そのため,「接続助詞」という語にジャンプしたいとき,「接続助」を範囲指定すると,「接続助」という単語がないので,「接続助」で始まる語を探し,「接続助詞」を拾ってくれます。しかし,「接続」を範囲指定すると「接続」という語があるので,これが検索されます(「接続助詞」はリストされない)。「接続助詞と」を範囲指定すると,該当なしになります。

IDFシリーズは,指定した単語が辞書にない場合は,範囲指定した単語の語末から1文字ずつ削っていき,該当語があれば表示します(PW-9100とは逆の発想です)。「接続助」でやると,「接続」「接」(単漢字)がリストアップされます。ですから,「接続助詞と」を範囲指定すると,「接続助詞」「接」(単漢字)が出てきます。

このように3者3様の仕様です。個人的には「範囲指定」ということをしなくてもいいSR-950の操作系がもっとも直感的だと思います。ただ,外国人の便宜を考えるとキヤノン方式のほうがいいのかも。

>マルチジャンプが主流になりつつあるトレンドを考えると、タッチ入力を併用して
>使いやすさを向上させるという進化の方向もあり得ると思って期待しています。

使いやすさという点では,ペン入力での範囲指定が最高だと思います。ただ,IC辞書の場合,手書きメモ等でタッチスクリーンを多用するザウルスと違い,ジャンプ先の範囲指定だけのためにタッチスクリーンを実装するのですから,もったいない気はします。ごく普通のユーザは日本語ジャンプをそんなに多用はしないでしょうから,そのためにコストをかけるのはメーカーさんも消極的になってしまうのでしょう。あと,タッチスクリーンを備えた液晶は通常のLCDより若干視認性が落ちることや,故障しやすい(落として,たとえ液晶割れしなくてもタッチスクリーンにダメージがあると使えなくなる)のも難点です。

>機能も入ってきて、ユーザーコンテンツのためにメモリカードも使えるようになり、
>単語帳の語数制限もなくなり、ユーザー辞書も追加できて、PDA的機能も増えていく、
>なんていう風に進化していったら楽しいだろうな〜。>メーカーさん

こうなると,IC辞書の進化型というよりPDAの進化型でしょうか。個人的には,インターネット辞書ザウルスのようなコンセプトでコンテンツをIC辞書なみにすればけっこういけそうだと思います。

>すでに持っている人には良いかもしれませんが、電子辞書を買おうと
>思っている人には初期投資額が大きすぎます。カラーとか動画とか
>電子辞書には不要な機能が多すぎて、電池使用時間も短いし...

ザウルスの進化がマルチメディア方面にいってしまったので,辞書というテキストベースの「文房具」としての用途からは,今のザウルスはかなり外れてしまったと思います。Wizやモノクロのザウルスの頃はよかったんですが(^^) PDAのシェアでPalmに追いつかれてきている(追いつかれた?)のも分かる気はします。

プレビュー機能 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月26日(金)19時37分55秒

フルキーボードモデルで思い出しましたが,SR-9200/9600等のプレビューはけっこうバッテリーを食うようです。ちょうどSR-9200の電池が切れかけで,警告シンボルがついたり消えたりしていますが,すぐ交換するのも何なので,警告が出てどれぐらいまで使えるか実験中です(^^)

気づいたのは,電源を入れた直後の入力待ち画面や,スペルを入れている途中(プレビューが出ている)では電池切れシンボルがついているのに,訳キーを押して語義画面にするとシンボルが消えるということです。言いかえれば,入力待ちや入力中の画面のほうが,語義表示画面よりも消費電力が大きいということですね。入力待ちといっても,インクリメンタルサーチである以上,キー入力をバックグラウンドでスキャンしているので,インクリメンタルサーチのない機種よりは電池を食っているのかも。

週刊STの今週号の電子辞書の特集で,ソニーさんが初めてIC辞書でインクリメンタルサーチを採用するにあたって(DD-IC100?),最初は,省電力設計のIC辞書ではそんなことできないと言われたと書いてありますが,同じことなのかもしれません。

SR-9600や9200を使っている人は,入力待ちや入力中の画面で放置しないほうがいいかもしれませんね。

フルボイスの機種 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月26日(金)10時42分10秒

日本人は英語に関してはけっこうウルサイ人が多いようなので,発音機能付きといっても合成音声だと抵抗がある人もけっこういるのかもしれません。

私としては,SD-7200のようなフルボイス機のコンセプトは,英語学習用というよりは目の不自由な方向けの電子辞書として有効かもしれない,と思います。英語だけでなく,日本語の音声合成エンジンも搭載し,広辞苑と英和,和英ぐらいを搭載すれば,とても便利になると思います。よく分からないのですが,点字の英和辞典も出ているそうですが,性質上,どうしても大きく,重くなってしまい,気軽に持ち歩くことはできないようです(どなたか詳細をご存じの方はご教示ください)。しかし,電子辞書で辞書テクストを全文発音する機種なら,いつでもどこでも持ち歩けますし,何と言っても点字の辞書よりも語数や情報量がはるかに多くなります。そのためには,SD-7200の機能に加え,以下のような付加機能をつける必要があります。

・キーボードの細工:目の不自由な人が打ちやすいレイアウトにするなり,マークをつけるなりする

・キーを押すたびに押したキーを発音する:「あ」のキーを押したら「あ」と発音する。「英和」のモードキーを押したら「えいわもーど」のように発音するなど。

FranklinではLM-6000をベースにしたそのような特別モデルがあったはずです。ぜひ日本のメーカーさんにも同様の機種を望みたいです。広辞苑のような大規模国語辞典が目の不自由な人でも使えるというのは大きなことだと思います。

