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SR-8000(セイコーインスツルメンツ)の詳細レビュー

関山 健治(沖縄大学)

Email: sekiyama@okinawa-u.ac.jp

(ご注意)

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★ <外観>濃いグレーのメタリック仕上げ(つや消し)。

# 従来機にくらべて高級感がある。ただ,蓋の下部に"IC Dictionary SR8000"と浮き彫り文字でかなり大きく書いてあるのは評価の分かれるところ。


★ <寸法>従来の電子辞書よりは幅や奥行が大きめの印象があるが,十分に持ち運べる大きさ。適当な厚みがあるので,手に持ったときにしっくりくる。

# ケースは付属していない。パソコンサプライの店で売っている,電子手帳等用の保護ポーチ(ふかふかの材質になっている)で,専用ケースかと思うぐらいぴったりの寸法のものがあったので,それに収納している。


★ <収録辞書>研究社の新英和中辞典,新和英中辞典,ロングマン現代英英辞典(LDCE3),The Original Roget's Thesaurusの4冊を収録。

#  いずれも,冊子体の文字情報をすべて収録している(図版や表はカットされている)。LDCEの場合,Usage Note(囲み記事)やSignpost(語義の先頭にある▲印で囲まれた小見出し),頻度レベルの表記(S1W1など)は収録されているが,ところどころに囲み記事になっている,コーパスのデータを元にした棒グラフは入っていない。Thesaurusは従来のものとくらべ,大幅に収録語数が増えた。いわゆるsynonymだけでなく,同じ種類のものを表す語(fluteの類語としてclarinet, oboeなど)も含まれている。意味研究をする人には非常に重宝するが,単にある単語を言い換えたい人にとっては,候補の数が多すぎて戸惑ってしまうのではないか。

#  SR-8000に収録されているthesaurusの冊子体バージョンは,Rogetの伝統に則り,概念別(ABC順ではない)になっている。しかし,SR-8000では,概念から検索することはできず,冊子体バージョンでIndexを使ってひく方法(単語を入れると,その単語の類語が出てくる)しかできない。


★ <電源キー>他社のモデルを含め,ほとんどすべてのIC辞書は本体左上に電源キーがあるが,SR-8000は右上である。

# 慣れてしまえばどうということはないのだろうが,最初は(今も)戸惑った。

# 電源を入れれば瞬時に立ち上がる従来機と異なり,電源を入れてから入力画面まで1秒弱待たされる(オープニング画面が表示される)。電子ブックプレーヤーほど長くは待たされないが,その間はキー入力を受けつけないので,あわてていると,最初の数文字が飛んでしまうことがある。


★ <キータッチ>従来機と異なり,プラスチックキーを採用している。

#ゴムキーにありがちな「ふにゃふにゃ」「べたべた」したところがなく,個人的には気にいった。キートップは小さいが,クリック感があるので押しやすい。


★ <画面サイズ>横は従来機とほとんど変わらないが,縦がかなり大きくなった。そのため,1画面表示の場合,従来機の3倍ぐらいの情報量が表示される。

# とくに多義語や基本語をひいたとき,スクロールする回数が減り,大画面のありがたみを実感した。2画面表示にしていても,従来の機種より表示量が多いというのは驚異的。


★ <スクロールの速度>大幅に速くなった。多義語をスクロールする時も,ストレスはない。


★ <基本機能>基本的な機能,操作は従来機とほぼ同じ。そのため,従来機を使っている人は,基本機能だけならマニュアルを読まなくても使える。以下では,(1)従来からある機能で,SR-8000で強化された点,(2)SR-8000の新機能の2つに分けて詳しく解説する。


(1) 強化された機能

★ <スーパージャンプ>従来機のジャンプ機能(辞書の語義の中に表示されている単語を再検索する機能)は,英和→英和,和英→英和,類語→英和のように,ジャンプする辞書が固定されていたが,SR-8000では,ジャンプする際にどの辞書へジャンプするかをユーザが選択できるようになった。そのため,英和→英英・類語,和英→英和・英英・類語,類語→英和,英英 というジャンプができるようになった。

#  従来機では大変重宝したジャンプ機能だが,SR-8000では,ジャンプ元の画面を画面の半分に残して,残りの半分でジャンプ先を表示する機能(参照機能,後述)がついたので,ジャンプ元の画面をジャンプ先画面に置きかえるこのスーパージャンプ機能を使う機会は少ない。もちろん,参照機能でも,上述のようにユーザがジャンプ先の辞書を選択できる。

