電子辞書掲示板過去ログセレクション
(Sekkyのつぶやき1・メーカーさん向け)

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※レス以外で掲示板に書いた駄文の中から,比較的マニアックな内容のものを抜粋しました。主にメーカーさんを対象として書いたものですが,より高度な情報を必要とするパワーユーザさんにも参考になるかもしれません。

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海外向けモデルを国内で入手できるように… 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月16日(月)10時23分5秒

(メーカーさん向けの内容かと思います)

メーカーさんによっては海外向けの電子辞書を出していると思いますが,販売チャンネルを限定してもかまいませんので,日本国内でも入手できるようにはならないのでしょうか。先ほどのPW-E500にしてもそうですが,こういう機種は他社製品に競合機がないため,必要なユーザにとっては確実に(多少高価でも)購入したいと思うのではないでしょうか。もちろん,こういったマイナーな機種は量販店さんでは置いてもらえないのかもしれませんが,カシオさんがやっているような自社内の通販を利用するとか,メーカーさんへの直接注文を受け付けるとか,秋葉LaOXの免税コーナーなど,外国人のお客様が多い店で限定販売するとか,何らかの方法があるといいと思います。英語以外の外国語搭載機も同じで,カシオさんのスペイン語モデルなどは,スペイン語を専門にしていた学生に話すと,多くの方が興味を持ち,海外在住の友人に購入を依頼したり,旅行へ行ったついでにでもぜひ買いたいという人がいます。

辞書コンテンツの誤植への対応 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月26日(水)09時36分31秒

(各メーカーさん向けかもしれません)

最近は多コンテンツ化,大容量化が進んでいますし,冊子体が刊行されてから電子辞書版が出るまでのタイムラグがかなり短くなっています。G3などは,冊子体が出てわずか2ヶ月でG3搭載機が発表(PW-M670)されています。ということは,G3発行とほぼ同時に電子データが出ているということでしょう。当然,その内容は初刷がもとになりますので,誤植や誤記等も冊子体の最新刷に比べれば少なからずあるはずです。

こういう状況を考えると,僭越かもしれませんが,説明書のどこかに,きちんと責任の所在と免責事項を(出版社側と調整して)明記しておいたほうがいいのでは,という気がします。以下のようなことです。

・その機種のデータのもとになっている冊子体のバージョンを明記(「ジーニアス英和辞典第3版の第2刷」のように,版数だけでなく,刷数も)。

・コンテンツ内容の問い合わせは出版社にしてほしい(これは今も明記されていますが)ということに加え,コンテンツ内容に起因する返品,交換等は,誤植等を含めて応じられないということ(このあたりは,無料保証規定の内容の改変にもからんでくるので,簡単にはいかないでしょうが)。

冊子体辞書に関しては,書籍という性質上,誤植等のいかなる理由でも,返品,交換ができないということが一般常識のように考えられているので,誤植の多い辞書でも問題はない(客の側で自主規制して,初刷を買わないようにしたりしていたので)かもしれません。しかし,電化製品は,逆に不具合があれば交換なり修理なりをするのが普通です。そのため,書籍と電化製品という,性質の違うものが一体化された電子辞書になると,このへんの認識にユーザ間で差が出てくるのでしょう。

英語専門機の次世代モデル(>AKIさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 1月24日(金)12時50分49秒

>先日、Oxford Collocations Dictionary for Students of English(書籍)を購入し
>ました。これは非常に使える辞書ですね。コロケーションといえばまず新編英和活用大辞
>典ですが、Oxford Collocationsはコンパクトながら整理がよくされていて、ある意味、
>より分かりやすいとも言えます。

同感です。OCDは「英活」よりもコロケーションが厳選されていますが,この手の辞書は多く載っていればいいというわけでもなく,頻繁に用いられるコロケーションが素早く分かることが重要なので,非常に使いやすいです。ただ,和訳がないので,英活のように受信用に使う(翻訳者が,ぴったりの訳文を知るために使うなど)はできません。

これ以外では,ご存じかもしれませんが,BBI Dictionary of English Word Combinationsも,学習者向けコロケーション辞典としてよくできています。こちらは,18000の見出し語に対して90000のコロケーション(OCDは9000の見出し語に150000のコロケーション)ですので,OCDがカバーしていない見出し語のコロケーションを知る上で有益です。ただ,文型表記が記号を使っているなど,ちょっとくせがありますので,OCDのように誰でもすぐに使えるというものではありません(最初の説明書きがかなり長いです)。#BBIは97年に改訂されています。Amazonなどには初版も出ていたりするので注意が必要です。

>シソーラスの電子辞書への搭載が一般的になった現在、次なる英語コンテンツとしては、
>コロケーション辞典が挙げられます。シソーラスがある語の類義語を示し、似たような
>意味の語の中で適切な語を見つけることができるのに対し、コロケーション辞典は、あ
>る語について、その前後にどのような語が特に用いられるのかを示す辞書で、やはり適
>切で自然な英語を発信するにはとても有用なものです。

コロケーションに関しては,上級学習者でもノンネイティブである以上は困難が多いと思います。「(将棋を)指す」と「(囲碁を)打つ」の違い(ついでに言うと,チェスは将棋と共通点も多いですが「チェスを指す」とはちょっと言いにくいですね(^^))が,かなり日本語を学んでいる外国人でも難しいのと同じです。

>OALD、COTにOxford Collocationsが加われば、英語学習に非常に強力です。

語レベルの情報を提供するthesaurusと違い,コロケーション辞典は文レベルでの発信をサポートしますので,むしろthesaurusよりも万人向けになりそうなコンテンツかもしれませんね。

>市場への(超?)サプライズとしては、COD、COTのそれぞれ親本である、New Oxford
>Dictionary of English、New Oxford Thesaurus of Englishと組み合わせ、さらに
>全辞書例文検索ができれば、英語のプロが飛びつくと断言します。

私としては,これはサプライズというより,ハイエンドの機種ではこれぐらいのコンテンツチョイスはごく普通にされるべきだと思います。今の段階でも,メモリ容量自体を増やすことは技術的に十分可能だそうです。言いかえれば,コンテンツ容量の物理的な制約はあまりないのかもしれません。ネックになるのは,メモリを増やすことで生じるコスト増や,大規模コンテンツ搭載によるライセンス料が販売価格を引き上げてしまうことなのでしょう。しかし,同一筐体,機能で他機種よりも高価なSR-9200がかなり売れたことからも明らかですが,英語で仕事をしているような人は,多少高くても自分が満足するレベルのコンテンツを搭載している機種を選ぶと思います。プロの音楽家が楽器にはお金をかけるのと同じで,英語の専門家にとって辞書は商売道具なのですから,安いからといってコンテンツを無視した選択はしないはずです。CODやCOTはそれぞれNODEとNOTEの縮約版なのですから,専門家にとっては,同じお金を出すのなら,多少コストがかかっても上位互換である親版を求めるのは自然だと思います。もちろん,「英語の専門家」の絶対数が少なければ採算が合わないので理想論に過ぎないでしょうが,日本には何万人という人が英語を道具として使い,高度な英語力を駆使して仕事をしているわけですから,全く採算が合わないようなターゲットではないと思います。
>このレベルだと最上位英語専用機に位置付け(自動的にそうなりますが)、ターゲットを
>明確にします。英和(和英)もしっかりセレクトするとしても、国語・漢字・英会話関係
>コンテンツはのせず、余分なコスト・メモリを削ります。数年単位のロングセラー機種に
>なると思います。

おっしゃるように,漢字や英会話といった,他コンテンツである程度代替できる辞書は,上記のようなハイエンドの英語専門機にはなくてもいいと思います。ただ,国語辞典をカットして英語系辞書だけにするというのはちょっと引っかかります。というのは,英語を道具として使っている人でも,ノンネイティブである以上,日本語を捨てることは不可能だからです。国際結婚をし,海外の企業に勤めていても,日本への手紙は日本語で書くことが多いでしょうし,利用価値は多いと思います(広辞苑でいいのかどうかは別問題ですが(^^;;)。

付加機能としては,おっしゃるように全文検索はこれからのハイエンド機では必須になると思います。リーダーズを訳語から検索するなど,日本語部分の全文検索は単語の切り出しが大変なので簡単にはいかないでしょうが,英英辞書ならメモリ容量の問題をクリアすればそんなに難しくはない気がします。例文検索と同じで,どこかが載せてくれば一気に普及しそうな機能だと思います。

>これらの組み合わせはすべてOxfordですし、セイコーさんですでにCOD、COT、OALDの実績
>があるため、難しいことではないと思います。メーカーさんとしては、ご検討いただけれ
>ば本当にありがたいものです。

NODE, NOTEはどちらもCD-ROM版では出ていますので,ハードルはそれほど高くないと思います。IC辞書として搭載したときに採算のとれる機種になるかどうかがカギになるでしょうね。SR-9200がヒットしたのも,CODというよりは,当時は新版リーダーズ搭載機がなかったということも大きいでしょうから…。

目の不自由な方向けの電子辞書 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 1月14日(火)11時23分34秒

猫背さんやdictianさんが提言されている,目の不自由な方向けの電子辞書ですが,これは今まで日本のメーカーさんでは全くと言っていいほど無視(というと言い方が悪いですが(^^;;)されてきた点だと思います。フルボイスの電子辞書は,英語学習者にとっては「合成音声だから…」などと言われていて,どうもぱっとしません(セイコーさんも,SD-7200の後継機を出していませんし)が,目の不自由な方向けの電子辞書としては非常に理想的なものだと思います。dictianさんもご指摘のように,米国ではFranklinが出していますし,Quicktionary(なぞって訳すスキャナタイプの電子辞書)も,Reading Penという音声付きモデルは,全文を発音してくれます(LDの人向けにも人気があるそうです)。

今までは,コンサイス程度の規模の辞書の点字版(かなり分厚くて,とても持ち歩けるものではありません)に頼らざるをえなかったと思いますが,全文発音機能を備えるだけで,目の不自由な方がいつでも持ち歩いて使える辞書になります。ポイントとしては,以下の点だと思います。

