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XD-H9100(カシオ)の詳細レビュー
(SR-T7000/T6700との比較を含む)

2004年3月8日作成・暫定版

関山 健治(沖縄大学)
sekiyama.kenji@nifty.ne.jp

(C) Kenji SEKIYAMA, All Rights Reserved.

※このレビューは,上記機種に関して,実際の使用感をもとに構成したものです。製品の購入を考えている人はもちろん,各電子辞書メーカーさんの製品開発の際にも何らかのご参考になれば幸いです。

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※以下のレビューで使われている画面写真は,XD-H9100とSR-T7000(T6700)の実機の画面をスキャナで取り込んだものです。SR-Tシリーズは,構造上キーボード側と液晶側筐体がフラットにならない(180度開くことができない)ため,スキャナのステージに載せた際にステージと液晶画面が平行になりません。これにより,露光がうまくいかないため,全体的に暗めの画面になっています。これは,筐体の構造上によるものであり,液晶画面自体の視認性等とは無関係です。

★外観

上の写真はフタを閉じた状態のもの(左:XD-H9100,右:SR-T7000)です。SR-T7000は液晶裏側のアルミ部分が波状になっています。強度を上げるためなのか,単にデザイン上の理由なのか分かりませんが,旧機種(SR-T6500など)のほうがよかったような気はします。SIIのロゴがエンボス加工(と言うのでしょうか?)になり,目立たなくなったのは評価が分かれるかもしれません。いかにも電子辞書という筐体でないので,持ち歩きやすくなったという人もいるでしょう。


★寸法

厚さは,筐体の奥と手前ではかなり違い,どちらの機種も奥の方が(電池の収納スペースの関係で)ちょっと厚くなっています。とくにT7000はキーボード側筐体の奥(ヒンジのまわり)がかなり厚いので,机上に置くと手前に若干キーボードが傾き,打ちやすくなっています(パソコンのキーボード裏側のスタンドと同じような効果)。H9100は,キーボード側はそれほど厚くなっていませんが,フタの側も奥の方が多少分厚くなっているため,(上の写真でも確認できますが)波打った筐体になっています(T7000はフタ側は厚さの変化はほとんどありません)。もしかしたら,液晶裏側をフラットにしないことで圧力がまともにかからないようにするといった効果があるのかもしれません。

長さ,奥行とも,XD-H9100のほうが長くなっています。とくに奥行はかなり長いですが,その分キーピッチにゆとりがあり,フルキーボードモデルとはまた一味違う押しやすさがあります。

奥行の比較(上:XD-H9100,下:SR-T7000)


★液晶解像度

どちらの機種も,解像度自体は従来機と同じクォーターVGA(320*200)です。XD-Hシリーズでは,フォントサイズを文字サイズキーのワンタッチで変えられるようになりました(SR-Tシリーズはすでに実装済)。

SR-T7000は,あらゆるモードで12ドット表示ができますが,XD-H9100ではプレビュー画面や単語帳,ヒストリー画面,国語系コンテンツ(広辞苑,カタカナ語,漢字源,パソコン用語)など,12ドット表示ができないモードがかなりあります。というより,H9100で12ドット表示のできるモードは,英語系コンテンツの訳語フル画面のみであるといったほうがいいでしょう。そのため,解像度が同じでも一覧性は両機種でかなり違います。とくにプレビュー画面で12ドット表示ができないのは致命的です。G大などは,語源記述が冒頭にあるため,プレビュー画面も語源記述で埋まってしまうことが多く,プレビューの役割を果たしていません(^^;;(左:SR-T7000,右:XD-H9100) T7000はリスト8行+プレビュー7行(12ドット表示の場合),H9100はリスト6行+プレビュー4行なので,これに関してはSR-Tシリーズが明らかに有利です。


