セイコーインスツルメンツの新製品情報・インプレッション
(2004年分)

※ 元の出典(電子辞書掲示板)はこちらです。

Sekky's Websiteへ戻る

(ご注意)

他のメディア(ウェブサイト,掲示板,メーリングリスト,メールマガジン等)で引用する際は,出典のURL (http://6627.teacup.com/sekky/bbs)と書き込み者名を必ず明記してください。


情報系コンテンツ 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月18日(水)13時13分26秒

T4120ではパソコン用語辞典や略語辞典が新搭載されていて,高校モデルなのになぜ,と思ったのですが,高校の新指導要領で新設された情報科の授業を視野に入れているようです。シャープさんのPW-9300にもパソコン用語辞典が搭載されているので,単に一般向けのコンテンツを併載したというわけでもなさそうです。「情報科」がどういう性質のものか不勉強で分からないので何とも言えないのですが,ネットでいろいろ見た限りでは,いわゆるパソコンスクールのように実践オンリーのものではなく,学校の教科ということもあり,道具としてパソコンを使って自己表現や調べ学習などをすることや,ネチケットや情報倫理など,情報化社会に生きていく上で基礎となる常識や人間性を植え付けることも視野に入っているようです。パソコン用語辞典そのものが情報科の学習に直結しているというわけではないでしょうが,最近では大学1年生の共通教育科目でもコンピュータリテラシーがらみの科目を必修にする大学が多いので,高校生向けの学習コンテンツという枠を超えて,コンピュータ社会に生きる人たちの必須レファレンスとして,ターゲットユーザを問わずに必要とされるコンテンツなのかもしれません。

COT? 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月18日(水)11時18分5秒

今気づいたのですが,T4120にはCOTまでついています。個人的には,T4020のLongman Essential Activatorあたりが高校生向けの類語+英英としてはちょうどよかったと思います。LDOCE4版が電子化されるまでの過渡的な措置なのかもしれませんが,一般の上級者でもCOTを常用して使いこなすのは容易ではないので,これは一考を要すると思います。COTは明らかに「ネイティブ向けの」thesaurusなのですから。ネイティブ向け英英であるCODを高校生向けモデルに搭載する必要がないのと同じです(^^;; オックスフォードで固めるのであれば,Word Power英英とLearner's Word Finderあたりのカップリングでしょうか。Word Finderは厳密にはthesaurusではなく,英作文支援辞書のようなものですが,高校生や大学初級生ならむしろこのほうが使いやすいと思います。

SR-T4120 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月18日(水)11時07分21秒

高校生向け製品という位置づけのようですが,電子辞書全体の中でも新機軸がいろいろあります。

・ダブル国語辞典搭載:デスクサイズの国語辞典と常用版のものを両方搭載したのは初めてです。
・明鏡+α:明鏡国語の新搭載だけでなく,冊子体明鏡の用例を5000ほど増補し,類語検索もできるようになっています。類語検索は,日本語大シソーラスのようなスタイル(収録語数は全く違いますが)で,単語が羅列されるだけです。ですから,そこから明鏡なり,広辞苑なりにジャンプするということが前提になっているようです。明鏡は,国語辞典にしては用例がもともと多いので,それに加えて5000例文増補というのは,ちょっとした日本語の例文コーパスとしても使えそうです(例文検索ができないのが玉に瑕ですが)。

プレスリリースにもあるように,広辞苑+明鏡+古語+漢和+マイペディアのカップリングにより,日本語系コンテンツが従来機にないほど充実しているのは大きな特徴でしょう。国内の日本語学校,別科等での日本語教師や,青年海外協力隊等での日本語指導ボランティア,海外大学のAsian Studies Department等での日本語教師など,日本語教育市場へも展開できる数少ない電子辞書だと思います。明鏡搭載は言うまでもなく,日本史事典や古語辞典といった,一見高校の学習向けコンテンツでも,海外で日本語を教える人や日本事情のコマを持っている人には役立つと思います。