・英文だけでなく,日本語も全文発音する(日本語の音声合成エンジンを追加する)
・目の不自由な方向けの筐体デザイン(キートップに点字で文字をつける。また,弱視の方にも使いやすいように,キーの配色などを工夫する(現行のSR-Tシリーズのように,機能キーと英字キーが同じ色というのはちょっとまずいです)など)
・音声のスピード等を簡単に調節できるようにする(現行のフルボイス機のように,設定画面の奥深くで設定するのではなく,キーやジョグダイヤル等を押すだけで,早く,遅くを調節できるように。これにより,一般の方と同じように「飛ばし読み」が楽にできます)
・メモ(ワープロ)機能:任意の文章をキー入力し,メモリにストックできるようにする。必要なときにキー操作でその文章を音声出力できる機能。

ぐらいでしょうか。

例文検索への提言 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 1月14日(火)11時00分12秒

193.Kさんがおっしゃるような,日本語の訳語からの例文検索はぜひ必要だと思います。例文検索というと,しょっちゅう英語を書くような上級者向け機能と思われがちですが,日本語からも検索できるようにすれば,中学,高校生が英作文をするときにも使える機能になります。例文の訳は,当然その例文(という,実際に使われるような形で提示されているもの)に即した日本語ですから,和英辞典を引いて出てきた訳語を英作文で使って,変な英語になるという弊害がある程度は解消できます(辞書の訳文自体がひどければ別ですが(^^;;)。ネックになるのは,先にも書いたような単語の切り出しでしょう。「とっさのひとこと」は数千しか例文がないのでまだ何とかなっても,通常の学習英和は数万例文ですから,単純計算で「とっさ」の10倍の手間がかかるわけです。

#英和系辞書の例文検索は,通常モード(英文+訳文)に加え,訳語カット(例文のみ表示)や英文カット(訳文のみ表示)のような表示モードも備え,切り替えられると,学習ツールとしてはいいと思います。ある単語が使われている英文だけを,訳文カットモードで羅列させて,和訳の練習をしたり,逆に訳文だけを羅列させて英作文の練習をしたりといった活用が考えられます。これは何も難しいことではないと思いますので,ぜひ望みたいです。

「ダブル英英」モデルは? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 1月10日(金)10時04分31秒

SR-T6500はSR-9200と同じようなターゲットの機種ですが,英英はネイティブ向けのCODではなく,外国人向けのCOBUILDに変わってしまいました。たしかに,9200はリーダーズのほうが注目され,CODを目当てで買ったという人は(大学の研究者等は別でしょうが)そんなにはいない気もします。

しかし,ここでのユーザレビューからも明らかなように,上級レベルのユーザにとっては,たとえネイティブ向け英英を今までに使ったことのない人でも,CODは決して歯が立たないものではないと思います。昔のCODはOEDの流れをくむもので,敷居が高かったのですが,9200に搭載の10版はOEDではなく,NODEという,イギリスの一般家庭向けの常備辞書の縮約版のような感じです。ですから,昔のCODよりはるかに分かりやすいです。

SR-T6500を使っていて不便なのは,リーダーズに出てくるようなレベルの語を英英で調べようにも,COBUILDでは載っていない場合が多いということです。英和と英英のレベルがアンバランスであるというのは,リーダーズとCOBUILDをそれぞれ単独で使うユーザにはいいかもしれませんが,翻訳者などのように,英和と英英の記述を見比べたり,英和の「訳語」で意味がつかみにくい専門用語を英英の「定義」で知りたいという人などは,T6500のユーザ本位のコンテンツバランスが裏目に出ることもあります。ハイエンド機では,英和は大規模英和だけでいいとしても,英英に関しては,学習用とネイティブ向けの2冊の英英を搭載した「ダブル英英」が必要になってくるのではないでしょうか。

せっかく本格的な英英を載せるのであれば,英和同様にフルサイズのものを惜しまず搭載することが望まれます。CODではなく,親版のNew Oxford Dictionary of English (NODE)を載せるとか,thesaurusもCOTではなく,New Oxford Thesaurus of English (NOTE)にするとかです。NODEはCODプラス11万語ですが,一方で,例文も学習英英なみの約70000入っていますので,見かけは大きいですが,ネイティブ向け英英としては,むしろCODよりも外国人には使いやすい辞書だと思います。また,NOTEはCOT2版プラス23万5000語(見出し語数でなく,類語全体の述べ語数)で,thesaurusとしては最高水準の語数を誇ります。とくに,ConfusablesやAwkward Synonymsのコラムは,類語の使い分けやニュアンスの違いをことばで説明しているので,外国人には重宝すると思います(これはCOTにはない特徴です)。これぐらいの規模の英英,類語辞典があれば,リーダーズなどの大規模英和とカップリングしてもバランスがとれるのではないでしょうか。

#OUPは電子出版では歴史と定評がありますが,ここ最近のCD-ROM辞書は操作性が悪く,とても使えたものではありません。NODEもCD-ROM版があるのですが,これはifingerというインターフェイスを使っています。ifingerは常駐タイプのエンジンで,マウスカーソルを調べたい単語に合わせるだけ(クリックしなくてよい)でポップアップして辞書画面が出ます。これ自体は別にいいのですが,ポップアップ画面なので一覧性が悪く,ウィンドウサイズさえ変えられません(IC辞書の液晶画面にも劣るようなサイズです)。もし日本のIC辞書にNODEが載れば,日本人はもちろん,英語圏のネイティブで研究者等,辞書を引く頻度の高い人にも魅力的なものになるのではないでしょうか。

複合語インデックス 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 1月 7日(火)11時36分20秒

エンドユーザの方にはあまり知られていないのですが,電子辞書の場合,搭載コンテンツは同じでも,インデックスの違いにより,ある単語(とくに複合語)が機種によって検索できたりできなかったりということがあります。名指しで言うのも気がひけるのですが,カシオさんの機種にこの傾向が顕著です。以前から指摘しているのは,ジーニアス英和での複合語がインクリメンタルサーチでの候補語リストにあがらないということです。

たとえば,sea calf(アザラシの一種)という名前が出てきたとき,seacal...のようにタイプしていっても,XDシリーズではリストに出ません。載っていないのか,と思うかもしれませんが,seaをまず引き,複合語キーを押すと出てきます。他社のジーニアス搭載機はすべてインクリメンタルサーチの時点でリストに出てきます。これは,電子辞書を熟知していない高校生などは戸惑うのではないでしょうか。カシオさんの機種は学校現場で絶大なシェアがあるそうですから,こういう細かな作り込みの問題点がユーザに与える影響は大きいと思います。こんな時,生徒の多くは「何だ,ジーニアスにはこんな単語も載っていないのか」と辞書のせいにするかもしれません。実際,こういう学生がうちの大学にもいました。これでは,出版社やジーニアスに携わった執筆者はたまったものではないでしょう。

XD-R9000では,ジーニアスは上記のままですが,新規コンテンツのリーダーズは複合語もインクリメンタルサーチのリストに出てきます。ですから,sea calfもワンタッチで引けます。しかし,まだ問題点はあります。たとえば,Parisのエントリーの中に入っているTreaty of Paris(パリ条約)という複合語は,treatyof...とタイプしてもインクリメンタルサーチのリストには出てきません。まずparisを引き,そこの中を見る必要があります。ふつうのユーザは,Treaty of Parisを引きたいとき,treatyの中に出ていると思うことはあっても,まさかこれがParisに出ていると思うことはそんなにないのではないでしょうか。しかし,treatyには出ていませんので,「リーダーズといっても有名な条約1つ載っていないじゃないか」という印象を持つかもしれません。実際には,Parisのところに非常に詳しく出ているのですけど。ちなみに,リーダーズ搭載の他社製品(SR-T6500, DD-IC500S, SR-9200など)では,treatyof...とタイプするとちゃんとリストに出てきて,そこからparisに飛べるようになっています。sea calfはインクリメンタルサーチで検索できるのに,ユーザにとっては同じ複合語としか思えない,Treaty of Parisは一発検索できないという不整合は,至急改善が望まれると思います。

これはカシオさんだけの問題ではなく,各メーカーさんが新規コンテンツを搭載する際にインデックスを作る際にぜひ考慮していただきたい点だと思います。とくに,成句(イディオム)に関しては,インクリメンタルサーチでリストに出る機種は皆無です。kick the bucketを引きたいときにはbucketを引くか,成句検索を使わないといけないわけです。これも改善が望まれます。

「業界最多」のコンテンツ? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:12月10日(火)11時10分25秒

最近は電子辞書の競争が激しいせいか,どこのメーカーさんも自社製品のPRにかなり力を入れています。一方で,非常に気になるのが「業界最多」「業界最薄」のような言い方で自社製品の優位性をアピールする姿勢です。もちろん,これが事実であり,客観的にもその評価が妥当であれば堂々とアピールすればいい(筐体寸法などは客観的尺度がありますので,どんどんアピールすればいいでしょう)のですが,そうでもないケースが増えているのは非常に残念です。とくに,一部メーカーさんの,コンテンツの量に関するPRは目に余るものがあります。はっきり言えば,「最多」を前面に出せば辞書を知らないユーザは手を出すだろう,というメーカーさんの思惑が見え隠れしていて,ある程度辞書を知っているつもりの私からすれば噴飯ものです。

こういう場でメーカーさんの実名を出して指摘するのは非常に恐縮ですが,辞書に関してあまり知らないユーザが電子辞書を買うケースが多いことからも,客観的に検証する必要はあると考えます。決して誹謗中傷するつもりではなく,事実に基づいて述べます(当該メーカーさんの機種を愛用している私が言うわけですから誹謗中傷ではないのは自明でしょうが)のでご了承ください。

以前から問題にしているのは,シャープさんの機種の,広辞苑の分野別小辞典の5冊を別々にカウントし,「14冊相当(9冊の辞書をまるごと収録+5冊の分野別小辞典を収録)」のようなぼかした言い方をしているケースです。「相当」のフォントを小さくしたり,カッコ内の内容を注にして別の場所に移したりしているので,ぱっと見ると「14冊の辞書をまるごと収録」のように早とちりします。そもそも,「分野別小辞典」が広辞苑の固有名詞等のエントリーを抽出したものだということを知らない人(初めて電子辞書を買う人はそうでしょう)は,「14冊相当」と「14冊まるごと収録」の違いなど分かりません。