★キーボード

XD-Vシリーズと同じような打感です。旧機種(XD-Rシリーズ)にくらべ,筐体が薄くなったからかもしれませんが,若干ストロークが浅くなっています。SR-Tシリーズのフルキーボードとはさすがに比較できませんが,電卓タイプのキーボードとしては申し分ないと思います。XD-Vシリーズで感じられた,キーを斜めから押したときの引っかかりもほとんどありません。

コンテンツの選択キーは横長の細いキーになりましたが,思ったよりも押しやすいです。せっかく細いキーにしたのですから,コンテンツキーを2段にして,ワンキーで選択できるコンテンツを増やしてもよかったと思います。ただ,このキーは構造上の問題がありそうで,個体差かもしれませんが,私の筐体では英英キーが常に左側に傾いています。動作上は全く問題ありませんし,打感にも全く影響はありませんが,見た感じでちょっと気になります。

Sekkyの視点(^^)
XD-Hシリーズでは単語帳機能が新設されたため,単語帳キーが機能キー群(アルファベットキーの直下)の右端に新設されています。その結果,機能キーが旧機種より1つ増え,旧機種では空いていた訳キーの直上にもキーがあります。それはいいのですが,単語帳キーを右端(旧機種ではズームキーのあった位置)にしたため,既存の機能キーが1つずつ左側にずれてしまいました。旧機種のスーパージャンプキーの位置にあるキーがH9100では文字サイズキーになり,旧機種のヒストリーキーの位置にあるキーが,H9100ではスーパージャンプキーになっています。そのため,ジャンプ操作をする際に文字サイズキーを誤って押してしまうケースが非常に多いです。こういう場合,単語帳キーを新設された訳キー直上のキー(H9100ではヒストリーキーになっている)にアサインすれば,旧機種とほぼ同じレイアウトになり,押し間違えることがありません。

★コンテンツ

XD-H9100とSR-T7000,T6700で比較してみました。H9100は直接的には生協モデルのSL9000に近いコンセプトの機種ですが,T7000にもOCDは入っているので,T7000とも競合しそうな機種です。日本語類語,ネイティブ向け英英という,実務ユースをターゲットにしたコンテンツを入れているT7000, T6700は,TOEICコンテンツ搭載とあわせて,学校現場以外でも広くビジネスパースンにアピールできそうです。一方,H9100はActivatorやパソコン用語辞典(=高校の「情報」科がらみ)搭載ということからも,高校上級から大学生あたりをターゲットにして,そのために高校,大学の教員受けしそうな(学校教育現場にかなり特化した)コンテンツチョイスになっています。日本市場でのシェアが大きいロングマン系で英英を固めたり,和英に新刊のG和英2版を入れるというのも,そういう背景が多少はあるのでしょうか。

SR-T7000 SR-T6700 XD-H9100
英和 G大
リーダーズ
+プラス
G3
和英 研中
ジーニアス
英英 LAAD
COBUILD
OALD
COD
連語 英活
OCD
英語類語 COT
CCT
Activator
Roget's
日本語類語 小学館類語例解
英会話 とっさのひとこと
TOEIC(R) TOEIC(R)大戦略
カタカナ語 旺文社
学研
百科 マイペディア
PC用語 日経
漢和 漢字源
コーパス Wordbank

★新機能・改善された機能

複数辞書検索

搭載辞書すべてをいっぺんに検索し,その結果をリストする機能です。どの辞書で引けばいいか分からないときに便利です。もっとも,XD-Hシリーズの複数辞書検索は,「完全一致でしか引けない」(引きたい単語のフルスペリングを正しく知らないと却下される)ということや,インクリメンタルサーチがきかないという点で,各辞書ごとの検索よりも使いにくくなっています。これはシャープPW-9500のレビューで指摘したことと全く同じです。