British National Corpus 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月13日(土)09時34分37秒

電子辞書の例文検索を活用している人は多いと思いますが,それよりもはるかに大容量の例文がPC上で検索できます。いわゆるコーパスと呼ばれるものですが,最近はパソコンの性能が向上し,大容量ハードディスクが普及したため,研究者はもちろん,一般の人でも使いやすくなりました。

たとえば,British National Corpus (BNC)というコーパスがあります。これは,LDCEやOALDの例文のもとになったコーパスで,総語数が約1億語という巨大なコーパスです。1億語といってもピンとこないかもしれませんが,1日8時間早口で,盆も正月も関係なく毎日読んだとして,すべてを読むのに約4年(!)かかるという量です。BNCは,つい最近まではEU諸国でしか使えませんでしたが,今はCD-ROMで提供されているため,誰でも気軽に入手できるようになりました。値段も送料別で50ポンド(!)と格安です(日本円にして,送料含めて20000円ぐらい?)。もちろん,一般の人が入手できるコーパスとしては最大のものです。大規模コーパスは,ほかにもBank of English(COBUILDのデータ元になっている)があり,これは4億語近いものですが,一般の人が入手することはできません(契約してオンラインで検索することはできますが,半年契約で数万円かかります)。

BNCは,もともと大型コンピュータで検索するもので,入手できるCD-ROM版では従来のSARAという検索エンジンをWindows環境で使えるように移植したものがついてきます。ですから,一般の人が使うにはちょっと敷居の高い面があります。電子辞書の例文検索のように,例文検索モードにしてキーワードを入れれば例文がずらっと出てくるというわけにはいきません(そのかわり,かなり複雑な検索もできるのですが)。付属のオンラインマニュアルもそれほど丁寧には書かれていないので,BNC Handbookという別売のガイドブックを読み,多少トレーニングをする必要があります。もっとも,BNCはSGML規約に基づいたフォーマットなので,SGMLの知識がある人は簡単です。

例文検索を多用している人で,ある程度のPCの知識のある人にはぜひおすすめします。以下のサイトにあるOrder formをプリントアウトし,サインして送ると折り返しCD-ROMが送られてきます。

※重要なことを忘れていました。1億語のコーパスだけあって,BNCの容量は巨大です。CD-ROM2枚とはいえ,圧縮されていますので,インストール時には約10GB弱の空き容量が必要です。使用時には作業領域が必要なので,この倍ぐらいのスペースは確保しておいたほうがいいと思います。BNC自体は安いのですが,ハードディスクを増設しないといけない人も多いでしょうから,コストはかかりますね。BNC本体よりも増設HDのほうが高いでしょうから(^^)
 コーパスに関しては以下のリンクもごらんください。学会でのコーパス関連の講義ハンドアウトをJPEGにしてあります(画像ファイルなので重いです)。

https://sekky.tripod.com/sssekky.html
https://sekky.tripod.com/0111sekky.html

http://www.hcu.ox.ac.uk/BNC/


電子辞書のマニュアル 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月 3日(水)10時45分49秒

margoさんもおっしゃっていましたが,電子辞書のマニュアル(とくに,収録辞書の記号の説明など)はメーカーさんによってその詳しさは千差万別です。電子辞書本体は購入前に店頭で試すことができますが,マニュアルは買ってみないことには分かりません。機械ものに強いユーザでも,操作はともかく,辞書の記述に関するものは詳しく説明されていないと使いこなせません。

margoさんもご指摘のように,シャープさんのマニュアルはとても丁寧です。とくにPW-6800/M670のOALDは,17ページ半も使って記号の意味はもちろん,簡単な文法書に匹敵するような内容まですべて日本語で説明されています。たとえば,[C]という記号は「可算名詞」と書くだけでなく,可算名詞には複数形があるだとか,単数形では必ず限定詞をとるだとかということまで例文付きで書いてあります。はじめての人には敷居が高い文型表記にしても,かなり詳しく書いてあり,これだけの説明があれば,英英がはじめての人でもフルに使いこなせるでしょう(英英が使いこなせない,という人の中には,英語力自体はあるのに英英の表記や記号が分からないから使えない(英英の定義自体は理解できるのに)という人も結構います)。これを通読するだけで,簡単な英文法の復習にもなります。

冊子体のOALDでさえ,こんなに丁寧な日本語の説明はありません(内容からすると,冊子体OALDのStudy Pageの記述をシャープさんが日本語に直し,マニュアルにつけているような気がします。こういう(通読する人はそんなにいない内容に)地味な作業に時間と人手を使うというシャープさんの姿勢からは,電子辞書を単なる電化製品ではなく,冊子体辞書という「書籍」の延長線上にとらえていることがわかります。ジーニアスもOALDほどではないにせよ,冊子体ジーニアスの使い方説明に準じた内容になっていますので,十分だと思います。できれば,この内容をすべて本体に盛り込み,オンラインヘルプのような形で参照できるといいと思いますが(^^)

カシオさんのマニュアルも同様に丁寧です。ただ,最新機種(XD-Rシリーズ)からは辞書の使い方や記号の説明は,紙のマニュアルには記載されず,本体のガイド機能のみになりました(従来の機種は紙のマニュアルとオンラインのガイド機能で同じ使い方説明がみられました)。これはこれでいいと思います(個人的には,紙のマニュアルでも説明が参照できるとありがたいのですが,メーカーさんにとっては同じ情報を2つの場所に載せるのは不経済でしょうから)。