分野別小辞典は,今まではシャープさん独自のコンテンツでしたから,独自のカウント方法を使っているんだろうと好意的に解釈できました。しかし,今回カシオさんがXD-Rシリーズで分野別小辞典を搭載し,しかも5冊をまとめて1冊とカウントしているので,カタログの表記で同じコンテンツであるのにメーカー間でカウントの基準がずれてしまい,問題が出てきます。どう考えても,分野別小辞典という広辞苑のインデックスにすぎないものを,5種類のインデックスだからといって5冊というのはおかしいですので,シャープさんの記述も変更が望まれると思います。

この発想が進んでいくと,英和や英英辞典の成句検索も「1冊」にカウントし,例文検索も「1冊」になっていきかねません。実際,他社製品は広辞苑の特殊検索と位置づけている(そのためコンテンツ数にはカウントしていない)慣用句検索も,シャープさんの機種だけは,分野別小辞典に組み込んで5冊の中の1冊にしています。これなどは,右も左も分からない電子辞書初心者をコンテンツ数という餌で(それも明らかにおかしなカウントのしかたで)巧妙におびきよせていると言われても仕方ないでしょう。利害関係のない私でもこういう姿勢には大きな疑問を感じますので,競合他社さんはどう感じているのでしょうか。
コンテンツ数に関しては,カシオさんのXD-R9000に関しても同じです。先程述べたように,XD-Rシリーズは分野別小辞典のコンテンツ数をまともにカウントしているという点では問題ないのですが,XD-R9000のPOP用の台(正式な名称は分かりませんが,R9000の展示品が載っている台です)に大きく書いてある「業界最多の3冊の英和」というような記述はちょっと引っかかります。以前にも書いたように,リープラは独立した英和ではありません。リープラの凡例で「この辞典は『リーダーズ英和辞典』の補遺として刊行するもので…」と述べられているように,あくまでも「補遺」です。ですから,リープラでdogを引いても「犬」(4本足の哺乳類の動物の)という意味は出ていません。なぜこれを「3冊」に入れて独立した英和のように思わせるのでしょうか? カシオさんの開発スタッフの人は,Activatorのような濃いコンテンツを載せるようなセンスがあることからも,リーダーズとリープラが別々の独立した英和だとはまさか本気で思ってはいないでしょうから,こういう記述が平然と行われているというのは,営業サイドからの要望等,別の要因があるのかもしれませんけど。

いずれにしても,これらのことが単なるメーカーさんの知識不足によるものであるのなら,それを責めるのは酷でしょう(もっとも,リープラがリーダーズの補遺だということは,熱心な英文科の学部生でも知っている程度のことですが)。しかし,万一「コンテンツの中身なんてふつうのユーザは知らないだろう」という判断で,補遺まで「1冊」にカウントし,それも業界最多の3冊というように,誤解を招く表現をしているのなら,冗談ではありません。研究社が出しているリーダーズ+プラスのCD-ROMでさえ,「合計46万語収録」とは言っていても(「補遺」ですから語数を合計するのは当然でしょう),2冊の英和辞典を収録とは言っていないはずです。「業界最多の3冊の英和」にどうしてもこだわるのなら,せめて注をつけて「リーダーズプラスはリーダーズ英和辞典(初版)の補遺として発行されている辞書です」のように述べておくのが良心的だと思います。

もっとも,拙サイトへのアクセス数は電子辞書の総出荷台数のわずか数%にすぎませんので,ここでいくら言っても,メーカーさんにとっては痛くもかゆくもないでしょう。95%以上のユーザはカタログや店頭のディスプレイの内容で判断するからです。しかし,これがエスカレートしていくと,今後は電子辞書の本質であるコンテンツの質や操作性,機能といった地味な側面を度外視して,いかに顧客に魅力的に見せるか,という見た目の競争にとらわれてしまう危惧があります。メーカーさんにとっては,競合の激しい業界に身を置かずに外野から理想論だけを言っているのだから,私の発言など絵空事に過ぎないと思うかもしれませんが,ウサギとカメの話はが理想論と笑って片づけられないのと同じで,表面的な餌でおびき寄せるのではなく,地味な面でユーザに訴えかけるメーカーさんが最終的には勝ち組になると確信したいです。

オーダーメイドの電子辞書(>TANIさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月16日(土)11時14分36秒

>私が考えている理想の辞書は、ユーザーが好みのコンテンツを好きなように指定して作る
>ものです。トッピング辞書とでも言ったら良いでしょうか。当然のことながら、ジャンプ
>や検索などは現状の最適な機能を盛り込んだまま、コンテンツのみユーザーが自由に選択
>するのです。

この要望はけっこう今までに出ているのですが,なかなか実現されません。大容量のストレージデバイスなどもありますし,海外メーカー(Franklinなど)では(辞書は少ないですが)好きな書籍を購入し,端末にダウンロードするサービスもやっているので物理的には問題はないと思います。出版社サイドの思惑もあり,それが足を引っ張っているのかもしれません。電子辞書はコンテンツがなければ成り立たない商品ですから,出版社を敵に回したらまずいのでしょうね。

全く自由にコンテンツを組み合わせるのは無理にしても,ひな形をいくつか用意し,ユーザはその制約の中で好きなコンテンツをチョイスできるようになればいいと思います。マックが最近始めたセットメニューの選び方のようなイメージです。たとえば,

・汎用コース:英和,和英,国語,カタカナ語,漢和を各1冊ずつ,プラス付加コンテンツを4冊
・英語重視コース:英和,和英,国語,英英,漢和,類語を各1冊ずつ

…のような感じで,いくつかコースを設定し,コースごとに基本価格を定めます。また,筐体もいくつかバリエーションを用意(小型機か,大型機か,高機能機か,基本検索しかできない機種か,など)し,これにも基本価格を定めます。コース価格+筐体価格の合計が販売価格という感じでしょうか。それに加え,各コンテンツの規模により,追加(割引)額を設定する必要もあるでしょう。たとえば,G3や新英和中辞典なら追加額なし,リーダーズなら何千円追加,フェイバリットのような高校英和なら何百円引き,のようにです。現行機にあるようなありきたりな組み合わせ(G3英和,和英,広辞苑など)の場合は特別に割引価格にするとか,いくつかの例外を設けたりするといいかもしれません。オーダーメイドのPCのように,ユーザの希望に応じてメーカーさんがコンテンツを組み込めばいいのではないでしょうか。

現状からすれば夢のまた夢のような話でしょうが,出版社サイドが柔軟になれば十分可能な話だとは思います。今ならとにかく新製品を乱立していれば売れるのでしょうが,このブームが去ったときに生き残る方法の一つだと思います。

電子辞書のパーソナライズサービス? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月 7日(木)15時30分05秒

(メーカーさん向け?)

いつも思うのですが,電子辞書は,とくに学校等では学習の必需品であると同時に貴重品であり,盗難や紛失のおそれが大きいと思います。そこで,PDAのように起動時に所有者表示をしたり,起動パスワードを要求したりするようなことはできないのでしょうか? できれば,電池切れやリセット操作で解除されないように,EPROMのようなものに焼きつけるようにするといいと思うのですが。購入したユーザは,申込用紙に氏名や住所,メールアドレス,パスワードのような所有者情報を記入し,メーカーさんのサービスセンターに送ると,記入した内容をメーカーさんがROMに焼きつけ,返送するという仕掛けです。一旦パーソナライズされた電子辞書は,リセットや電池交換をしても,電源を入れるたび,切るたびに所有者表示が出るようにするわけです。オプション設定でパスワード入力も要求させれば,本人以外の人が拾ったり,盗んだりして使うことが不可能になりますし,オークション等へ転売することも難しくなるでしょう。もし,譲渡などをする場合は,パーソナライズされているユーザが,本人確認のできる書類とともにメーカーさんに送れば,譲渡先の相手の名前に書き換えたりすることで対応できます。

もちろん,メーカーさんも人件費がかかるでしょうから消極的になるかもしれませんが,手数料を徴収するとか,新製品を予約注文した人には,無料でパーソナライズした製品を送るとか,いろいろ方法はあると思います。もっとも,紛失,盗難により再購入する人が減るわけなので,営業面では損なのかもしれませんが(笑)

取説の一般公開を! 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月28日(月)12時08分14秒

(各メーカーさん向けになりますが(^^;;)

前も書いたのですが,最近は取扱説明書を自社のHPでPDFファイルで公開するメーカーさんも増えてきています。ただ,電子辞書に関しては,多くの製品のマニュアルを公開しているソニーさんでも,DD-IC50のものしかありません。そのため,購入を検討しているユーザで,特にじっくり他社製品と比較して選びたいユーザは,カタログを見るか,実機を量販店の展示品で触るかしか方法がないのです。

最近はネット通販が普及したため,実機に触らずに指名買いで商品を購入する人も増えてきました。そのため,メーカーさんにとっては,カタログや公式HPでの宣伝文句やブランドイメージなどが重要になってくるので,今まで以上に美辞麗句で宣伝するメーカーさんが増えています。しかし,特に買い換えの人は,製品を使ってみて「前機種はこんなに使いにくくはなかった」と思うケースも増えているのではないでしょうか。こういうことを少しでも減らすには,商品のマニュアルを購入前のユーザでも自由に見られるようにする,つまり,購入した客が得る情報と同等の情報を購入前の客にも提供することが必要なのではないでしょうか。

製品カタログには「こういうことができます」ということは書いてあっても「こういうことはできません」というマイナス面はまず書いてありませんが,説明書には,少なくともエンドユーザが気づく程度のことならば,「できない」ことも書いてあります。これを購入前のユーザに知らせることは,何万という大金を出して電子辞書を買うお客様への礼儀なのではないでしょうか。デパートの福袋でさえ,何万という額のものは中身を公表しています。何万という電子辞書が,カタログに載っていない操作性は「買ってからのお楽しみ」というのは,そろそろ考え直す必要があるのではないでしょうか。最近の電子辞書はコンテンツが増えたこともあり,マニュアルも分厚くなっていますが,辞書コンテンツの使い方説明などを省けば数十ページに過ぎないのですから,ぜひ各社さんが公開されることを望みたいと思います。これにより,少なくとも購入前にウェブブラウジングして機種を比較検討するような賢明なユーザには,カタログでは分からない各機種の正確な出来具合というものが伝わると思います。