Sekkyの視点(^^)
本来,複数辞書検索は,電子辞書というデジタルな世界でユーザの曖昧な検索要求を満たすために備わっているはずです。「この単語をG大で引きたいが,出ているのだろうか? もし出ていなければリーダーズでもいいから意味を知りたい」というような場合に使うものですから,通常検索以上にアバウトに検索できることが望まれます。しかし,XD-Hシリーズの複数検索は,完全一致で検索され(前方一致でなく),しかもインクリメンタルサーチがきかないため,正しいスペリングを知らなければ使えません。シャープさんの最近の機種のように,前方一致で検索できることは必須でしょう。

複数辞書例文検索

これは他社製品の例文検索と同じで,複数のコンテンツの例文をいっぺんに検索する機能です。検索結果は辞書ごとに分かれて表示されます(上の写真)。辞書間の移動は左右の矢印キーでもできますし,モードキーを押すことでも切り替わります。上の写真には出ていませんが,アクティベータの右隣にとっさのひとことのタブもあります(右矢印キーで出てきます)。また,例文検索をして最初に表示させる辞書は設定画面で変えることができます。ですから,英語に自信のある人はアクティベータのような英英系コンテンツをデフォルトにするなど,好みにあった設定ができます。例文検索の足切り数も1000になり,膨大な例文がヒットした場合も途中で切られることが少なくなりました。できれば,SR-Tシリーズのようにヒット件数まで表示されればよかったのですが…。スクロールする際,リストの長さが事前に分かっているか,分からないかで心理的にも大きく違うでしょうから。

Sekkyの視点(^^)
辞書ごとの切り替えは左右の矢印キーで行うほかに,切り替えたい辞書のモードキーを押すことでも行えますが,これは混乱を招きそうです。たとえば,キーワードを入れて上記の一覧画面になったとき,新たに(例えばリーダーズで)単語を検索したいとします。この場合,モードキー(この場合リーダーズキー)を押すことで例文検索の画面がキャンセルされ,押した辞書の入力画面に戻ることを,多くの人は期待すると思います。しかし,XD-Hシリーズではモードキーを押しても例文検索の辞書種が変わるだけで,初期画面(入力画面)には戻りません。また,クリアキーもないため,どうやってこの画面をクリアすればいいのか,戸惑う人も多いのではないでしょうか。メニューキーを押してから検索したい辞書キーを押すとか,戻るキーを何回か押すとか,一旦電源を切り,モードキーで電源を入れるといった方法でないと,画面がクリアできません。左右の矢印キーで検索対象辞書が切り替わるだけで十分なので,モードキーに同じ役割を与えなくてもいいように思います。

XD-H9100ではG大,LAAD,英活,アクティベータ,とっさのひとことの5種類の辞書が例文検索の対象になります(G和英やリーダーズは対象外)。しかし,上記の画面を見ても分かるようにタブは4つしか表示されないため,「とっさ」のタブが(矢印キーで表示させない限り)見えません。タブをもう少し小さくして1画面にすべての辞書種がおさまるようにできないでしょうか。また,シャープさんの機種のように,ヒットした例文がゼロの辞書はタブを表示させないようにすると画面がすっきりすると思います。

複数辞書成句検索

これはおそらくソニーさんの機種以外はない機能かと思いますが,例文と同じく,成句(イディオム)も複数の辞書をまたいで検索する機能です,G大,リーダーズ,LAADが検索対象になります。G大とリーダーズはいずれも大規模な英和辞典ですから,成句も相補って検索できると便利です。G大は収録語数はリーダーズ+プラスにくらべて少ないですが,従来の成句よりも枠を広げ,会話の決まり文句のようなもの(いわゆるレキシカルフレーズ)も成句に多く入っていますので,G大に載っていてリーダーズに出ていない成句は多いです。そのため,成句検索の際に両方をいっぺんに検索できるこの機能は,大規模英和を複数搭載している機種では非常に便利です。SR-T7000にはない機能です。


ヒストリー

最大の特徴は,ヒストリーにもプレビュー画面があるということでしょう(上の写真)。たしかに,ヒストリー機能を使う場合は,以前に検索した単語をど忘れして引き直すというケースが多く,プレビューがあればそれだけで用が足りてしまうこともよくありますから,この仕様は評価できます。