セイコーさんの機種は,冊子体辞書の使い方説明をそのまま縮小コピーして載せてあります。そのため,他社のものと違い字が小さいのですが,内容的には(冊子体と同じものなのですから)十分です。

問題はキヤノンさんの機種です。IDF-2000E以降,明らかにマニュアルの質が落ちました。とくに2000Eのマニュアルは辞書の内容に関する(記号説明など)ものが一切なく,本体の使い方にしても簡潔すぎて,とてもメインターゲットである高校生には使いこなせないでしょう。辞書の記号説明に関しては,後日「凡例集」という別冊が出て,購入した人は販売店で頼めば無料でもらえるようになりました(…ということを知らない人も多いですが)が,それでも,記号の意味がただ説明してあるだけであり,他社の製品にはとても及びません。

同じことは,最新のIDF-4500にも言えます。4500のマニュアルは,本体の使い方説明は旧機種(IDF-3000/4000)なみに丁寧になりましたが,辞書自体の説明は簡潔すぎます。コンテンツが多い機種なのに,辞書の説明はすべてのコンテンツをあわせてわずか24ページ半です。PW-6800が,コンテンツ数は4500よりも少ないのに,使い方説明に30ページ近く使っていることをみてもわかります。

しかも,IDF-4500の記号説明にない記号が実際にはあります。漢字源でとくに顕著ですが,漢字を引くとでてくる「区」(区点コード)「S」(SJISコード)「J」(JISコード)「名付け」(人名での読み方)「漢」(漢語読み)「呉」(呉音)「常」(常用漢字)…のような記号はマニュアルには書いてありません。これはちょっと問題です。
メーカーさんにぜひお願いしたいのですが,電子辞書は単なるハイテク情報機器ではありません。何百年という歴史のある紙の辞書が進化した21世紀バージョンの「辞書」です。「辞書」である以上,「電子」の部分の説明(機器の使い方の説明)だけでなく,コンテンツの使い方や記号,約束事の「辞書」としての説明もきちんとされる必要があります。それが,データを提供している辞書出版社さんや冊子体辞書の執筆者への礼儀でもあるでしょう。辞書の執筆者は,自分が書いた辞書の内容をフルに活用してもらうことを願い,使い方の説明にはかなり丁寧に時間をかけています。その大部分が,電子辞書ではカットされてしまったとしたら,メーカーさんが電子辞書を単なる字引程度にしかとらえていないとも思われかねません。本気でコンテンツ内容の説明を充実させれば,電子辞書自体の説明よりもボリュームが多くなるはずです。最低でも,冊子体辞書の冒頭に載っている説明と同等の内容は電子辞書にも(紙のマニュアルでもオンラインでもかまいませんが)盛り込む必要があります。

コンテンツを増やしたり,機能を競ってつけたりと,最近は競合対策として目に見える部分はどこのメーカーさんの製品もどんどん良くなっていますが,一方で,マニュアルの出来や細かな操作性など,購入しないと分からないような点の出来が悪くなっています。電化製品に限りませんが,新機種が旧機種よりも性能(マニュアルの内容も「性能」の一部です)が悪くなることは,ふつうはないでしょう。しかし,最近の電子辞書では,目に見えないところで旧機種よりもスペックダウンしている場合がかなりあります。マニュアルの出来もそうですし,前もふれたIDF-4500でショートカットキーが中途半端にカットされたとか,XDシリーズで一覧画面の見通しが悪くなったというようなこともそうでしょう。これは早急な改善が望まれます。

#このHPでもマニュアルの中身をを各社並べて比較すれば優劣が明らかに出て興味深いのですが,著作権の問題もあるでしょうからできないのが残念です(^^)

現行機種のお買い得度? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 4月 2日(火)11時53分09秒

おもしろいデータを出してみました。現行機種の収録コンテンツ(冊子体)の合計価格とその電子辞書の定価との差です。たとえば,収録コンテンツの合計価格が10000円でそのコンテンツが入った電子辞書の定価が20000円だとすると,数値は2.00になります。つまり,この数値が小さいほど冊子体辞書に近い(ぐらい安い)ことになります。辞書別の価格データをこういう場所に載せるとまずいかもしれないので,計算結果のみを出しました。定価の高い安いに左右されない機種選択のためにも,お役立てください。

※冊子体辞書の価格は,Amazonに記載の価格データ(値引き前)に基づいています。洋書タイトルの場合も,Amazonに記載の日本円で算出しています。
※冊子体辞書が存在しない場合(大修館監修のthesaurusなど)は計算に入っていません。逆引き広辞苑は,冊子体広辞苑をワイルドカード検索で検索したものと考え,計算に入っていません。
※電子辞書の価格はカタログ記載の標準価格に基づいています。定価が高くても値引率の大きい機種があるので注意してください。オープン価格の機種は大手量販店での実売価格に基づいています。

★注:この数値は,あくまでも冊子体コンテンツと電子辞書の定価のバランスをみるものであり,各機種の機能面は全く反映されていません。そのため,この数値が大きい(割高感がある)機種でも,電子辞書独自の付加機能が充実していれば,実質的な買い得感は高くなります。

DD-IC70000.84
SR-850 1.45
IDF-4500 1.50
DD-IC5000 1.53
SR-9200 1.57
XD-S950 1.79
XD-R6100 1.80
SR-950 1.81
PW-9100 1.84
SR-9600 2.02
XD-R8100 2.04
PW-M670 2.11
PW-6800 2.15
PW-8100 2.17
XD-R5100 2.23
SR-900 2.25
IDF-2000E 2.29
IDF-4000 2.33
XD-R1300 2.87
SR-8100 2.97
IDF-3000 2.97