使い勝手というものは一朝一夕に改善できるものではありません。各メーカーさんがユーザからの声をフィードバックし,それに加えて,その機種を開発したスタッフ自らが,より専門的な視点で自社製品と競合他社の製品を日常的に使い込み,細かな粗を洗い出していくという地道な努力が必要です。残念ながら,こうした地道な努力をして,少しでも使いやすいように仕様変更をしても,その大半はカタログで説明できるようなものではないでしょうから,一般のユーザが把握することは(複数メーカーの機種を併用していない限り)あまりできませんでした。しかし,マニュアルを公開することで,ある程度まではそれが可能になると思います。

XD-R9000の例文検索は…? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:10月22日(火)11時34分58秒

(例文検索にこだわる人向けのマニアックな内容かもしれません)

細かな点ですが,XD-R9000の筐体写真をみると,リーダーズの入力画面が出ていますが,その中に例文検索のボックスがあります。これを見る限りでは,もしかしたら辞書ごとに例文検索モードが用意されている(=英和,英英の全例文を一気に検索できない?)のか,という感じがします。実際はどうか分かりませんが,リーダーズモードで例文検索すればリーダーズのみ,LAADモードならLAADの例文のみが検索されるという仕様なのでしょうか。だとすれば非常に不便だと思います。あるいは,前書いた「謎のメニューキー」の中で,ジーニアス,リーダーズ,LAADの例文を一括して検索する機能が用意されているのでしょうか。

…とここで疑問を言っても発売されるまでは答えは分からないでしょうが,例文検索を重視する人は,購入前に複数辞書の例文を一括して検索できるかどうか試した方がいいと思います。理想としては,DD-IC500Sなどのように,串刺しモードで例文検索をすれば全辞書の例文を,各辞書ごとのモードで検索すればその辞書だけを検索できるとベストです。こういう操作系なら,PW-M670/6800で話題になったような,例文検索の優先辞書指定がないという問題が解消されます。「優先」させたい辞書のモードにして例文検索をすればいいのですから。

#メーカーさんには無理なお願いかもしれないのですが,ニュースリリースではなるべく多くのスクリーンショットを用意していただけると,特にパワーユーザにとっては参考になると思います。たとえば,新規コンテンツのActivatorやLongman-Roget'sの検索画面などもスクリーンショットがあればだいたいの機能や操作性は分かります。学習英英系の冊子体辞書などは,刊行前に10数ページの本文サンプルが手に入るので,辞書を買う前に中身がだいたい分かるのですが,電子辞書もそうなるといいんですけどね…。

ついでですが,欧米のメーカーさんがよくやるように,説明書の中身(辞書自体の解説部分はなくてもいいので,本体の使い方だけでも)をPDFなどで公開していただけると(これは発売後でいいですけど),実機を手にとれないユーザ(地方都市や海外在住の人など)にとっても,その機種でできること,できないことが購入前に分かるので親切だと思います。戦略的にこういうことをするのはリスクが大きいのでしょうが,日本の電子辞書業界もこういう風潮になれば(ぱっと見ではなく)本当の意味で優れた機種が,ユーザにも的確に評価されるのではないでしょうか。説明書を公開するのはメーカーさんも抵抗があるかもしれませんが,使い勝手や細かな機能面も自信を持って開発していれば,むしろプラスになるはずです。もちろん,保証書などは再利用される可能性もありますのでカットすればいいのですけど。

http://www.casio.co.jp/release/2002/images/xdr6200_r9000/xd_r9000_01L.jpg


今後の電子辞書に求められる機能と使い勝手 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月13日(金)10時21分16秒

(メーカーさん向け?)

最近の電子辞書は(細かい点は別としても)メーカー間でのレベル差がほとんどなくなってきています。付加機能もほぼ出揃い,メーカーさんにとっては次期機種で盛り込む新機軸やコンテンツに頭を悩ませているのではないでしょうか。以下に,メーカーを問わず共通する点を思いつくままに書いてみます。

(使い勝手について)

一言で言えば,「冊子体辞書の検索システムに縛られない操作系を望みます」ということです(^^)

★検索辞書の選択方法

搭載辞書が増えるに伴い,辞書選択キーが足りなくなってきています。カシオ,キヤノンはシフトキー併用で何とか切り抜けていますが,これも限度があるでしょう。シャープやソニーは,使用頻度の少ないコンテンツはメニューに押し込んでいるので,全部をキーに割り当てるよりは余裕がありますが,それでも,限られた画面解像度でメニュー内のコンテンツを1画面に表示させるのは,ほぼ限界に近いところに来ています(DD-IC500Sの「全15巻」キーを押せば分かります)。一番苦労しているのはセイコーのフルキーボードモデルです。これ以上キーピッチは狭くできないのでキーは増やせないし,シフトキー併用のオペレーションを採用しない以上,1つのキーに複数の辞書はアサインできない。しかし9700ではコンテンツが増加してしまった…結局はOALDとCOTという別のコンテンツを同じキーに割り当て,入力ボックスを変えることで対処しましたが,これは非常に使いにくい(OALDモードにして入力し,COTに切り替えたい場合は再度単語を打ち直さないといけない)です。

このような状況を打破するには(以前から書いていますが)そろそろ「検索辞書を選ぶ→単語を入れる」というフローを変えていく必要があるのではないでしょうか? たしかに,この流れは冊子体辞書を引くときと同じなのでなじみやすいのかもしれませんが,電子機器の操作系としては,逆に「何を,どうする」という人間の発想に近づけて(いわゆるWindows形式の操作系にして),まず検索語を入れて,次にそれをどの辞書で調べるかを指示する,という流れのほうがしっくりきますし,コンテンツが増えても柔軟に対応できる気がします。

この流れに近い現行機種の操作系が,いわゆる串刺し検索(複数辞書をいっぺんに検索)でしょう。串刺し検索モードにすれば,検索対象辞書を意識しなくても,とにかく単語を入れれば,その単語が含まれる辞書を全部探してくれます。当面は,全メーカーの機種で串刺し検索を採用することが課題になると思います。

もちろん,串刺し検索は,検索したい辞書が決まっている人にとっては,別の辞書からのヒットまで出てくるので見にくいというデメリットがあります。そこで,串刺し検索をデフォールトにして,オプションで表示辞書を絞り込むようにするという方法はいかがでしょうか。以下のようなフローです(もちろん架空のデータです)。

単語入力(ここではワイルドカードでsta*と入れてみる)

ヒットしたら,リストを表示する前に以下のようなダイアログを出す(もちろん,1件もヒットしなかった辞書は選択肢に出さない)

「"sta*":合計40件見つかりました。表示する辞書を選んでください: 1:すべての辞書(40件) 2:ジーニアス英和(23件) 3:Oxford英英(15件) 4:Oxford類語(2件)」

ユーザが表示辞書を選択(1を選べば現行機種の串刺し検索と同じ挙動をする)。

その辞書のヒット語リストを表示

必要な語を選択

語義表示


この方法だと,現行の串刺し検索にくらべて辞書選択ダイアログが出る分,1ステップ余分にかかりますが,将来的にはFranklinのように辞書選択キーを全くなくすことも可能になります(もっとも,今は過渡期ですから,ソニーの機種のように,串刺し検索だけでなく主要コンテンツには単独の辞書選択キーを用意する必要はあるでしょうが)。また「40件見つかりました」のように辞書ごとのヒット数を数字で出すことで,ユーザがその後の表示方法を選ぶ助け(全辞書いっぺんに出すか,辞書ごとに絞り込むか)になります。
この操作系は,慣れるまでは違和感を持つ人も多いでしょうが,メリットは多くあります。メーカーさんのメリットとしては,コンテンツが多くなってもいい(キーというハードウェアを使って辞書を選ぶのでなく,ダイアログ上で選ぶわけですから)ということでしょう。仮に日英あわせて50冊のコンテンツを搭載したとしても,ある単語が50冊全部でヒットすることはありえない(コンテンツの内容によりますが,せいぜい10冊止まりでしょう)わけですから,ヒットした辞書のみをダイアログに出せばとてもすっきりします。もちろん,コンテンツを増やすことの是非は別問題なのでここでは述べませんが(^^;;

また,ユーザにとっても,従来の操作系だと,入力した単語が選んだ辞書に載っていない場合,辞書を選択し直して再度引き直す必要がありますが,上記の操作系なら「入力した単語が載っている辞書」の一覧ダイアログから選ぶわけですから,載っていなくて引き直すということがなくなります。

今述べた操作系は,現行の串刺し検索を発展させることで可能になります。

★成句の表示方法

これも冊子体辞書の操作系にとらわれてしまっている好例です。たとえば,kick the bucketという成句を引きたい場合,kickを(通常検索で)引き,そこから成句キーを押す方法では検索できません。冊子体ジーニアスのkickの見出し語の中にはこのイディオムが出ていないからです。bucketを引き,成句キーを押せばOKです(言うまでもなく,冊子体ジーニアスではbucketの中にこのイディオムが出ているからです)。

こういう不便さを解消するために,成句検索機能があります。成句検索を使えば,成句に含まれる単語のどれかを入れてやれば,そのイディオムがどこの見出し語にあろうが検索できます。ですから,kick the bucketはkickでも,bucketでも引けます。もちろん,theでも引けますが気が遠くなるぐらいの数がヒットします(^^)

しかし,成句検索という独立したモードにしなくても,普通の検索の中に成句検索の機能も盛り込めるはずです。つまり,通常検索でkickを引き,成句キーを押した場合,現行機種のように冊子体のkickの中にある成句だけでなく,成句検索をしたときのように全エントリーの中からkickを含むイディオムを出せばいいのではないでしょうか? 言いかえれば,現行の成句検索を,通常検索→成句キー の操作で行うということです。そのためには,(成句検索では複数キーワードが入れられるので)検索語を入力する際に複数の単語を(&かなにかで区切って)入力できる必要があります。そして,複数語を入力した場合は,成句だと判断し,通常検索をバイパスしていきなり成句一覧の表示を出すというのはいかがでしょう?