#  ジャンプ先の辞書は,ジャンプする都度ユーザがメニューから選択するのがデフォルト設定であるが,例えば,英英にジャンプすることがない人にとっては,いちいちメニューが出てくるのは面倒くさいものである。そのため,SR-8000では,環境設定であらかじめジャンプ先辞書を英和・英英・類語のいずれかに固定しておくこともできる(類語辞書をジャンプ先に固定するというのはあまり実用的ではないが)。固定しておけば,従来機のようにジャンプ先の単語を選んで訳キーを押すだけでジャンプできる。もっとも,私の場合,英和,英英,類語をまたにかけた検索をすることが多いので,ジャンプ先は固定しない設定(いちいちメニューで選択する設定)で使っている。


★ <パス機能>過去にひいた単語を記憶し,ワンタッチで引きなおしができる機能。SR-8000では,記憶する語数が日英それぞれ50語までに拡張され(従来は日英それぞれ26語),しかも並ぶ順番を,最近ひいた順(これは従来と同じ)とABC(50音)順のどちらかを選べる(環境設定で設定する)ようになった。

#  上記のことはパンフレットやニュースリリースにも書いてあるが,それ以外に改善された点として,検索単語を入力する画面以外(訳語が表示されている画面や検索候補がリストされている画面など)でも,「シフト+パス」キーによりパス機能が使えるようになったということがあげられる。

#  パス機能は,最近ひいた単語を楽にひきなおせるという機能なので,個人的には「ひいた順」の並び方の方が使いやすいと思う。パスの中身をABC順にすることができるというのに,何かメリットはあるのだろうか。


★ <ワイルドカード検索機能>不明文字を「?」でおきかえることにより,部分的にスペリングの分からない語も検索できる機能。SR-8000では語頭に「?」があっても検索できるようになった。

# 語頭に「?」を置くと急にスピードが遅くなってしまうのは残念だが,日本製の電子辞書のほとんどは,語頭に不明文字があるとワイルドカード検索ができない,というのは,私自身様々なところで不満を述べてきたことであるので,この改良は大歓迎。しかし,パンフレットやマニュアルでは全くふれられていない。


★ <成句検索>新英和中辞典だけでなく,LDCEの句動詞も一緒に検索できるようになった。英和と英英でマッチした場合,どちらを先に表示するか(優先順位)指定できる。

# 成句検索といっても,成句(イディオム)は英和のものしか検索できず,英英は句動詞しか検索できないので注意(これはカタログでは一言もふれられていない)。


★ <画面表示の文字サイズ>従来機と異なり,英和・和英・英英・スペルチェック・類語のそれぞれの辞書で独自に文字サイズ(標準・縮小)を設定できるようになった。

# パンフレットにも記載されている改良点であるが,私はすべて縮小表示で使っているので,辞書ごとに文字サイズが変更できる意義が見えてこないのだが…。


(2) 新しい機能

★ <スクロールバー>画面右端にWindows系パソコンのように,画面のどのあたりを見ているかがバーで表示される。言うまでもなく,タッチパネル式ではないので,バーをタッチして画面をスクロールさせることなどはできない(単に全体のどのあたりを表示しているかを見るだけ)

# 新しい「機能」というほどではないが,非常に重宝する。カタログではふれられていないが,もっとPRしてもいいと思う。ただ,スクロールバーの上のカーソル? の大きさは固定されていて,Windowsパソコンのように,情報量によって大きさが変わるというわけではない。


★ <スーパープレビュー>スペルチェックの候補語画面や一覧画面,例文マークにカーソルをあわせた際などに,画面の半分を使って「次のステップ」の情報を先取り表示する。

# ことばでは説明しにくい機能だが,従来機の場合,例えばスペルチェック機能で候補語が表示された場合,それぞれの単語の訳は,「訳」キーを押さなければ表示されなかった。そのため,表示された訳が自分の求めていたものと違っていた場合は,もう一度候補語画面に戻る必要があった。しかし,SR-8000の場合,スーパープレビュー機能のおかげで,候補語のリスト表示をしている最中は,カーソルを上下に動かすだけで(訳キーを押さなくても),画面の半分でその語の訳語画面がリアルタイムに表示されるようになった。このほか,例文マークにカーソルをあわせるだけで(訳キーを押さなくても)例文内容が画面の半分で表示されるなど,大幅に使い勝手が改善された。もちろん,スーパープレビューの画面で訳キーを押せば,従来機のように画面いっぱいに例文などが表示される。