★ここからも分かるように,汎用機(英英なしモデル)のほうが割安感があります。一方,英語専用機は同じメーカーのものでもかなり高めです。需要の関係でしょうか。IDF-4500は値段だけみると高い印象がありますが,この数値からも明らかなように,コンテンツ内容を考えるとかなり割安であることが分かります。SR-9200も同じことが言えます。IDF-3000/4000やPW-8100, SR-900/8100などの数値が高いのは,発売時期が古い(SR-8100は事実上2年前のSR-8000と同じですから)こともあるでしょう。冊子体辞書はいくら古くなっても値下がりしませんが,電子辞書の価格は年々下がっていますからね。

カシオさんの機種は,ハイエンドのものほど買い得感が高くなっています。XD-R1300やR5100の価格は,コンテンツの内容を考えるとちょっと高いですね。

ソニーさんの機種は定価がオープン価格なので,他社と同列には比較できませんが,それでも割安であることにはかわりありません(IC7000が激安なのは,冊子体のマイペディアがかなり高いことが大きいです)。この数値を考えれば,液晶解像度が低いのも文句は言えないのかも(^^)

SR-8000とSR-8100の相違点(>smileさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 3月21日(木)08時41分18秒

>早速ですが今、SR−8000を買おうと思っているのですが、SR−8100との違いを
>知りたいのです。機能的には同じと聞いたのですが、あとはキータッチと見た目の
>違い位でしょうか?それからSR−8000のキーボードの反応が遅いとも聞いたことがありま>す。それは気になりますか?やっぱり新しい方にしたほうが良いでしょうか?

SR-8000と8100は,内部的には全く同じと言ってもいいと思います。コンテンツの中身はもちろん,機能面でもです。少なくとも,目に見える面では同じです。いくつか私の気づいた変更点をあげます。

・筐体が変わった:これはsmileさんもご存じだと思いますが,キーボードやボディーがSR-9500, 9200と同一のものになりました。また,タッチタイピングの際に複数のキーを押しても取りこぼしがないようになっています(これも9500や9200と同じです)

・電源を入れたときのスプラッシュ画面(オープニングの画像)がなくなった:そのため,電源オンですぐ使えます(8000では1秒ちょっと待たされます)。

・液晶の物理的なサイズが若干大きくなった:横方向に数ミリ大きくなりました。解像度は同一です。

・モードキーですぐに電源が入る:電源キーはもちろん,英和,英英等のモードキーでも電源が入り,そのモードに切り替わります。

・スクロールスピードが多少速くなった:下矢印キーを押し続けて連続して行スクロールをすると明らかに8100のほうがスピードアップしていることが分かります。8000でも遅いと言うほどではありませんが。

・電池寿命が多少延びた

これぐらいでしょうか。目に見えない内部的な面ではほかにも改良されている点があるかもしれませんが,そこまでは分かりません。

8000と8100の価格差にもよりますが,かなり差があれば,8000がおすすめだと思います。筐体まわり,とくにキーボードがフルキーボードになったというのは大きなメリットですが,コンテンツや機能は全く同じですから,安い方を買ってもいいのでは? デザイン的には8100のほうが洗練されているようですが…。

キーボードの反応が遅いというのは,おそらくタッチタイピングをしたときに取りこぼしがあるということだと思います。2年前はSR-8000に限らず,これは当たり前でしたが,最近のフルキーボードモデルではパソコン並の快適さを実現していますので,キーボードにこだわるのなら8100のほうがいいと思います。このへんは個人の好みもありますので,店頭でキーをさわってみてください。

SR-8000は99年12月に発売以来,丸2年の間,セイコーの電子辞書のフラッグシップモデルとしてロングセラーを続けてきました。半年単位で新製品を出してくるメーカーさんが多い中で,2年もの間同一機種が,それもトップスペックのモデルとして売れ続け,しかも昨年冬のモデルチェンジでも,全く同一仕様で筐体をリファインして(SR-8100として)延命しているということからしても,SR-8000が,先進的機能と基本的な操作性を両立させた,トータルバランスのとれたマシンであることが分かると思います。相撲力士で言うなら,千代の富士や北の湖のような感じでしょうか。横綱はたくさんいても,名横綱と呼べる人は少ないのです。例文検索や2画面表示,オンラインヘルプ,英英辞典の搭載,プレビューなど,以降の他社製品で採用された新機能の多くはSR-8000の影響を受けています。

WordNet(>dictianさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 3月13日(水)08時20分24秒

>もしもパソコンでEメールを書くことが多ければ、そしてWindowsをお使いなら
>WordWebというフリーの英英で類義語が検索できるソフトがありますから、
>それを使ってみるのも良いかもしれません。

ご存じかもしれませんが,WordWebのもとになったデータベースであるWordNetがPrincetonのHPで公開されています。以下のサイトでオンライン検索ができます。たとえば,instrumentを検索して,その中のmusical instrumentを選んでhyponymを指定すると,楽器の種類が階層的に一覧できます。いわゆるthesaurusは類語の中でもsynonymのみを扱っているのに対し,WordNetはさらに広げて「上位語」(たとえば,school busの上位語はbus),「下位語」(上位語の逆),「仲間語」(taxiならbus, coupe, jeep...といったもの),「部分語」(carならairbag, doorなど)などが一覧できます。WordNetはWordWebと違い,直近の語だけでなく,ある語の類語ネットワーク全体をツリー表示で眺められるのがポイントです。