「検索語を入れてください。成句を検索する場合,&で区切って複数単語を入力することもできます」のような表示を出すわけです。

★ジャンプ機能

日本語ジャンプが業界標準になりましたので,あとは細かな操作性のチューニングが中心になるでしょう。理想的にはシャープの機種のような二画面並列表示だと思います。また,ジャンプ先選択は,セイコーの日本語ジャンプ搭載機(SR-950/960/9700)のように範囲の先頭にカーソルを置くだけで,単語の切り出しを自動的に行い,最長一致で(語数の長いものから)表示するのが分かりやすいでしょう。キヤノンのIDFシリーズのジャンプ操作を店員さんがご存じないケースが多いことからもわかるように,シフトキーでジャンプ元とジャンプ先を選ぶのは,パソコン上ではよくありますが,電子辞書ではわかりにくいかもしれません。

あと,私がイメージしている機能で,まだどこのメーカーさんもとりいれていないのが「ジャンプ先プレビュー」とでも呼べる機能です。ジャンプキーを押してジャンプ先の単語を反転させたら,リアルタイムでサブウィンドウか何かを開いて,ジャンプ先の語を検索し表示するという機能です。日本語ジャンプでは範囲選択の関係があり,実現しにくい仕様ですが,英単語へのジャンプなら単語を切り出す必要がありませんから,反転カーソルのある単語を英和なり英英なりで引いて,決定キーを押す(ジャンプする)前にプレビューで一部分を出せれば便利です。ことばで書くと分かりにくいと思いますが,簡単に言うとセイコーの機種でインクリメンタルサーチ時に働くプレビュー機能と同様のことを,ジャンプ先単語を選択中に行うということです(^^) DD-IC500Sではプレビューというほど大げさではありませんが、ジャンプ先選択ダイアログでジャンプ先のエントリーが多少表示されます。原理はこれと同じことです。
★スペルチェック

いわゆるオンデマンドのスペルチェック(モード切り替えしなくても、スペルキーを押すとスペルチェックが働く)が増えてきています。以前から搭載しているキヤノンに加え,ソニー,セイコーと徐々に増えてきました。これも早晩業界標準になりそうです。

細かな点では,通常の辞書検索用インデックスに加え,スペルチェック用(ワイルドカード検索と共用でいいのですが)の独立したインデックスをぜひ搭載することを望みます。辞書検索用のインデックスは,辞書の見出し語や追い込み派生語のみが入っていると思いますが,スペルチェック,ワイルドカード検索用では,それに加えて規則変化形を含めたすべての変化形がインデックスに入る必要があります。ですから,従来のインデックスよりはるかにサイズが大きくなるはずです。これにより,dagsをスペルチェックしたときにちゃんとdogsが修正候補としてヒットするようになります。

スペルチェック自体のロジックは,dictianさんが以前に比較されたデータからも明らかなように,メーカーによってかなりばらつきがあります。修正候補が少ししか出ないので正しい修正候補が入っていないのはもちろん困りますが,逆に,明らかにこんな単語と間違いはしないだろうというような修正候補が膨大に出てくるのも困ります。各メーカーさんがどういうロジックでスペルチェックのソフトを開発しているのか分かれば,音韻論や日本人が誤りやすいスペリングパターンの研究結果などをふまえて具体的な提言ができるかもしれませんが,さすがにこれは企業秘密でしょうから,私が知る由はありません(^^) 一般論で言うと,綴り字と発音の関係の知識が全くないトータルビギナーの学習者などが,純粋なローマ字読みで入れてもスペルを正しく直すぐらいの機能であって,初めて実際に使えるスペルチェックと言えるのではないでしょうか。たとえば,byutifuruと入れればbeautufulが修正候補に出るようなものです。これをクリアできる機種は今のところ皆無です。

また,機種によっては語頭でスペルを間違えると,とたんに精度が落ちるものもあります。というより,そういう機種がほとんどです。beautifue(語末だけ誤り)ではちゃんとbeautifulが修正候補にあがるのに,eeautiful(語頭だけ誤り)ではヒットしないのです。こういう仕様ですから,「単語のスペルがうろ覚えのために生じたスペルミス」はなおしてくれる(これも怪しいですが)のに,「タイプミスによって生じたスペルミス」の際にはスペルチェック機能が役に立たない場合が多いのです。通訳ブースで仕事中に使う人など,人によってはスペルチェック機能を「タイプミス修正機能」として主に使い,またそれに耐えうる精度を期待している人もいるということをメーカーさんも認識する必要があると思います(以下のリンクでプロの通訳者の小川さんが同じことをおっしゃっています)。

http://www.alc.co.jp/cat/0011/gagaku11.htm

★ワイルドカード検索

これに関してはいろいろなところで書いているので詳述しませんが,ワイルドカード検索に力を入れている機種でも,まだまだ課題はあります。それは,「変化形への対応」「ワイルドカードの制約をなくす」の2点に集約されます。※語頭に「?」がおけないとか,派生語や複合語に対応していないという機種はそれ以前の問題ですが(^^;;

play?→plays,play??→played,play???→playing,nice?→nicer,nice??→nicest

これらすべて,というより1つでも出てくるものは国内製品では皆無だと思います。Frnaklinなど米系メーカーの機種はもちろん,別インデックスを搭載しているER2000/6000はじめ国内メーカーの海外向け機種では廉価機でも当たり前のように対応しているのですが。

あと,実に不可解なのは「*(〜)」が国内機種ではなぜか「1文字以上の不明文字」を表していることです。ですから,*phoneで検索してもphoneはヒットしません。DOSのワイルドカードや正規表現などで「0文字以上の不明文字」を表す「*」になじんでいる私にとっては,とても違和感のある仕様です(DOSで「copy file.* c:\」のようにやれば,拡張子がついていないファイルでもコピーされます)。根っからの文系人間である私でも変な感じがするのですから,メーカーさんでも開発担当の人ならお気づきかもしれません。(推測モードですが)まさか,最初に複数文字ワイルドをつけた機種がこういう仕様になっていて,後発のメーカーさんが皆右へならえで踏襲したとか…? どの機種が最初なのかわかりませんが。

その他では,複数文字ワイルドを複数使うことができるようにするのも必要でしょう。「*tio*」のようなパターンです。Franklinの機種は10年以上前から全機種対応しているのに,ワイルドカード検索では(国内機種では)最高水準のセイコー,キヤノンでも,なぜかこれだけは備わっていません。FranklinはIC辞書のノウハウでいろいろ特許を持っていますが,これもそうなのかな。

(その他の機能で搭載が望まれるもの)

付加機能はほとんど出つくしたように思われますが,まだ現行のIC辞書が未搭載の機能で便利なものとして,語義からの検索があげられます。

海外の辞書CD-ROMではあたりまえの機能ですが,キーワードを入れて,それが語義に(見出し語でなく)含まれる語を検索する機能です。言いかえれば,普通の辞書(や現行機種の検索機能)では「単語が分かっていて,その単語の意味を知りたい場合」に引くものですが,全文検索では逆に「意味が分かっていて,見出し語を知りたい場合」に引くものです。英英でgreen AND vegetableと入れるとspinachやpea, cabbageなどがヒットするわけです。

英英辞典でこれを使えば類語辞典のかわりにもなりますし,「ど忘れ」の時にも役立ちます。英和辞典系でこれができると和英辞典にもなってしまうわけで,使いこなせば応用範囲が広い機能ですがIC辞書では搭載されません(リーダーズのEPWINGには搭載されています)。本文全文をインデックス化するので,サイズが膨大になるからなのでしょう。オマケのコンテンツを何十冊も入れるぐらいなら,英和,和英,英英,国語,漢字程度の5冊でかまいませんから,空いたスペースで全文検索のインデックスを搭載した機種が1つぐらいあってもいいと思います。英語系コンテンツだけでなく,広辞苑でもできれば便利です。「いたりあ AND がか」でレオナルド-ダ-ヴィンチやミケランジェロなどがリストされたり,「ほっかいどう AND し」で札幌,岩見沢,函館…などが出てくるわけです。こういう検索が必要な場面は日常生活でもけっこうあるのではないでしょうか。

国語系コンテンツの場合,単語の切り出しが大変なのでインデックスを作るのに手間がかかると思いますが,英語系の辞書なら単語は明確ですから,機械化すれば楽にできるはずです。せめて英語系コンテンツのみでかまいませんので,次世代の英語重視機の機能として搭載を望みます。

この機能は,カタログ等でしっかりアピールすれば,その便利さに気づくユーザは多いでしょうから,どこかのメーカーさんが初搭載すれば,あとは続々と載せてくるような気もします。SR-9700や9200程度のコンテンツ数でかまわないので,セイコーさんあたりがやってくれないかなぁと期待しているのですが(^^) 上級機なら,実売で30000円台後半ぐらいになっても需要はあるはずです。

(コンテンツに関して)

これに関しては他掲示板も含め,いろいろな声がありますので,ここではあまり他の人が言っていないことを中心にあげます。

・大英和搭載:これは要望が多いですが,なかなか敷居が高いみたいです。もっとも,どこかがやればあとは一気に普及しそうです。リーダーズやGCなどの大規模英和搭載機が増えたのと同じように。前にも書きましたが,ジーニアス英大は大辞典+学習辞典を兼ね備えているので第一候補でしょう。

・英語学習系の付加コンテンツの搭載:オマケコンテンツを盛り込むぐらいなら,もっと重厚なものを望みます。OALDを載せるのなら,ついでにOxfordの学習者向けコロケーション辞典や学習者向けPhrasal Verb, Idiomの辞典,Word Finderのような学習者向け表現辞典,Practical English Usage (PEU)のような語法辞典など,同一出版社が魅力あるコンテンツを出しているわけですから,これらを合わせて載せれば最高の英語学習環境になります。もちろん,別コンテンツにするのでなく,相互に連携できる工夫がいりますが。ロングマンでも,ケンブリッジでも,コウビルドでも,学習英英系の出版社ならどこでも同じようなタイトルの辞書を出しています。

・日本語の類語辞書:これは先ほどのAKIさんへのレスで述べたとおりです。講談社の類語大辞典発刊は,広辞苑から脱却するいい機会かもしれません(^^)

・初級者向けコンテンツの搭載:ジーニアスより下のレベルの辞書を搭載した機種は,高校現場では需要が大きいはずです。フェイバリット,スーパーアンカー,グランドセンチュリーのような。また,ついに総合学習の時間で小学校に英語が入ってきましたので,上記よりもさらにレベルを落とした機種(中学生向けの英和やビーコン,ワードパルなどの高校初級向け英和搭載)も魅力的でしょう。売り出し方次第では大ヒットが期待できる市場だと思います。早期英語教育は何だかんだ言ってもお金がかかるわけで,そういう人向けの電子辞書はお金持ちのおうちの人をターゲットに売るわけですから(^^) 私のような素人でも需要が多そうだということが分かるぐらいですから,メーカーさんにとってはもう検討していることかもしれませんけど…。
非常に些末な点ですが,以下のような操作性も改善が望まれます。