その一方で,どのターゲットに対して「日本語系コンテンツ充実」という点をアピールするかという点が今一歩明確でない点も感じられます。上級機を続けて出してきたセイコーさんとしては,T4120はT4020の後継機として高校生相手に向けた機種として出したというのがメインなのでしょうが,一方で,パソコン用語やエレクトロニクス略語辞典が入っていることからも,「一般向けの日本語重視機」としての位置づけも狙っているようです。この両者をターゲットにしようとすると,他社なら多コンテンツタイプの機種を作るのでしょうが,T4120の場合,コンテンツ数を抑えて2種類の位置づけを持つ機種にしているため,コンテンツバランスに難があることは否めません。

高校生向けを前面に出すのであれば,パソコン用語やエレクトロニクス略語よりは,従来の電子辞書(高校生モデル含め)で弱い理科系科目のコンテンツ(化学,物理,生物などの(一般向けの)小辞典など)を入れた方が有益ですし,理科系の大学に入ってからも(最初の頃は)十分に使えると思います。逆に,一般向けの日本語重視機という点なら,類語羅列タイプでない類語辞典(小学館類語,角川類語など)を入れるということも考えられます。「日本語系辞書をとくに充実」ということを標榜するのであれば,英語専門機で搭載されている小学館類語はぜひ搭載してほしいところだと思います。また,一般層と高校生の双方をターゲットにするのであれば,IT関係の用語辞典よりもカタカナ語辞典を入れた方がより汎用的に使えると思います。

T4120は同一コンテンツの学校(中高?)販売専用モデルもあるようですが,一般市場向けのT4120には小学館類語やカタカナ語を搭載し,逆に学校販売モデルは理科系分野の用語集等を搭載するなど,付加コンテンツで多少のバリエーションを持たせてもよかった気がします。

#高校(一貫校は中学も?)新入生の方は,セイコーさんに限らず,各社から(公式のサイトには出ていない)高校斡旋向けモデルがあり,学校で販売される場合もありますので,学校に確認したほうがいいと思います。

(速報)SII新製品(SR-T4120) 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月18日(水)10時29分18秒

噂の明鏡搭載機です。

http://speed.sii.co.jp/pub/corp/pr/newsDetail.jsp?news=916


↓追加 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月 6日(金)10時58分27秒

あと,マイペディアの「テーマ別事典」「ジャンル別事典」の区別も取説には書いていないのでよく分からない人が多いと思います。たしか,「テーマ別事典」は全見出し語の中から特定のテーマ(話題)に関係した語を抜粋していたはずで,「ジャンル別事典」のほうは,全見出し語を20のジャンルのどこかに組み入れていたと思います。そのため,ジャンル別事典にはすべての見出し語が入っているはずですが,テーマ別事典のほうにはすべては入っていません。

それ以外では,Wordbankの表記に関する説明が全くないのも気になりました。たとえば,Spokenの文で,冒頭に「--」がついているものといないものがあり,その違いは何なのだろうとか,会話文の中でカッコ内に入っている語はどういう意味を持つのか(会話分析では,不明瞭な部分をカッコにしたり,言いよどみや無意味な繰り返しをカッコに入れるとか,相手の合いの手(専門的にco-constructionとよばれるもの)だったりとか,文字化する際の流儀は統一されていないことが多いです)とか,細かな点ですが,初めてこういうコーパスに触れた人は戸惑うのではないでしょうか。

また,コーパスという性質上,実在の個人名等,プライバシーに関わる内容が含まれるのは避けられませんが,個人名は{Male(Female)PersonalName}というタグを付けて伏せてあるようです。T6700では,ご丁寧にこのタグまでインデックスに入っているので,例文検索でmalepersonalname(スペースを空けないで)と入れると,手紙文等が一気に検索できたりします(^^) ただ,その割に会社や個人の住所やメールアドレス,それどころか,電話番号までそのまま入っていたりします。これは元データの問題なのでしょうが,個人名を伏せるよりも先にこのようなデータを伏せたほうがいいと思いますが(^^;;