★ <2画面分割表示>Windowsパソコンのように,画面を上下に分割し,それぞれ独自の辞書画面として使える→1つの画面で2台の電子辞書が使える,というと分かりやすいかもしれない。アクティブウィンドゥ(操作対象となる窓)は「画面」キーによって上下を選択できる。たとえば,上画面で英和辞典を検索し,「画面」キーを押すと,上画面の表示内容はそのままで,下画面に単語入力の画面が出る(下画面がアクティブになる)。そして,「英英」キーを押して単語を検索すると,今度は下画面に英英辞典の検索結果が表示される(上画面は先に検索した内容がそのまま保持されている)。そのため,見かけ上,2台の電子辞書を同時に使っているような感じになる。上下の切り替えは画面キーを押すことでいつでも行える。また,アクティブな側の画面内容を,もう1つの画面にコピーすることもできる。

# マニュアルには,機能の使い方が書いてあるだけで,どういう活用のしかたがあるかはふれられていない。そのため,せっかくの機能が宝の持ちぐされになってしまわないだろうか。デフォールトでは1画面の設定なので,2画面分割を常用している人はどれぐらいいるのか疑問。以下に,私なりの活用例を示す。

上画面と下画面を交互にチェンジしながら辞書をひく(毎回,単語をひく前に「画面」キーを1回押す)→そうすると,今ひいた単語だけでなく,1つ前にひいた単語も画面上に残っているので,記憶に残りやすい。

英文を読んでいて,本文と関係なくふっと思いついた単語や思いついた疑問などをもう一方のウィンドウで調べる→片方の画面は「本業用」,もう片方を「雑念用」として使う。ふと浮かんだ雑念などで思考が妨げられなくてすむし,本業用のウィンドウでたくさん検索しても,もう片方のウィンドウ内容はそのままずっと残っているので,あとでゆっくりと考えられる。

英和と英和の記述内容を比較する場合→様々な方法がある。英和の画面をもう一つの画面にコピーし(キー一つでできる)コピー先で英英へジャンプする方法がメジャー(マニュアルにも書いてある)。ほかにも,英和で単語をひき,あらかじめ英英に切り替えておいた別画面にチェンジして,パス機能で単語を再入力するという手もある。こちらの方法は,ジャンプしないので,ジャンプ後の操作に制約がなく便利。同じ方法で,類語辞書と英和を比較したり,和英に記載の単語を英和(英英)で引きなおして対比することもできる。


★ <参照機能>1画面表示の場合でも,画面中の英単語の意味などを別画面で参照できる。ジャンプ機能と似ているが,元の画面を書き換えないで,別画面に参照先を表示するという点が異なる。ジャンプ機能と同様,参照先の辞書を固定することもできる。

# 英英と英和を対比させるという程度なら,2画面表示に設定しなくても,参照機能で十分役目は果たせる。ただし,参照機能で2画面にしている場合,参照先の画面しかスクロール等の操作はできない。また,ジャンプ機能と異なり,参照先の画面からさらにジャンプや参照をすることができないのは不便,というより戸惑う。ジャンプと参照という似通った機能の中で,このように微妙に仕様が違うというのは,使い勝手に大きな影響を及ぼす。


★ <例文検索>新英和・新和英中辞典とLDCEの用例すべての中から,入力したキーワード(5つまで)がすべて含まれる例文を検索する機能。

#  簡単なコーパスとしても使える便利な機能。英和・和英に収録の例文は,訳も表示される。英英・英和+和英 の例文のどちらを前半に(先に)表示するかを設定できる。私は,例文の質という点で,英英を優先にしている。

#  難点として,例文が表示された一覧画面から,その例文が載っている本文へジャンプできないという点(用法などが確認できない),一覧画面のスクロールが遅い(とくに前に戻る場合)ことなどがあげられる。


★ <例文コレクション>英和・和英・英英の例文を100文まで登録し,例文帳が作れる機能。

# 私にはそれほど必要な機能ではないが,受験生などには重宝? 私は,検索していて偶然見つけたヘンな例文を記録しておくことに使っている(笑)


★ <ブックマーク>任意の画面を10画面まで登録し,必要に応じて呼びだせる機能。

# 意外と便利。例文検索で出した例文リストや,多義語で後のほうにある項目など,スクロールが面倒なものを登録しておくと,ワンタッチで呼びだせる。むしろ,例文コレクションは100文ものキャパシティーはいらないので,ブックマークの登録件数をもう少し多くしてほしかった。


★ <ヘルプ>辞書の使い方(凡例)や上にあげたような新機能の使い方を表示する機能

# 冊子体の辞書を使いなれている人なら不要な機能ではあるが,あるにこしたことはない。


★ 他にあると便利な機能

2画面表示の際,アクティブな画面をキー一つで1画面に拡大して表示する機能があると便利。

# 2画面表示は私も重宝しているが,やはり1画面にくらべて画面が小さいというのがネックになる。そこで,2画面表示で使っていて,訳語が表示されたときに何かキーを押すと,1画面に一時的に切り替えて表示するというシステムはいかがだろうか? Windowsパソコンのフルスクリーン表示ボタンのような感じである。1画面に切り替えた状態でスクロールぐらいはできればいい。そして,別の単語をキー入力しはじめた時点で,2画面表示に戻るというふうにしては?