・電源まわり:DD-ICシリーズのように,フタの開閉と電源が連動しているのはヒットだと思います。電子辞書のフタを開けるときは,普通はこれから使うからでしょうし,閉めるときは使い終わったからなのでしょうから。

・画面レイアウト:機種によっては,左側のインデントがやたらと大きくとってあるものがあります。ただでさえ狭い液晶画面なのですから,スペースが無駄になります。もちろん,インデントをなくしたら見にくくなりますが,もう少し狭くしてもいいのではないでしょうか。これは,語義画面だけでなく,例文検索のリスト画面なんかでもそうです。開発時にインデントの大きさを変えたものを何台か作り,課内でどれがみやすいか投票でもして,最大公約数をとるのも方法です。

・キータッチ音:以前にも書きましたが,もう少しおとなしい音にならないのでしょうか。携帯の着信音にせよ,ヘッドホンからの音漏れにせよ,最近は音に対して社会全体が敏感になってきています。着信音一つで暴力沙汰にさえなるご時世ですから,音質,音量のいずれにおいても改善が望まれます。PDAのキークリックや画面をタップしたときの音ぐらいがちょうどいいのでは? 電子辞書はATMやコンビニのレジと違い,様々な場所で使われることを想定する必要があります。ついでですが,(最近の機種では減っていますが)デフォールトがキータッチ音が「オン」になっていて,電池交換時にキータッチ音のON/OFFを確認しないような機種だと,オフにする方法が分からないので仕方なくそのまま使っているという人(年配の人で何人かいました)が多いようです。マニュアルに書いてあるだろうと言われればそうなのでしょうが…。

などなど。些末な点ばかりで恐縮です。

たとえは悪いかもしれませんが,エレベーターのような地味な「機械」でも10年前のものと今のものとでは操作性? が大幅に改善されているそうです。満員の時でも押しやすいように操作盤を斜めにつける,階床ボタンを押し間違えたときは,いわゆるダブルタップをすればキャンセルできる,乗り場ボタンを押した時点でどのカゴが向かうかをコンピュータが判断し,到着するエレベータにランプがつく,のようなことです。エレベータ会社に勤める知人が教えてくれたことですが,単にお客さんを上下に移動させるというためだけのエレベータでも,これだけ細かな使い勝手を改善できるわけです。

電子辞書も同じです。ただキーを押せば即座に単語が引けるということを売り物にする時代(電子辞書黎明期),これだけたくさんの辞書が入っていますよという量をアピールする時代(ここ数年)はもうそろそろ終わろうとしています。本当に必要な機能と本当に必要なコンテンツに絞り,使い勝手を極限まで追及した地味な機種こそが,これから求められると確信します。

理想的なスペルチェック・ワイルドカード検索をめざして 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 6日(金)11時50分31秒

(メーカーさん向けかもしれません(^^;;)

以前からいろいろなところで言っているのですが,上記の2つの付加機能はどこのメーカーの機種にもついていますが,今まで細かなところの操作性や機能にはあまり注意が払われていませんでした。語頭に不明文字があるとワイルドカードが使えない(=クロスワード解答用には使いにくい)とか,スペルチェックモードに切り替えないとスペルチェックができないといったことです。

最近になって,これらの問題点を改善した機種が徐々に出てきています。前者に関しては,99年12月にセイコーのSR-8000が対応したのを皮切りに,徐々に対応機種が増えています。カシオ,シャープといった主要メーカーがいまだに未対応なのは残念ですが。後者は,2000年3月にキヤノンがIDF-3000で採用して以来,同社の機種はすべて対応しています。セイコーがSR-950で初対応し,SR-9700でも継承しています。

しかし,まだ未対応の要素があります。

(1)「変化形はスペルチェックで引っかからない」→dagでスペルチェックするとdogが出てくるが,dagsでスペルチェックをしてもdogsは出ない。
(2)「変化形はワイルドカード検索でヒットしない」→dog? でdogsが候補に出ない。
(3)「複数文字ワイルド(*,〜)を複数使えない」→*tio* のようなパターンで検索できない。

(1)に関して,SR-9700ではワードインフレクター機能により,変化形を入力してスペルキーを押すと,*その変化形のスペルが正しい場合にのみ* 原形がでてきます。ですから,dogsをスペルチェックするとdogが表示されるので,変化形を入れても辞書が引けます。しかし,この機能も,変化形のスペルが間違っていればお手上げです。ですから,dags(誤スペル)でチェックをかけてもdogsは出てきません。このへんは,米系メーカーの機種のほうがきちんとしています。Franklinにせよ,セイコーの海外向け機種(ER-6000など)にせよ,変化形の誤スペルでも正しい候補を出してくれます。英語を学んでいる人を対象とした日本メーカーの機種よりも,ネイティブも視野に入れた米系の機種のほうがスペルミスもきちんと対応してくれるというのは,皮肉といえば皮肉なことです。

(2)も同じです。これも何年も前からいろいろなところで言っていますが,最新機種でも変わりません。内部的なことは素人なのでハズしているかもしれませんが,日本製のIC辞書は,スペルチェックやワイルド検索用のインデックスを別に用意しないで,通常の検索用インデックスの内容を流用しているのかもしれません。インクリメンタルサーチ搭載機で,dogsのような変化形が見出しリストに出ないのは,検索用インデックスに変化形が入っていないからでしょうから,このインデックスでスペルチェックやワイルドカード検索をすれば,当然変化形はヒットしません。SR-9700は,せっかくワードインフレクター機能で変化形もインデックスに入っている? のですから,これをワイルドカード検索にも対応できればよかったのに,と思います。ちなみに,米系の機種では,dog?でワイルドカード検索をしてもちゃんとdogsが候補に出ます。スペルチェックやワイルドカード検索用のインデックスを別に持っているからなのでしょう。これらの機種は,辞書に収録の語数よりもスペルチェック可能な語数のほうがはるかに多いことからしても,別インデックスを使っているのは明らかです。こんな細かいことどうでもいい,と思うかもしれませんが,とくに英字紙のクロスワードなどは,変化形を升目に入れる場合がかなりあり,そうなると変化形に対応したワイルドカード検索は必須になってくるのです。

#ちなみに,Franklinのthesaurusは優れもので,複数形で入れると類語もすべて複数形で返してくれます。比較級で入れればmore ...のように返しますし,ing形ならing形で出してくれます。

SRシリーズの例文検索 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 9月 3日(火)10時25分46秒

かなり重箱の隅をつつく内容で恐縮です(^^;;

使っていて気づいたのですが,SR-9700でmanをキーにして例文検索をすると,以下のような種類の例文がいっぺんに出てきます。

(1) He was a man of advanced years. のような入力キーワード(man)そのものが使われている例文

(2) Anne had two men trying to win her affections. のような,入力キーワード(man)の派生形(men)が使われている例文

(3) His manners are abysmal.のように,manで始まる単語(manner)が使われている例文

(4) You are most welcome to my hymble abode.のようにmanで始まる単語(many)の派生形(most)が使われている例文。

ちなみに,「man&」のように,単語の最後に&をつけると,キーワードの完全一致(=mannerなどは除外)で検索されるので,(1), (2)のタイプの例文しか出ません。

ふつう,manをキーにして例文検索をする場合,ユーザが求めている例文は(1), (2)のようなものだと思います。(3)ならまだわかるでしょうが,(4)のような例文が出てきたら,「??」と思うでしょう。私も,manを入れて(4)のような例文が出てきたとき,はじめはなぜこの例文が出てくるのか分からず,インデックスのミスか? と思いました。

★通常のユーザは,manと入れればmanに関連する例文が出てくるはずだ,と思っていますので,(3), (4)のような例文まで出てくると混乱するのではないでしょうか。

単語末に「&」をつけることでその前の単語を(前方一致でなく)完全一致で検索するというのは,SR-9500でも使える一種の裏技ですが,マニュアルにはこのへんの記述がはっきりと書いてありません。ちょっと前に9700を購入された何人かの方がお話しされていたケースも,これにつながるものだと思います。たしかに,マニュアルの「英単語&と入力すると,その英単語の変化形を使っている例文も検索します」という記述は誤解を招くと思います。「&」をつけなくても(2)や(4)のような「変化形を使っている例文」が出てくるからです。

「「英単語」と入力すると,その英単語で始まる単語を使っている例文を検索します。そのため,manと入力すると,manに加え,mannerやmanageなどが含まれる例文も検索されます。一方,「英単語&」と入力すると,その英単語自体を使っている例文を検索します。いずれの場合でも,原形だけでなく,入力した単語の変化形もあわせて検索されます(ワード・インフレクター機能)」

のようにすると(あくまでも例ですが)誤解を招かないと思います>メーカーさん

キーワード1つでもこれだけ厄介ですから,複数キーワードの場合はさらに分かりにくくなります。できれば,man, man&, man&woman, woman&man, woman&man& での結果の違いを例を出してマニュアルに入れておくといいのですが…。

次世代電子辞書に何を求めるか? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月29日(月)20時27分53秒

(メーカーさん向けの内容かもしれません(^^;;)
いろいろなところで書いていますが,ここ1,2年で各社のIC電子辞書が出揃い,いわゆる汎用モデル(国語,英和,和英(+英英)をベースに,各種コンテンツを追加したもの)の機種はほぼ一段落ついたと思います。数年前のような,メーカー間の優劣の差も(大きな点では)なくなってきていますので,今後は広辞苑+ジーニアス+αという図式も徐々に変わっていくでしょう。各メーカーさんも,きっと私が知る由もない腹案をそれぞれお持ちなのでしょうが,それでも,それでうまくいくかどうかというのは,メーカーさん自身も本当のところは分からないというのが本音なのかもしれません。拙掲示板も,直接のレスはないにせよ,各メーカーさんが定期的にごらんくださっているようですので,ユーザの皆さんからのご提案やレビュー等は今後の製品にも反映されるかもしれません。