Sekkyの視点(^^)
ヒストリーは,表示は辞書ごとに分かれて(セイコー製品のように全辞書一緒に表示ではない)います。たとえば,G大モードでヒストリーキーを押せばG大の語のみがリストされます。しかし,記憶容量は全辞書合計で1000語となっていて,これはセイコー機種の仕様と同じ(記憶語数は違いますが,全辞書合計という点は同じ)です。表示が辞書ごとなのに,記憶容量は全辞書合計でカウントするとどうなるのでしょうか。たとえば,(極端な話ですが)G大で5語連続して検索したとします。その次に,広辞苑で995語連続して検索したとします。この時点でヒストリーには限界いっぱいの1000語が入っています。広辞苑モードでヒストリーキーを押せば,先に登録した995語がずらっと出てきますが,G大モードでヒストリーを見たら,5語しか出ません(当たり前ですね)。それでは,この次に広辞苑で別の語を検索したとします。ヒストリーは,限界を超えると先に登録したものから順に消えていきますから,G大の5語のうち,もっとも最初に検索した1語が消えることになります。何が言いたいかというと,G大のヒストリーにはごくわずか(5語)しか入っていなくても,他のコンテンツで膨大な検索をしていると,そのわずかな語が消えてしまうこともあるということです。つまり,ヒストリーのリスト画面で,見かけ上,まだ余裕があるように見えても,いつの間にか消えてしまう危険があるわけです。これは,とくに検索頻度の低い辞書モードのヒストリーでよく起こりそうな罠です(実際に試したわけではないので,スペックからの類推ですが)。#XD-Hシリーズのヒストリーは,辞書ごとにわけてヒストリーを表示しているのに,全辞書共通で検索順を判断して古いものから消すという不思議な仕様です。内部的に,全辞書共通で検索語の新旧の管理をしているのなら,ヒストリーの表示も「全辞書共通(セイコー式)」と「辞書ごと(XD-Hシリーズ式)」かを設定で選べると柔軟さが増すと思います。

ジャンプ

変化形に対応しました。そのため,たとえば(辞書の見出し語にない)playedをキーワードにしてジャンプした場合,従来機ではplay周辺の見出し語リストが出てくるので,その中からplayを探し出す必要がありました。しかし,H9100ではplayedをキーにすると自動的に原形を判別し,playがジャンプ先の候補に出ます。これを選ぶだけで自動的にplayにジャンプできます。ただ,この原形を判別するアルゴリズムはまだまだ未成熟で,純粋にスペリングの文字列だけ見て判断しているようなので,一見変化形のように見えて実際は変化形でない語でも,勝手に(あるはずもない)原形を推測してしまいます。以下の写真はdinnerにジャンプしようとした場合ですが,XD-H9100ではdinという全く関係ない語までリストされてしまいます。おそらく,thinの比較級がthinnerであるというような規則を過剰適用しているものと思われます。

XD-H9100でdinnerにジャンプしようとした場合:dinという,dinnerとは全く関係ない語までリストされている。



SR-T7000でdinnerにジャンプしようとした場合:関係ない語は出ていない。

Sekkyの視点(^^)