2画面表示の際,上下のウィンドウを自動で連動させる機能があると便利。たとえば,単語を入れると,上画面には英和,下画面には同じ単語の英英(または類語)画面が自動的に表示されるとか。連動する辞書は環境設定で設定しておく。英和・英英,英和・類語,英英・類語などの連動が考えられる。将来,国語辞典搭載のモデルが発売された場合は,国語・和英の連動も可能。SR-8000の場合,英和と英英で同じ単語を見比べる場合は,画面内容を別のウィンドウへコピーしてジャンプ,という方法(私は,画面キーで別画面へ移り,パスキーにより直前にひいた英和の単語を呼びだして訳キーを押すという方法を使っているが)があるが,この操作は慣れるまでは大変である。1回単語を入れれば,自動的に連動して検索できると便利なはず。環境設定で「2画面連動検索 しない・する(英和・英英, 英和・類語, 英英・類語) のような設定項目を作るとか。

★ 操作系への提言

<辞書選択キー>英和・和英・英英・類語の4冊が入っているので,当然選択キーも4種類ある。これに加え,スペルチェックモード,キーワード検索のキーもあるので,選択キーだけで6種類もある。

# 1つの辞書に1つのキーを割り当ててあるので直感的ではあるが,もう少し整理できれば使いやすくなるだろう。(以下のように)「英語」キー:英和・英英・類語辞典を引く時に押す。単語を入力すると,英和・英英・類語辞書の中から,1つの辞書(※)を検索し画面表示する(※どの辞書を真っ先に表示するかは,設定画面で変更できるようにする:「英語モードでのデフォルト表示辞書→英和・英英・類語」のような設定項目を作る)。同時に,画面最上部に ←英和 英英 類語→ といったファンクション画面を表示(現在表示されている辞書種を反転表示)する。ユーザは,左右の矢印キーを押すと,他の辞書に移り,同じ検索語を他の辞書で引き,表示する。※従来機のように,別の辞書のキーを押してからパス機能で単語を入力しなおさなくても,矢印キーだけで他種の辞書を検索できる。Franklin社(http://www.franklin.com)のLM-6000の操作系を参照。「日本語」キー:和英辞典をひくときに押す。将来的に,国語辞典搭載モデルが発売された場合は,国語辞典も「日本語」キーで検索できるようにし,前述の英語キーと同様,←和英 国語→のようにして相互に検索できるようにする。

<ジャンプキー>他社の電子辞書にも言えるが,ジャンプキーと訳キー,カーソルキーが離れたところにある。これには改善の余地はないだろうか?

# ユーザの辞書引き行動をみてみると,「訳」キーで訳語を表示させるステップと,矢印キーで画面をスクロールさせたり,反転カーソルを移動させるステップ,ジャンプキーで他辞書へジャンプするステップの3つのステップは,非常に密接な関係にあるのではないか。たとえば,和英で何か単語をひく→(必要に応じて画面をスクロールした後)出てきた訳語のニュアンスを調べるためにジャンプキーを押す→矢印キーで反転カーソルを調べたい訳語に合わせる→訳キーでジャンプする という一連の操作は,IC辞書をちょっと使いこなしたユーザなら日常茶飯事であろう。この操作は,訳キー,カーソルキー,ジャンプキーという3種類のキーを連続して押すが,訳キーとカーソルキーはともかく,ジャンプキーだけが,他の2つのキーとはかなり離れているので違和感がある。

#そこで,訳キーとジャンプキーを「訳・ジャンプ」キーとでもして同じキーに割り当ててはどうか? 従来の操作系では,訳語が表示された後は,訳キーは遊んでしまっているのだから。つまり,訳キーで訳を表示させる→もう一度訳キーを押すと,ジャンプ先指定の反転カーソル表示画面(従来機で「ジャンプ」を1回押した画面に相当)になる→矢印キーで反転カーソルを移動する→再度訳キーを押すと,ジャンプ先の単語の訳を表示(あるいは,SR-8000のようにジャンプ先辞書選択画面を表示)となる…という操作系にすれば,分かりやすいのではないだろうか。ちなみに,シャープのフルコンテンツ辞書第1号機であるPW-5000は,単語を1回ペンでタッチすることでジャンプ先単語を選択し,もう1回同じ単語をタッチするとジャンプ,という操作系になっていたが,これは非常に直感的で使いやすかった。

<参照キー>上述のように訳キーとジャンプキーを同じキーに割り当てれば,従来のジャンプキーが1つ浮くので,そこに参照キーをもってきてはどうか?