私個人としては,現行の汎用機のラインが一番売れ筋になるのは昔も今も変わらないでしょうから,今後はより安く(+小さく)ということに主眼が置かれると思います。汎用機の中でも,高解像度液晶+種々の付加機能を入れたハイエンドの機種と,機能面や液晶解像度を犠牲にしても,安く,小さくすることに重点をおいたエントリーモデルの二極分化は今後進んでいくと思います。エントリーモデルは現行の非フルコンテンツモデルを吸収していくでしょうから,近い将来は電子辞書=フルコンテンツになるかもしれません。

うちの大学でもそうですが,中堅以下の大学,高校での電子辞書の普及率はまだまだです。フルコンテンツだと最も安い機種でも20000円前後はしますから,彼らにとっては勉強道具に2万円も払うのは高い,ということのようです。紙の辞書を全員に買わせるだけで一苦労ですから(^^;; これが,実売で10000円弱となれば話も違ってきます。普通の大学生なら,日本語ジャンプやプレビューなどの付加機能を犠牲にしても値段の安さが優先されることは多いと思います。

このようなローエンドの機種は,学生のレベル的にもジーニアスや広辞苑はきついでしょうから,もう少しレベルを落としたコンテンツ(スーパーアンカーやフェイバリット)の搭載が望まれます。英英にしても,LDCEやOALDのようなフルサイズ学習英英ではなく,Longman WordwizeやActive Study,Oxford Wordpowerのようなもうワンランク下のレベルのコンテンツの需要は(とくに中堅以下の四大・短大の英文科などで)大きいと思います。

一方,上級者向けのコンテンツも充実させる必要があると思います。個人的にはSR-9200のコンセプトは正しかったと思いますが,実際はCODの知名度の点で損をしているかもしれません。戦前の英学者ならともかく,最近の大学生は,LDCEやOALDで育った世代の英語教師(私もそうですが(^^))に英語を教わっていることもあってか,英文科の院生でもCODを知らない人が多いですからね(年輩の英語の先生には信じられないでしょうが,事実です)。むしろ,最近の大学生で熱心な学生(学習英英の次のステップをめざす学生)は,CODよりはAmerican Heritage Dictionary (AHD)やWebster's New World(WNWD)などのアメリカ生まれのカレッジ版英英をよく使っています。英語の主流がイギリス英語からアメリカ英語に変わったことや,英文科学生=英文学を学ぶ学生という図式が薄れ,より時事的,実際的な観点で英語を学ぶようになったので,新語を積極的に増補しているアメリカのカレッジ版辞書のほうがしっくりくるのでしょう。同じオックスフォードでも,最近のラインナップであるNODE(イギリス英語)やNOAD(アメリカ英語)のような辞書のほうが使いやすいと思います。
上級者向けのコンテンツとしては,今述べたネイティブ向け英英に加え,sunnyさんがおっしゃるような英和活用大辞典のような専門家向けコンテンツも必要になってくると思います。和英辞典のかわりに英活を載せるというのは営業上厳しい(和英辞典がないというだけでマイナスイメージになる)でしょうが,EPWINGの英活のような和英インデックスをつけるだけでも有効だと思います。広辞苑+リーダーズ英和+英活+NODE+COTのような機種がポストSR-9200のコンテンツになればいいのですが(^^) これなら,9200のデメリットの一つである発信型辞書の非搭載ということが解消できます。もしメモリに余裕があれば,英活の和英索引に加え,リーダーズにも訳語部分に日本語インデックスをつけ,訳語からひっくり返してリーダーズが引けるようにすれば,グランドコンサイス顔負けの日本最大の「バーチャル和英辞典」ができあがります。SR-9200を使うぐらいの上級ユーザは,もともと和英辞典に頼らなくてもそれなりの英語が書けるでしょうから,学習和英を載せなくても,語数の多い和英(に相当するもの)を載せ,発信向けの細かな情報(前置詞の種類とか)はそこから英活へジャンプさせれば十分だと思います。

一方,今後(きっと)注目されるのは,(私の勝手な読みですが)ローエンド機でも,英語専用機でもない,新たな層を対象にしたモデルだと思います。新たな層というのは,いわゆる早期英語教育の対象となる,小学生をメインにした「お子さま向け電子辞書」です。今度の指導要領から,総合学習の中で,いよいよ小学校にも英語教育の波が押し寄せてきました。幼稚園やそれ以前の子供を対象にした英語教育は日本でもすでにある程度定着していますので,そういう教材は揃っていますが,辞書というものは彼らには必要がないので,今まではほとんどありませんでした。しかし,小学生の場合,国語等と同じくオプショナルで辞書を持たせるのは興味を持たせるためにも有効でしょうから,彼らを対象にした辞書が必要となってきます。今ある中学生用の辞書をもうちょっと易しくしたような辞書がもし電子化されるなら,小学生というマーケットが開拓できると思います。辞書本体はそれほど重厚なものでなくても,発音機能やゲーム,種々のギミックなど,実用を度外視して楽しく英語を学べるようにする仕掛けを搭載する必要があるでしょう。という点では,むしろ一般向け機種よりもCPUの負担が大きくなるかもしれません(^^)

機能面では,そろそろ翻訳機能を搭載した「IC翻訳機」が出てもおかしくないと思います。翻訳というと大げさなようですが,パソコンの翻訳ソフト程度の水準でかまわないので,電子辞書にも搭載されれば,と思っています。何だかんだ言っても学校の英語教育はいまだに文法訳読が主流ですから,翻訳機能がある電子辞書というだけで大ヒットすると思います。

細かな仕様の改悪? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 7月24日(水)22時03分25秒

メーカーさん向けの内容かもしれませんが,最近の新機種で目立つのが,旧機種の仕様を改善するどころか,メーカーさんが意識しないうちに「改悪」になっているケースがよくあるということです。機種を特定して恐縮ですが,具体例をあげます(順不同)。いずれも些末なことなので一般ユーザさんの利用には支障はないでしょうが,私のように,研究目的とはいえ同じメーカーの新旧機種を併用していると,けっこう気になります(^^;;

(PW-9500):単語帳機能で英和などの複合語(2語以上からなる見出し語)を登録したとき,呼び出すとその語が頭に出ない→sea anemoneを登録して呼び出すと,この語が頭に来ないでseaの複合語の冒頭にあるsea airが最初にきてしまう。そのため,どの語を登録したか分からなくなる。PW-9100/6800はこんなことはなく,登録した語が先頭に表示された。

(IDF-4500):IDF-4000や2000Eで備わっているリスト画面でのショートカットキーがきかなくなった。また,他の画面でも,ショートカットキーのついている場面とついていない場面が混在していて戸惑う→単語帳に登録する際のダイアログではショートカットキーが使えるのに,単語帳キーを押した後の選択画面では使えないとか。

(XD-R8100):リスト画面(単語を引いて,戻るキーを押した後の画面)のフォントサイズが,設定に関係なく16ドット(大フォント)に固定されてしまう。XD-S8000などでは英語系コンテンツは12ドットでリストされていたので,R8100になってから一覧性が悪くなった。

(SR-9600/9500/9200/950):履歴が全辞書一括になり,しかも引いた辞書種まで記憶されるようになった→そのため,広辞苑で引いた語をカタカナ語辞典で引き直す際などには使えなくなった。

などなど。

新製品ラッシュの中で… 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月18日(月)10時51分12秒

今年になって急に電子辞書の新製品が相次ぎ,私でも各製品のスペックがこんがらがってしまいます。電子辞書を売ることのプロである量販店の店員さんの苦労も大きいこととお察しします。
…が,商品に関する誤った説明がとても多いのがやはり気になります。以下にあげるのは,すべて私が実際に見聞きしたものです。社名,店名は伏せますが,いずれも,家電量販店としては名の知れた店です。ちなみに,一社だけでなく,複数の量販店が混ざっています。
(セイコーのSR-8000と8100の違いを質問したお客さんに)「搭載辞書はどちらも同じですが,8100は二画面表示や例文検索など,いろいろな機能がついていますので8100のほうが高いです」※8000と8100では機能的には全く同じなのですが。
(SR-9200に関して)「他の機種は10万語あるかないかですが,この機種は100万語以上の単語が入っています」 ※100万語というのがどこから出てきたのか分かりませんが,リーダーズの収録語数は公称で27万です。もしかして,セイコーさんのカタログにある,広辞苑やCOD等すべてを合計した140万語という数字を出しているのでしょうか。語数や辞書の中身に関する説明の誤りは,これに限らず,ここに書ききれないほどあります。電子辞書を担当する店員さんは,ただマニュアルを覚えるのでなく,実際に冊子体の辞書を手にとっていただきたいです。
(カシオXD-S8000の英英に関して)「他の機種の英英はイギリス英語を扱っていますが,カシオの英英は学校で勉強しているのと同じアメリカ英語ですので,TOEFLやTOEICにも役立ちます」(ちなみに,以下はカシオさんを叩いているわけではなく,販売店さんの説明自身を問題にしているので念のため(^^;;) ※何回もここで書いていますが,この説明はいい加減何とかならないものでしょうか。同じような説明を,沖縄,大阪,東京と,私が立ち寄った量販店で耳にしているので,もしかしたら販促マニュアルか何かにこう書いてあるのか,と思いたくもなります。LDCEやLAAD,OALDはイギリス英語とアメリカ英語(に加え,必要に応じてオーストラリア英語等にも)を対等に扱っています。決してイギリス英語オンリーではありません! また,アメリカ英語オンリーの辞書だからTOEFLやTOEICに役立つというのも事実無根です。たしかに,TOEFL/TOEICはアメリカのテスティング協会(ETS)が作っている標準テストであるのは事実ですが,イギリス英語を学ぼうが,アメリカ英語を学ぼうが,しかるべき英語力があればしかるべきスコアがとれます。アメリカ英語独特の表現がたくさん出るとかいうことはありません。こういう変な説明がはびこっているわりには,「(カシオ製品に搭載の)LAADは他書と違い,固有名詞もかなり入っている」という重要な(かつ正しい)事実がおざなりになってしまっています。
(インクリメントサーチについて質問したお客さんに):「この機種(カシオXDシリーズを指さして)ではこういうサーチ(インクリメントサーチ)ができないので,単語を全部タイプしないと引けません」 ※まさかと思いましたが,大手の量販店さんの大きな店舗の店員さんがこういう説明をされています。メーカーさんにとっても,インクリメントがついていないだけで,ここまで事実無根の説明をされてはたまったものではないでしょう。インクリメントがついていても,いなくても,単語を途中まで入れて検索することはできます。ただ,インクリメントなしの機種では,訳キーを押すまでは候補語画面が出ないというだけのことです。こんなことは,各機種をちょっとさわれば素人の人でも分かるのに,電子辞書を売って給料をもらっている店員さんがこれでは困ります。
(PW-M710とPW-9100の電池寿命について):「M710と9100では寿命が倍近く違います。9100のほうが新しいので電池をあまり食わないのです」 ※寿命が違うのは事実ですが,M710は単4が1本,9100は2本使用ですから,倍違うのはあたりまえです。別に9100がとびぬけて省電力というわけではありません。
★以上の例はあくまでも一部です。とはいえ,私が出張中などにたまたま立ち寄った量販店で,必ずと言っていいほどこういう変なセールストークに遭遇するのですから,実際にはかなりのケースがあると予想されます。お客さんのほとんどはウェブで下調べなんてしませんから,店員さんの言葉が唯一の情報です。カシオさんの機種を購入するつもりできた(らしい)お客さんは,インクリメントの変な説明を鵜呑みにして他機種に変えたみたいですし,こういう事例が積み重なれば,せっかく時間をかけて開発した製品の価値が実績に反映されなくなるわけですから,メーカーさんにとっても影響は大きいと思います。
僭越ですが,メーカーさんの方は,ぜひ会社の帰りにでも通勤経路にある量販店に立ち寄り,自社製品のセールストークがどうなっているかを調査されることをおすすめします。場合によっては,素人のふりをして,自社製品と他社製品を指さして,これとこれがどこが違うか,ときいてみてもいいのではないでしょうか。