>sunnyさん 投稿者:Sekky@管理者  投稿日: 2月 6日(金)10時39分55秒

>アルミの外側の強度も安心感があります。

個人的には,T7000, T6700の液晶裏側のデザインは工具箱のような感じがしてどうもなじめないのですが,もしかしたらあのように波打っているのは強度を高めるための工夫なのでしょうか。

>特に英活やWordBankなどはあまり知られていない辞書なので、「こういう風に使うと
>こういうことができる」というのを教えていただくといいですね。

T6700やT7000の取説は,コンテンツが増えたこともあるのでしょうが,背表紙に機種名が書いてあるほど分厚いものになっていますね。しかし,内容的には一般的な使い方に終始していて,こういう使い方ができるという活用術のようなものがないのは残念です(公式の取説にそういうレベルの記述を期待してはいけないのでしょうが)。ですから,すでにそのコンテンツ自体を知っている人にはいいのですが,初めて電子辞書で使う人には分かりにくい面が多々あります。

たとえば,英活の「連語検索」と「例文検索」の違いです。「例文検索」は英活の38万例文のすべての単語を対象に検索します(従来機種の例文検索と同じ)が,「連語検索」は,例文の中の連語部分(イタリック,ゴシックになっている単語)の単語のみが検索対象になります。そのため,同じキーワードを入れても,例文検索よりもヒットする数は少なくなります。そのかわり,連語パターンの指定ができるので,「動詞+前置詞」を指定することで句動詞だけをピックアップしたりということができます。そのほか,連語パターンの「副詞1」「副詞2」というのも分かりにくいですね(これは冊子体の問題ですが)。

それ以外だと,WordbankのSpoken, Writtenもそうかもしれません。これは,WordbankのもとになっているBank of Englishのコーパスの種別(書き言葉コーパスか,話し言葉コーパスか)の違いであり,いわゆるフォーマル,インフォーマルの意味ではありません。ですから,Writtenになっている例でも,その例文が小説などからとられている場合,たまたま小説の中の会話のところがひっかかると,メディアは書き言葉(だからWrittenになっている)でも,英文自体は(作られた)話し言葉だったりします。また,Spokenになっていても,改まった場面で話されている場面だと,堅い英語も多く入っています。

ついでですが,Wordbankは90年代以降の生英文という点では共通しているようですが,500万語もあるわけですから,元の英文の時代的差異が多少あります。コンピュータ関係の用語をいろいろ入れて遊んでみると面白いですが,DVDを入れても出てきますし,逆に(ソフトの広告からの抜粋なのでしょうが)動作条件がMS-DOS version 2.11 or higherというような,10年以上前のものと思われるものもあります。

Wordbankに入っている用例は,例文検索したときなどはその前後の文も読むとおもしろいと思います。例文検索のリスト画面では前後が読めないので,一旦単語帳に登録し,登録した例文を呼び出した状態で前見出し,次見出しキーを押すと,元の英文の前後を読むことができます。日本にいながらにして英語圏のチラシや新聞などの一部を垣間見ることができるのでおもしろいですし,例文検索のために使うのでなく,ペーパーバックを読むような感覚でWordbankの英文自体を読むという使い方もできるかもしれません。

>今わからないのは例文検索で、語順を制約して検索できないかなということです。

これは残念ながらできません。英活で前置詞+名詞の連語パターンを指定し,in&caseでやれば絞り込めますが,これだと逆に少なすぎます(in caseが連語として載っている例しか出てこないので)。

>ただpoulainさんがおっしゃっているように、ふたがもう少し開いたほうが、いいと
>思いました。

教卓の上に置いて,立って使う場合などはMシリーズのようにフルフラットに開いた方が明らかに使いやすいですね。