WordNetは語学学習用というより,認知心理学の研究用なので語学雑誌等でもあまりとりあげられませんが,究極のthesaurusといってもいいようなものなので,このデータベースを使って上級向け電子辞書のthesaurusができればおもしろそうです。

WordNetは以下のリンクにあるオンライン版だけでなく,スタンドアロンで使えるものもダウンロードできます。 http://www.cogsci.princeton.edu/~wn/wn1.6/ です。最新版は1.7ですが,ウィンドウズの検索エンジンができていない(Unixのみ)ので,Winやマックの人は上記のサイトで1.6をダウンロードしてください。なお,1.7ではマックは対応しないそうです。

http://www.cogsci.princeton.edu/cgi-bin/webwn1.7.1


電子辞書の操作系(>ysさん) 投稿者:Sekky@千葉  投稿日: 3月 1日(金)21時52分23秒

>(ちょっと飛びますが)辞書とは調べたい語句を調べるものです。この原点に立つと、
>辞書を選んでから語句を入力するという方針では電子辞書が単なる「辞書の寄せ集
>め」に終わってしまいます。電子辞書が優れた「一つの辞書」であるためには
>語句の入力->検索/辞書の選択の順であることが必要かと思います。

これは以前に私もどこかで書いたのですが,(こじつけかもしれませんが)DOSの発想とWindowsの発想にも通じると思います。Windowsソフト(例えば,ワープロソフト)はわりと人間の思考に沿った操作系になっています。そのため、「何を」「どうする」の順で指示します(範囲指定をしてから,動作を指示する)。一方,DOSの一太郎などは,Winと逆で,メニューで動作を指示してから範囲指定をします。電子辞書の操作系もDOS式(『どうする』を先に(調べる辞書を先に)選んでから「何を」を(調べる単語を)選ぶ)なのだからysさんのように違和感を感じる人が出るのでしょう。Franklinなど,アメリカ生まれの電子辞書の多くは(セイコーのような日系のメーカーさんの機種は違いますが)Windows方式で,とにかくプロンプトの画面で単語を入れれば、まず辞書画面が出ます。そして、必要に応じてthesaurusに移ったりできます。

ただ、日本の電子辞書,つまり2言語辞書が主である(=複数の辞書種を入れ替わり立ち代り使用する)場合は,Windows式が思考の流れとしては自然であっても,とくに初心者には、検索辞書を選んでから単語を入力する,というDOS式の操作系のほうがわかりやすいのは事実です。これは紙の辞書と同じ流れだからです。つまり、紙の辞書を引くときは,引きたい辞書を書棚から出して,次にページをめくるからです。もっとも、複数辞書を引き比べたりする時はWindows式のほうがやりやすいので、今後は検討の余地があるかもしれませんが...(だいぶ前に、メーカーさんにこのへんの仕様を提言したことがありましたが,今までの操作系とがらっと変わるわけなので難しいようです)

ちなみに、ソニーさんの最新DD-ICシリーズはマルチ辞書検索モードがあり,これを使うと複数辞書を一変に検索し,候補語が辞書を問わずリスト表示されます。

SCD-770の使い勝手(>dictianさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月21日(木)09時21分24秒

>770が使いにくいのはどのような点なのか教えていただきたいのですが...

こう言っては何ですが,LM-6000よりも筐体が安っぽくなった気がします。6000のように,液晶パネルの上にもう1枚プラスチックが入っていないで,パネルがむきだし(これは最近の国内の電子辞書も同じですが)なので落としたりしたときの衝撃が心配です。画面解像度は6000と同じだと思いますが,6000よりもスリムなボディーになっています。ということは,キーボード部分のサイズが6000よりも圧縮されているということです。画面部分よりもキーボードの部分のほうが小さいので(私のHPの写真をごらんいただければ分かると思います),入力するときに違和感があります。キーの大きさが小さくなり,しかもラバータイプになったというのもダウングレードした例かもしれません。しかも日本メーカーの電子辞書と違い,タッチがすごく重いです(これは6000でもそうなのですが)。

内部的には,辞書の容量が大きくなったからかもしれませんが,処理速度が遅くなりました。6000と違い,時間のかかる作業(ワイルドカード検索など)をするときに棒グラフが出ないのも難点です。あと,6000では辞書画面からthesaurusやconfusablesに移動するときにカーソルキーで簡単に移動できますが,770ではconfusablesはシフト+Cとか,面倒です。もっと言えば,外箱からマニュアルの分量に至るまで,6000にくらべればはるかに簡略化されています。6000のパッケージは飾っておきたいぐらい高級感があるのですが(^^)

6000の完成度があまりに高すぎるから余計に感じるのかもしれません(現行の日本の電子辞書の中で,あと10年たっても陳腐化していないモデルがどれぐらいあるのか,と考えれば,いかに6000のスペックが先進的だったかが分かります)。聞きかじりですが,LM-6000までのモデルは,以下のリンク先にある人が開発等にも携わっていて,その操作性や機能はいくつかの特許もとっています。とくに,百科事典やバイブルで実現されている検索機能(まず入力語が見出し語にあるかどうかを調べ,見出し語に見つからなければ本文の全文検索をし,それでも見つからなければ入力語の変化形を調べる,というように検索範囲を広げることを自動的にしてくれる)は彼の特許の中に入っていたと思いますが,日本の電子辞書にも採用してほしいものです(といっても,フランクリンの特許だから採用できないのでしょうが)。彼は,LM-6000が発売された年(1991年)にフランクリンを去ったそうですが,6000以降のフランクリンのモデルが,それまでの機種と全く毛色が違う(良きにつけ,悪しきにつけ)のも偶然ではない気がします。