DATE: 1月 7日(月)16時15分44秒
TITLE: 耐久性のある電子辞書をめざして

この掲示板は各電子辞書メーカーさんもよくご覧下さっているようなので,メーカーさん向けに書かせていただきます(^^)

電子辞書の耐久性に関してこの掲示板でもよく話題になりますが,もうあと数年もしたら英和,和英,国語を搭載したフルコンテンツ電子辞書が1万円を切るぐらいで買えるようになるでしょう。その暁には(電卓がそうであったように)電子辞書も英語科の学習指導要領の中に組み込まれ,学校教育現場で一括購入,なんて時代がきっときます。そこで問題になるのは耐久性です。元気盛りの中学生や高校生が毎日学校へ電子辞書を持っていく時代になったら,今の耐久性ではメーカーを問わず不安です。以下のような仕様を搭載した「学校用モデル」をご提案したいと思います。

3年間保証:破損,盗難,紛失等を含め,3年間(=中高の在籍期間)の保証をつける。保険料も筐体価格に組み込んでおくとか。大手量販店が追加料金を取って実施しているようなもの。故障や破損は原則無償。盗難,紛失は何%かを自己負担とか。もっとも,その前に,こんな太っ腹なことをやっても採算がとれる程度まで耐久性を向上する必要があることは言うまでもありません(^^)

頑強な筐体:現行のクラムシェルタイプ(折り畳み式)にしないで,SIIの海外モデルの一部にあるような,スライド式のハードカバーをつける。サイズ的に液晶解像度は犠牲になるが,最低限現行のSR-950 or IDF-2000E程度の解像度が実現できれば不自由しない。筐体寸法は多少大きく,重くなってもいいから耐久性を最優先。液晶は2層式(液晶パネルの上にもう1枚パネルをはめて割れにくくする)。上記の耐久性でかかるコストは液晶画面のスペックを落とすことで相殺させる。液晶解像度を低くすれば故障の度合いも減る。解像度を落としたためにネックとなるスクロールの煩雑さは,ジョグダイヤルのようなものをつけてカバーする必要があるかもしれない。

キーボードの耐久性向上。キートップの大きなプラスチックキー(SIIなら昔のTR-9500,TR-700ぐらいの大きさ)で打ちやすく。キートップの文字(アルファベット)も大きくし,SIIのUDシリーズのようにキーの種類別に色を変える(視力の弱い生徒,色弱の生徒への配慮)。現行のオフィス電卓程度のクリック感を実現させる。筐体の全面は,キーを含め抗菌仕様。可能であれば,SD-7200のような合成音声でかまわないので,画面上の表示情報すべて(日本語含め)を発音できるとよい。一般の生徒ならSD-7200のような英語フルボイスの発音機能として使えるし,目の不自由な生徒(盲学校など)にもハンディなく使える。

省電力設計:重さを犠牲にしても電池が長く持つように(ふつうの生徒は電池交換のような面倒なことはしたがらない)。単3を4本ぐらいでもいいから,300時間程度持つようにはできないだろうか? 単純計算で,1日3時間実使用(高校生にとってこれはかなりヘビーな使い方)しても,100日持つ計算になる。平日だけ使うと仮定すれば実質4ヶ月(≒1学期間)電池交換不要。大半の生徒(1日1時間使用と仮定)は,300日(≒1学年)電池交換不要。あわせて,電池蓋が落とした際などに外れて紛失しない配慮も必要(ネジで固定するとか)

生徒の学年,レベルに応じた表示情報コントロール機能:ジーニアス搭載なら,「簡略訳語モード」(発音記号と訳語(選択制限や訳語中のカッコ書き等一切取り払う)のみ。例文は例文アイコン選択で表示),「詳細訳語モード」(発音記号+カッコ書きや選択制限を含めたすべての訳語のみ。例文はアイコンで),「フルコンテンツモード」(現行の電子辞書と同じく,語法解説等含めた全情報を表示)の3モードを設定で切り替えられるようにする。簡略訳語モードは豆単がわりに使えるし,大学へ入ってからはフルコンテンツモードで現行の電子辞書と同等の使い方ができる。

単語帳,単語テスト機能:シャープのPW-6500のような感じ。単語テストは,ジーニアスの星印毎にランクわけし,希望するランクの単語のみを抽出する機能と,ユーザが単語帳に登録した単語だけをテストする機能(定期テスト等での勉強用に便利)の両方があるとよい。キャパシティーを増やし,500語ぐらい記憶できると便利なのでは? 登録内容は不揮発性メモリー(内蔵フラッシュメモリのような)に記憶させ,記憶内容喪失を防ぐ。

収録コンテンツ:XD-S1200+αのような感じ。英和,和英,国語(新明解ぐらいの語数でよいのでは?),漢和。英英は必須ではないが,難関高校の生徒向けにあると便利。ホームステイ等の生徒向けに,通貨や各種単位換算のできる電卓もつける。できれば世界時計もあれば便利。

その他:ネームラベルなどを同梱する。


理想のコンテンツとは(>autumnさん) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日:11月23日(金)11時32分53秒

>ところで、質問ですが、Sekkiさんが もし英語を専門に使う人のための電子辞書を作るとした
>ら、どんな辞書を入れたいと思いますか。

このご質問は実に鋭いところで,私(=英語の研究者)の視点と,英語を道具として(ビジネス等で)使っている人ではまた違ってくるでしょうから,ぜひ皆さんのお考えもきかせていただきたいと思います。おそらく,私だけでなく,この掲示板にアクセスしてくださっている各メーカーさんにとっても最大の関心事ではないでしょうか。

個人的には,以下のパターンでしょうか

(パターン1)

ジーニアス英和大辞典・ジーニアス和英辞典・LDCE・Longman Language Activator

→SR-8100の後継機のようなイメージです。ジーニアスの大辞典は,大辞典とはいっても実質は中辞典+αのような感じで,文法記述や例文も多いので,リーダーズよりも広範囲の層に受けると思います。Activatorは知る人ぞ知るLongmanの隠れた名著ですが,ノンネイティブ向けの類語辞典としては最高傑作だと思います。LDCE(できれば,文化情報も含めたLongman Dictionary of English Language and Culture: LDELCのほうがいいですが)とActivator,ジーニアスの英和,和英のすべての例文を例文検索でサーチできるようにすれば,あまり使い物にならないジーニアス和英の欠点を補えると思います。※このクラスの機種を買う人は,基本的に和英辞典に頼らなくてもそこそこ英語が書ける人を想定しているので,和英が貧弱でも,例文検索により「お手本」を示してあげれば満足すると思われます。国語辞典も入っていればベストでしょうが,上記のコンテンツの量からすれば余裕がないと思います。

(パターン2)

リーダーズ英和・英和活用大辞典(以上研究社)・Roget II thesaurus・大辞泉・類語例解辞典(以上小学館)

→SR-9500と9200の中間帯のユーザを想定。翻訳者,通訳などで,英英系は必ずしも必要ではないが,語数の多い英和と発信情報(英語を書くときに役立つ情報,例文)が豊富な辞書,日本語表現にも役立つ辞書が必要な人を想定しています。和英辞典は入れていませんが,英和活用大辞典が英語を書くときに役立つ(共起する前置詞等を豊富な例文で示している)ので,代用できます。CD-ROM版の「英和活用」のように,日本語部分にインデックスをつけて和英として使えるようにするのも手です。日本語系辞書は,類語例解辞典(日本語のシソーラス)を入れてみました。その関係で,国語辞典も小学館のものをつけています。プロの間では,広辞苑は相当評判が悪いので,最近出た大辞泉はそれを補ってくれるはずです。Roget's IIはおまけです(コンテンツ量からして,LongmanやOxfordの本格的なthesaurusを載せるスペースはないでしょうけど,英語のthesaurusはないよりはあったほうがいいだろう,ということで(^^)

(パターン3)

グランドコンサイス英和・新グローバル英和・グランドセンチュリー和英・大辞林

→SR-9100のダブル英和をイメージし,三省堂系でかためてみました。三省堂の英語辞書は歴史があり,地味ですがよくできています。国語系も,いい加減に右も左も広辞苑というのは何とかならないかと思い,非広辞苑系の中では一番シェアがある(らしい)大辞林を入れてみました。上記の3パターンの中では,もっともエントリー層を対象にした内容だと思います。

※各社の電子辞書のコンテンツを見ると,英和・和英は同一出版社のものをバンドルするという傾向があるようなので,それにあわせてみました。英和と和英を別々の出版社にできればもっといろいろな選択肢が出てくるのですが…。

皆さんはいかがでしょうか。

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