#今回の参照機能の新設により,ユーザはジャンプよりも参照をよく使うようになるのではないか。しかし,SR-8000ではシフトキー併用なので不便である。ジャンプキーを訳キーと同じキーに割り当て,浮いたキーを参照キー(専用)にすれば,「シフト+参照」という使いにくいキーアサインから解放される。あるいは,ユーザの実態を調べ,本当にジャンプよりも参照をよく用いるようであれば,訳キーに(ジャンプでなく)参照をアサインさせてもいいのでは。

★ その他疑問に思ったこと:LDCEのフルテキスト収録は評価できるにしても,英和や和英とくらべると,いかにも「とってひっつけたもの」という感じがしなくもない。

# たとえば,英和や和英では,訳語を優先的に表示し,例文は例文マークを選択することで別に表示するというステップをとっている(これはSR-8000以前の電子辞書と同じ方法)が,なぜかLDCEでは例文や解説も語義といっしょに表示される。

# 別の例で,成句検索でLDCEが句動詞が検索できるのに成句は検索できない(さらにまずいことに,新英和は逆に成句が検索できるが句動詞はできない…これではユーザはこんがらがってしまう!)というのも同じである。LDCEの語義の中で太字になっているもの(goldenの中のa golden opportunityなど)をすべて成句と考え,新英和同様に成句検索で検索できるようにしてはどうか?

# さらに別の例。SR-8000では,ごく一部の多義語についている大項目見だしに基づいて,左右の矢印キーで大項目ごとにページを送れるようになっているが,冊子体のLDCEでは,この大項目見出しをつける基準というのがかなりアバウトである。たとえば,leaveには大項目見出しがあるが,それよりも記述量の多いgoodにはついていない。そうなると,SR-8000でも,leaveは左右の矢印キーで大きくページ移動できるが,goodではできない。これでは困る。新英和のほうにはマークキーによる品詞ジャンプがついているが,こういう機能は,むしろ記述量の多いLDCEのほうでこそ真価を発揮するのではないか。LDCEは新英和と異なり,品詞が異なると別見出しになるので,Signposts(黒い三角で囲まれた簡単な見出し)ごとに左右の矢印キーでジャンプできると便利。

★ 総括

SR-8000はとにかく高機能である。機械ものが苦手な人は,基本操作はともかく,2画面分割などの応用機能はどこまで使いこなせるのだろうか。電子辞書といえば,電源を入れて,単語をタイプしてキーを押せば意味が出る,ただそれだけのものという印象があるが,SR-8000は様々な機能をもっているので,電子辞書を何台も活用している私でも,基本操作はともかく,フルに使いこなすにはマニュアルがないと戸惑うことが多かった。例えば2画面モードで使っているとき,サブの(非アクティブな)ウィンドウの内容は,「画面」キーを押してウィンドウを切り替えてからでないと消せないので,慣れないと,どうやったら消去できるのか,戸惑うかもしれない。

SR-8000の様々な新機軸は,電子辞書のハードウェアという点では,疑いなくトップレベルである。しかし,そのような新しい機能を一般のユーザがどのように使えば効率的に辞書がひけるのか,という,ユーザの立場からの提言が,現段階ではほとんどされていない。新機能の使い方がマニュアルで説明されていても,それがどのような時に便利になるのかといった,いわば使い方のヒントなしでは,せっかくの新機能もそれほど活用されなくなってしまうのではないだろうか。

SR-8000のスペックは,21世紀の電子辞書のあるべき姿を予想する上でも重要なものであろう。今後は,ソニーのDD-IC100やSIIならTR-700Sに代表されるような,学生等,一般のユーザを対象にした,従来の電子辞書とほぼ同じスペックであるが,より小型軽量化され,安価になったモデルと,SR-8000のように,専門家を主な対象にした,より高機能なモデルの二極分化が進むのではないだろうか。

Email: sekiyama.kenji@nifty.ne.jp

Web Page URL: http://sekky.tripod.com