とはいえ,Bookmanカードを増設することで,引用句辞典やコロンビアの百科事典も検索できるのは大きなメリットです。しかも,メリアムの辞書から百科事典へジャンプすることも簡単です。

http://www.intermemory.net/pny/index.html

>小型になった分だけ犠牲になるものは多いのですね。これらは、ある程度
>仕方がないですね。

LM6000とほぼ同価格でBookmanに対応したので,それ以外の基本仕様が犠牲になってしまったのでしょう。Franklinの製品は,同一機種を名乗っていても細かなリビジョンアップがされている場合があります。LM-4000も発売時期によって仕様がかなり違うようです(内蔵のゲームの種類や液晶画面など)。LM-6000も現行のものと,私が留学中に(10年前)購入したものとでは,液晶解像度や音声合成の質が全く違うようです。

>使い勝手とすれば、これが一番の違いのようですね。大変参考になりました。

日本製のIC辞書は,メーカーさんにもよりますが,かなりFranklinに影響を受けているものも多いです。たとえば,以下の仕様は,日本製品に先駆けて,LM-6000が10年近く前にすでに搭載していました。

・複数文字ワイルドカード:IC辞書の老舗のセイコーのモデルは,先日のフルキーボードモデルでようやく搭載しました。日本製ではシャープPW-5000(97年夏)が嚆矢だと思います。

・語頭に1文字のワイルドカードが使える:これも国内の電子辞書が対応したのはここ1,2年(SR-8000以降)です。シャープ,カシオの製品のように,まだ対応していないものも多いです(^^)

・「*」のワイルドが複数使える:せっかく語頭にワイルドが使えるようになったのに,*tial* とか,?sp*a*lyのようなパターンはいまだに日本製の機種は全く対応していません。もしかしてFranklinの特許か何かなのかな?

・発音機能:合成ですが,ほぼすべての見出し語が発音できるというのは,セイコーSD-7000(フルボイスの電子辞書,99年)になってやっと搭載されました。

・クリアキー等を押さなくても次の入力語を受け付ける:IC辞書はセイコーしかなかった頃は,ある単語を引いて,次の単語を入れるときは,一旦クリアキーを押して画面を消さないとキー入力を受け付けてくれませんでした。

・プロポーショナルフォント:今回のシャープさんの新製品で大々的に宣伝していますが,LM-6000にはすでに備わっていました。しかも,(主観ですが)6000のほうが見やすいです。

・オンラインヘルプ:これのおかげで,マニュアルレスで使えます。しかも,パソコン用語でいう,context-sensitiveな(その場その場の状態に適したヘルプ内容が出る)ものです。当時,アメリカでさえまだまだDOSが幅をきかせていた時代に,ウィンドウズライクなヘルプ機能はとても画期的でした。ちなみに,国内製品では,SR-8000で初めて搭載されました。カシオの製品にも最近はついていますが,context-sensitiveではありません。

・ジャンプ機能:最近の国内製品では当たり前ですが,セイコーさんの初期の製品にはついていませんでした。

・単語帳機能:最近やっと日本製の製品にも備わってきましたが,6000のものは,単に記憶させるだけでなく,ハングマンやアナグラムといったゲームと連動し,単語帳に記憶させた語をゲームで出題させることができます。

>し、しまった!多分、捨ててしまいました...(;_;)

最近の6000のパッケージは,プラスチックの透明なパッケージのようなので,高級でも何でもないのですが(^^;;

>まったく同感です。これに匹敵するものを国産の電子辞書に求めてしまう
>ので、国産の電子辞書がなかなか買えないので困っています^^;

最近の英英モデルはかなり良くなってきたと思います。とくに,SR-9200は,語頭にワイルドをおいても検索スピードがそれほど落ちないので,クロスワードを解くときは必需品です(これがあれば英字紙のクロスワードでも楽に解けます)。LM-6000では,語頭にワイルドをおくととんでもなく時間がかかりました(コーヒー1杯飲んでもまだ検索していたり)

DATE: 1月19日(土)10時00分20秒
TITLE: ACアダプター

先ほどのアプリコットさんのメッセージにもありましたが,SII製品のACアダプターは買ったほうがいいでしょうか?(役立つでしょうか?) というご質問をよくいただきますので,簡単にお話しします。※ここでは,ACアダプターをオプションで買うということを前提にしています。おまけでついてくる台数限定のモデルはアダプターのコストがかかりませんので。

(理屈で考えてみる)

SIIの製品を始め,最近の電子辞書は電池寿命が長くなっているので,アダプターが必要なのか?と思うかもしれません。たとえば,SR-9200はアルカリ単4電池2本で110時間持ちます(カタログのスペック)。コンビニなら,単4アルカリ電池は2本で300円もあれば買えるはずです。一方,ACアダプターは定価が1800円です(定価で購入すると仮定します)。

1日あたり延べ3時間電子辞書を使うユーザ(これはかなりのヘビーユーザでしょう)は,300円の電池で,110/3=約37日使えます。週5日使うとすると,約2ヶ月弱持ちます(もちろん,自然放電等があるのでこんな公式通りにはいきませんが)アダプターの定価1800円分を電池に投資すれば,6組(12本)の電池が買えますので,毎日3時間*週5日のペースで1年以上使い続けると,アダプターのほうが割安ということになります。

(実際は…)