上記の件とは別ですが,XD-Hシリーズでは,ジャンプした後で次見出し,前見出し等で前後のエントリーに移動できないという致命的な問題点があります。たとえば,辞書の中に出てきたNew Jerseyという語にジャンプしたいとします。SR-T7000の操作系はもっとも秀逸で,Newにカーソルを合わせるだけでNew Jerseyもジャンプ先候補に出ます(分離複合語へのジャンプ機能)。XD-R/V9000では,Newにカーソルを合わせると,Newの周辺の見出し語リストが出てきます。そのため,リストをスクロールしてNew Jerseyにアクセスできます。T7000よりはスクロールの手間がかかる分,面倒ですが,それでも目的は達成できます。SR-T6700では,Newにカーソルを合わせてもNew Jerseyはリストされず,newへのジャンプになります。XD-R/V9000と違い,リスト画面でなく,訳語表示画面になるので,前見出し,次見出しキーで前後の語にアクセスすることは可能です。時間はかかりますし,1語ずつ繰っていくので非常に面倒ですが,それでもNew Jerseyにはたどり着けます。しかし,XD-H9100では,ジャンプ先候補に出た単語にしかアクセスできません。Newにカーソルを合わせてジャンプすれば,候補にはnewしか出ません。他機種のように前見出し,次見出しキーで前後に移動できないので,New Jerseyのような分離複合語へはジャンプ自体ができません。明らかに,変化形対応のジャンプに仕様変更した際の副作用で,これならまだXD-R/V9000のジャンプのほうが,はるかにまともです。G大の場合,分離複合語は主見出しの中に追い込まれているので,newにしかジャンプできなくても,複合語キーを押せばアクセスできますが,リーダーズはこれができません。


例文検索,成句検索モードへのジャンプ

これは非常にユニークな機能で,ジャンプ先の候補に,辞書だけでなく例文検索,成句検索のモードを選ぶことができます。たとえば,「今年で4年間の履修課程を修了した」と言いたい場合,「履修」を和英で引き,「履修課程」がcurriculumであると確認したら,curriculumにカーソルを合わせてジャンプし,候補に出てくる「例文検索」を選ぶと,curriculumをキーにして例文検索が行われ,その結果がリストされます(例文検索モードに切り替えて検索し直さなくてよい)。その中にはcomplete a four-year curriculum(英活)のような例文もありますので,英作文をする際にこの機能をうまく活用すれば効率も上がるのではないでしょうか。

成句検索モードへのジャンプは,英英やActivatorで検索した成句を英和で引き直す際に便利です。たとえば,stay (somebody's) handというイディオムをLAADで引き,英和で引き直したい場合,従来機だとstayかhandのどちらに成句が出ているかを推測し,まずその語にジャンプし,成句キーで成句エントリーを見る必要がありました。しかし,XD-H9100では,成句検索と同じで,ジャンプの際にもどの語に出ているかということを意識しなくても,stayかhandのどちらかを選んで成句検索モードへのジャンプをすれば,自動的に複数辞書成句検索モードに移行しますので,簡単に引けるようになりました。

Sekkyの視点(^^)

この2つの機能は他社製品にも全くない機能で,カシオさん独自のアイデアによるものでしょう。操作性も問題なく,XD-Hシリーズのウリの一つと言えます。

単語帳

電子辞書メーカーの中では最後発で,今回のXD-Hシリーズでようやく搭載されました。キャパシティは全辞書合計で1500語です(辞書ごとの制限なし)。他社製品は最大で1000語なのでかなり多いです。

XD-Hシリーズの単語帳は,各辞書ごとに表示されるのではなく,英語系辞書単語帳,例文帳(例文検索で登録するとここに入る),成句帳(成句を登録した場合),コロケーション帳(英活のコロケーション検索で登録した場合)…など,7チャンネル(以下の写真)に分かれています。各単語帳に登録された語の並び順は,設定で登録順(新しいものが一番上)か,abc/50音順かを選ぶことができます。