理屈で考えると,アダプターの恩恵は普通の人にはそれほどないようにも思えますが,お金の計算以外の面でメリットも大きいです。

環境面:最近は,自治体の条例で,使用済み電池の処理が厳しくなっています。とくに,昔のように不燃物と一緒に出すと破裂等の危険があるためか,禁止されている場合が多いようで,市役所等の電池回収箱に持参するなどしないといけないところもあります。また,最近の乾電池は水銀を一切使っていないはずですが,それでも,環境に与える影響は大きいようです。このようなことを考えると,アダプターのほうが気楽です。

安心感:とくに冬場は,気温が下がるため,電池の性能も低下します。真夏なら十分使えるぐらいの電圧が残っていても,冬になると,電源を入れたとたんに電圧降下が起こって電源が落ちたりすることがあります。辞書という性質上,使いたいときに使えないというのは痛いです。アダプターがあれば,急な電池切れでも(室内で使うのなら)大丈夫です。また,コンセントが近くにある場所で使うときは常にアダプターを使えば電池の持ちがよくなります。

すぐに使える:これはSR-8100(8000)のみですが,8100は,設定画面でオートパワーオフを無効にすることができます。つまり,電源を自分で切らない限り,入ったままになる(ふつうは何分か使わないと自動的に電源が切れます)機能です。乾電池で使うときにこれを使うと大変(切り忘れたら電池がなくなってしまう)ですが,常時机上で使う人は,アダプターを差し込んで,パワーオフを無効にしておくと,常に電源が入ったままになるので,引きたいときに電源オンする手間が省けます。手間というほど大げさなことか,と言われればそれまでですが,仕事として英語に関わっている人は,とっさに手を伸ばしてぱっと引けるというのはとても便利です。もっとも,私の場合,アダプターを外したときに設定を変えるのを忘れたため,電源の切り忘れで電池がなくなったことが何回かありますが(^^;; 電池使用のときは必ずオートパワーオフが働くようになっていればいいのですが。


インターネット辞書ザウルス 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月 3日(月)20時54分37秒

ご存じかもしれませんが,最近量販店で上記のザウルス(MI-J1)が破格値で(定価50000円のところが17000円ぐらい)売られています。ニューアンカー(キャノンのIDF-3000についているスーパーアンカーの1つ前の版)英和・和英,学研新国語辞典,漢字辞典(漢字源ではありません)を収録し,ザウルスの基本機能(スケジュール,電話帳,インターネットアクセスなど)を搭載しています。

本家のザウルスより多少スペックダウンしている(週間スケジュールが閲覧できないとか,To-do機能がないとか)ことや,ザウルスがマルチメディア化して大幅に変化する直前に出たためか,ザウルスとしての人気は今ひとつでしたし,PWシリーズの影に隠れているため,電子辞書としての人気もぱっとしません。

それでも,高校生用辞書とはいえ,フルコンテンツで載っているわけですし,メール送受信,ウェブブラウジングも可能ですから,出先で英語のメールを書く際の辞書がわりになりますし,コピー&ペーストすれば,辞書の記述をザウルスのメモ帳にコピーできるので,その気になれば自前の単語帳なんかも作れます。ニューアンカーの和英というのは,語数は少ないですが,例文の質(英語としての自然さ)には定評があります。また,学研の国語辞典も広辞苑のような百科語は載っていませんが,基本語の語釈は広辞苑よりもはるかに分かりやすいです。携帯電話と接続するのなら別売のアダプターがいりますが,IC公衆電話で赤外線通信をするのならそのままでOKです。PalmやCrieではフルコンテンツ辞書はほとんどないので,PDAを買おうと思っている人はぜひおすすめします。

冊子体vs電子辞書版 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月 2日(日)14時31分54秒

冊子体と電子辞書版の違いがでてきたついでに,いくつか追加します。

SR-8000/8100のLDCEやXD-S3000/8000のLAADでの「成句検索」は,英和辞典の「成句検索」と違い,成句(いわゆるイディオム,熟語)を検索することは*できません*。むしろ,成句検索ではなく句動詞検索と言ったほうがいいかもしれません。つまり,pick up, get awayのような語句(動詞+副詞/前置詞の組み合わせ)は検索できますが,get the nod, kick the bucketのようなイディオム,会話表現は検索できません。

SR-9200収録のCOT(thesaurus)は本文のみのフルテキスト収録です。囲み記事(テーブル)は収録されていません。また,ER-2000/6000のCOTと違い,見出し語にない単語の類語は調べられません(そのため,実質的に検索できる語はER-2000/6000より少なくなります)。

Quicktionary 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月 1日(土)11時30分17秒

昨日もおたずねのあったQuicktionaryに関してですが,通常の電子辞書と違い,文字認識で読みとりますので,必ずしも100%認識できるとは限りません。練習というほどではないですが,多少なぞり方のコツをつかむ(まっすぐになぞらないとうまくいかなかったりするので)必要があります。

余談ですが,Quicktionaryは先進的なようですが,実は10年ぐらい前にエプソンから「Tran」という同じようなものが出ています。形はQuicktionaryに似ていますが,語数が少なく(2万語弱だったはずです),しかもQuicktionary以上に認識がデリケートで,スキャンのスピードが早すぎても遅すぎてもアウトになるし,イタリック体は認識できないしで,かなりストレスのたまる代物でした。

それでも,一般市民にとってはスキャナーなど影も形もなかった(そもそも,パソコン自体それほど普及していなかった)時代に,いわば超小型OCRとして商品化されていたわけですから,電子辞書としての完成度はともかく,技術的には夢のようなものだったと思います。スキャナーやプリンターの画質では定評があるエプソンですが,もしかしてその原点がTranだったのかもしれません。

ネット通販 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月29日(木)15時05分38秒

goさんもおっしゃってましたし,昨日も個人メールでご教示くださった方がみえましたが,ネット通販を使うと,普通の量販店よりもかなり安く電子辞書が買えます。購入機種が決まっている人ならおすすめです。ポイントは,信頼できる業者を選ぶことです。ひとつの目安として,実社会でのオフィスの住所や電話番号が明記されているか(まともな業者ならちゃんと大小の差はあれ,事務所があり,電話や郵便での応対もできるはず),オンラインでクレジット決済のできる業者は,ちゃんとセキュアサーバーに接続しているか(カード番号を入力するページで,右下にカギのマークが表示されるか),きちんとしたサーバーでページを開設しているか(私のような個人ホームページはともかく,ビジネスをフリーのウェブサイトで行うこと自体,信頼できません。自社の独自ドメインである必要はありませんが,少なくとも名のしれたプロバイダでページ運営をしているかどうかは目安になります)のようなことがあげられます。

ちなみに,沖縄はじめ離島は通販だと送料がかなりかかるので,東京等へ出張へ行ったついでに量販店で買った方が安いです。

SR-9*00の意外な?活用法 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月27日(火)10時43分37秒

フルキーボードやコンテンツ内容に関心がいきがちなセイコーのSRシリーズですが,付加機能を使えば結構いろいろと楽しめます。説明書には書いていないような活用法をいくつかご紹介します。

<ワイルドカード検索>

リーダーズというマンモス英和辞典で後方一致検索ができるというのはありがたいです(電子ブックプレーヤーの付属ディスクでもできませんから)。11月11日にアメリカン航空のエアバスがニューヨークの郊外に墜落したとき,アメリカでは休日だったと報道していましたが,どんな休日なんだろう,と思ったら,*dayで検索すると,April Fools' Day, Arbor Day...のように欧米の特別な行事が一覧できます。その中には,Veteran's Dayも入っていて,「米国の法定休日,11月11日」のように出ているのでわかります。こういうふうな検索をするときはプレビュー機能のありがたみを感じます(訳キーをいちいち押さなくても,一覧画面でカーソルを動かすだけでそれぞれの語の意味が分かるのですから)。

そのほかでも,犬の種類を調べたいのなら*dog,病気の種類なら*diseaseのようにすれば一覧できます。英語の複合語は,後部要素に主要な意味を表す語がくることが多いので,後方一致ができる電子辞書があると何かと便利です。興味のある分野を後方一致で調べてみるといろいろな発見があって面白いです。

あるいは,医学生の人が論文を書くときに,「コルサコフ症候群」を英語で言いたいとします。和英辞典にはこんな専門用語は出ていませんし,corsakofのように推測してスペルチェックモードで入れても拾ってくれません。そんなときは*syndromeで簡単にわかります。

後方一致は他社製品にも搭載されていますが,この手の検索は収録語数が多い辞書を使ってこそはじめてそのありがたみが分かると思います。コルサコフ症候群という単語自体が入っていないジーニアスでは用が足せないのですから。

<漢字源→広辞苑へのジャンプ>

これは単なるジャンプではなく,ある漢字が使われている(語頭はもちろん,語中,語末でも)語を広辞苑の中からすべてリストアップしてくれます。

たとえば,漢字源で「祭」を調べて,広辞苑にジャンプすると祭の種類が一覧できます。もちろん,ワイルドカード検索で「*まつり」とやってもいいのですが,そうすると「式年遷宮祭(しきねんせんぐうさい)」のように,「さい」と読むものが出てきません。英語と違い,日本語は同音異義語や,同じ意味を持っていても,読みが違う場合(さいorまつり,のように)が多いので,かな読みのワイルドカード検索ではうまくいかないことも多いです。

また,この検索では,読めない単語を引くこともできます。先日も,「魚河岸」という語をどこかで目にして,読み方が分からなかったのですが,「うおかわぎし」「ぎょかがん」のように推測しても読みが違っていると検索できません。このような場合も,「魚」を(河,岸,でもいいですが)漢字源で引き,ジャンプさせれば「うおがし」と読むことが簡単に分かります。

<例文検索>

辞書,特に英英辞書の例文は,実際の使用例(作例でなく)をもとにしているため,英語の文化をもろに反映しています。たとえば,日本でdomestic violence(DV)が問題になってきたのはここ1,2年ですが,SR-8100でdomestic&violenceで例文検索をすると2例出てきます。SR-8100に搭載のLDCEは今から6年前にでた辞書なのに,英語圏ではもうすでに学習辞典の例文に採用されるほど関心が高くなっていたわけです。

このように,単に言葉の意味だけでなく,英語圏の文化のトレンドまで分かってしまうというのが例文検索のウリです。XD-S8000に搭載のLAAD(アメリカ英語版LDCE)の例文検索と結果を比較すると英米の違いもくっきりと分かります。たとえば,pizzaを検索するとS8000は大量に出てくるのに8100では少ない(逆に,teaはS8000は少ないが8100は多い)とか。よく知っている単語を例文検索してみると,その単語が実際に使われる場面が手にとるように分かり,ネイティブの家庭教師を1人雇っているのと同じような効果があると思います。

今度出るIDF-2000Eに搭載のOALDも例文が多く,しかもLDCEと同じコーパスをもとにした生きた例文ばかりなのですが,例文検索がついていないのがとても残念です。

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