Sekkyの視点(^^)
単語帳の「見せ方」はメーカーによって様々です。jSR-TシリーズやシャープPWシリーズは,辞書ごとにきちんと表示を分けていますが,逆にキヤノン,ソニーの単語帳は,すべての辞書を同じ器(キヤノンはその器を複数用意していますが)で見せるスタンスをとっています。XD-Hシリーズは,両者の折衷型とでも言うべきもので,英語系コンテンツはソニー式ですが,例文,成句,和英,漢和,広辞苑などは各辞書,種別毎に分けて表示するなど,セイコー,シャープ式をとっています。これの是非は何とも言えないですが,個人的には「英語系辞典」を一括りにするのであれば,そこに和英も入れ,漢和は広辞苑,パソコン,カタカナの中に組み込めばもう少しすっきりすると思います。また,「コロケーション帳」も独立させる意義があるかどうか怪しい気がしますので,例文帳と一緒にしてもいいのではないでしょうか。そもそも,英活は,通常検索で登録すれば「英語系辞典」,例文検索なら「例文帳」,コロケーション検索なら「コロケーション帳」と,検索機能に応じて3つの場所に分かれてしまいます。英和,英英等と同じく,英活も英語系辞典の単語帳と例文帳の二本立てが理想でしょう。もっと言えば,例文帳,成句帳も英語系辞典の単語帳に組み入れるようにするとすっきりしそうです(後述の「辞書ごとにまとめるかどうか」で用例,成句をまとめて表示するかどうかも指定できるようにするとか)。人によっては,辞書ごとに登録する目的を変える(リーダーズから登録した場合はTOEFL受験用,G大から登録した場合は授業で出てきた単語,のように)ことで,キヤノンのような多チャンネルの単語帳のように使っている人もいるかもしれないので,辞書ごとにグルーピングして表示する設定もあるといいと思います。私の理想とする単語帳のカスタマイズをまとめると以下のようになります。

並び順: 登録順・五十音/ABC順
チェック済単語: 隠す・隠さない(→リスト最後部に移動:する・しない)
辞書ごとに: まとめる・まとめない

…結局はキヤノンの単語帳と同じような感じですね(^^;;

また,すでに登録した語を再登録すると,新たに登録したとみなされ,(登録順に設定してある場合は)一番先頭に移動します。これはセイコーさんの機種と全く同じ仕様です。

Sekkyの視点(^^)
セイコーさんの先行機種と全く同一の操作系であるのは驚きました。難点は,XD-Hシリーズには独立した登録キーがなく,シフト+訳キーで登録操作をします。そのため,ワンキーで登録できるSR-Tシリーズにくらべれば登録操作が多少煩雑です。もっとも,訳キーは,訳語画面を出した後は遊んでいるのですから,なぜシフトキー併用にしたのかよく分かりません。訳キーに登録キーとしての機能も持たせ,訳語を表示させた後,もう一度訳キーを押せば単語帳登録になるようにすればよかったと思います。

そのほか,チェック機能も備わっています(これはSR-Tシリーズにはない特徴です)。チェックをつけた語を強制的にリストの一番最後に移動させることも(設定で)可能ですので,受験前の暗記チェックなどに使えます。また,チェックした語のみを一括削除することもできます。


★その他の改善点,気になった点

・モードキーに割り当てられていないコンテンツはメニューの中でも先頭に持ってくるべきでは?

たとえば,パソコン用語辞典やカタカナ語辞典は,辞書キーがありませんので,メニューキーを押し,その中から選ぶ必要があります。しかし,メニューは2画面あり,パソコン用語辞典やカタカナ語辞典は2ページ目に入っていますので,メニューキーを2回押し,さらにコンテンツを選ぶという,最短で3ストロークかかります。SR-T7000では,メニューキーにはモードキーにアサインされていないコンテンツしか入っていませんので,メニューは1ページですみます。その結果,メニュー→コンテンツ選択の2ストロークでできます。

・用例プレビューの操作系

これはSR-T7000よりも優れていると思います。T7000の場合,例文キーを押して用例のプレビューモードにしても,上下の矢印キーは通常の訳語画面と同じく1行スクロールなので,語義が長い場合,用例だけを見下ろしていくには何回も矢印キーを押す必要があります。しかし,XD-H9100では例文キーを押して用例プレビュー画面にしたら,上下矢印キーは(行スクロールでなく)用例を順番に見ていく(以下)

1番語義の用例→下矢印キー→2番語義の用例→下矢印キー→3番語義の用例

のように機能しますので,用例だけをざっと見たい場合は非常に使いやすいです。

・英活の操作系

XD-H9100のActivatorや英活は,研究者や教員等のパワーユーザのコメントなどを踏まえて操作系をじっくり練り上げたようで,非常によくできています。以下の写真は,seeを英活で引いたところです。(左側:SR-T6700,右側:XD-H9100)

H9100では,すでにプレビューが出ている状態で,しかもショートカットもついているので,see ...ingという形の用例を見たければEを押すだけでワンタッチで表示されます。しかし,T6700では,まず例文キーで用例プレビューを出し,さらに下矢印キーを何回か押す必要があります。

また,英活のコロケーション検索もT6700より洗練されました。H9100では,まずキーワードを入れると,次にそのキーワードがヒットしたコロケーションパターンのみが一覧で出ますので,その中から見たいパターンを指定します。一方,T6700ではまずコロケーションパターンを指定してからキーワードを入れます。そのため,キーワードを入れたときに指定したパターンの例文がない場合もあります。

・例文検索の出自表示

今までの機種では,ジーニアス系(G3,G大)辞書以外は,例文検索で検索した例文が所属する見出し語が表示されませんでした。しかし,XD-H9100ではすべての例文にもとの見出し語が表示されます。これは非常に便利です。一方,G大では例文の中で見出し語の部分が「〜」に置きかえられてしまっています。もちろん,プレビュー画面や例文フル表示画面では上述のように出自の語が出ますのでいいのですが,例文検索のリスト画面(プレビューウィンドウの上)では出自が出ませんので,「〜」が何を置きかえているか見るには,いちいちカーソルをその語に移動し,プレビューウィンドウで見る必要があります。これはちょっと不便です。下の写真は,左側:XD-H9100,右側:SR-T7000です。T7000の例文検索はリスト画面(プレビューの上部)でも「〜」がスペルアウトされています。

・パソコン用語辞典の操作性

パソコン用語辞典は,最初に検索方法(日本語から探す,英語から探すなど)を選び,次に入力画面になりますが,一旦検索してフル画面を出し,次に検索しようとして単語をタイプしようとすると,(入力画面でなく)なぜか冒頭の検索方法の画面に戻ってしまいます。これはおかしな操作系で,連続して検索する場合は,入力画面に戻すべきでしょう。そうすれば,同じ検索方法で連続して引きたい場合は非常に楽です。もし日本語の用語を引き,次に英語の用語を引きたい場合は,入力画面に戻ったところで戻るキーを押せば検索方法の画面に戻るようにすればいいことです。黎明期の電子辞書ならともかく,最新機種がなぜこうなっているのか,「??」です。他コンテンツの操作系が格段に向上しているので余計にそう感じるのかもしれません。

・広辞苑のスペル検索

ありそうでなかった検索機能ですが,広辞苑のカタカナ語などで,原語のスペリングを入れることで検索できる機能です。英語はもちろん,英語以外の外国語にも対応しています。たとえば,beaujolaisnouveauと入れれば,ボージョレーヌーボーが検索できます(^^) インクリメンタルサーチはききませんが,前方一致なので途中まででも検索できます。英和辞典に出ていないような外国の地名などを英字新聞等で見て,それを調べるとか,外国人が,英語のこの単語は日本語(カタカナ読み)では何というかを調べる際に使えるかもしれません。もっとも,H9100ではリーダーズ・プラスに加えてG大まで入っているわけなので,広辞苑に出ているぐらいの知名度のある地名,人名なら,英語であろうがイタリア語であろうが,大規模英和には出ていますから,あまり意味はないかもしれません。H9100で役立つ機能というよりは,G3等,学習英和搭載機で使うことを想定しているのかもしれません(仕様をあわせるためにH9100にも搭載している?)。

・英活の特殊検索

XD-H9100の英活は,SR-Tシリーズ(T6700&各種生協モデル)と違い,訳語検索(見出し語の訳語から検索)はついていません。


★総括(準備中)